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日本は金鉱石をほとんど輸入していない-錬金術の国ジパング-

この表紙は日本の輸出品目なのですが。
Goldに御注目、実は日本の輸出総額の内1.9%が金だったりします。
1.7%がインゴット、0.2%がもうちょっと加工したもの。
金額にして12.9B$、1$=108円で計算すると約1.38兆円も輸出しています。
一方で輸入額は171M$(184億円)、桁から違うという。
日本は先進国でも珍しい位の金輸出国家なのです。

こちらを見ると、2005年から輸出が輸入を上回っている模様。
しかし日本は鹿児島の菱刈鉱山があるとはいえ、その産出量は年7t。
近年の200tを優に超える輸出量には全然届かない。

では何処から金が湧いているのか。
その答えがこちらのページにあります。

JOGMEC 金属資源情報より、「鉱物資源マテリアルフロー2018金

コメント 2020-05-23 095959

まずは6Pにある金の受給内訳です。
続けて7Pに1、国内新産金 と2、国内回収(再生金)について書いてあるので、要約します。

1、国内新産金
実は殆どが他の鉱石を精製した際に発生する副産物です。
銅、鉛、亜鉛などの鉱石に金が含まれていて、それを全部集めると62tほどになるのだとか。これに先述の菱刈鉱山7tを足して69.4t。

2、国内回収(再生金)
つまり廃品からのリサイクルです。例えば、金は伝導率が高く腐食もしないので電子部品にもよく使われており、ICやプリント基板、メッキの廃液などからかき集めた合計は54.6tに達します。これがいわゆる「都市鉱山」。

リサイクルの54.6tに菱刈鉱山の7tを足すと61.6t。つまり、国内にある金だけで国内の需要59.5tをカバーできる計算になります。なので1、特に副産物62tはまるまる輸出に回せてしまうのです。他の鉱石から金を分離、精製して金のインゴットとして輸出…と書くと、何だか現代の錬金術みたいな響きがします。
東京オリンピックのメダルをリサイクルした金で作るという話もありますが、あれは別にケチっているという訳ではなく、日本の需要の多くを満たす「都市鉱山」の豊かさと技術の象徴だったりするのです。

…実はいまいち内容がよく分からない3、国内流通、おそらくは日本で誰かが持っている金247tが一番量が多いのですが、それはともかく。

ざっくりまとめると
・日本の金需要は金鉱石の輸入ゼロで供給できる
・金の供給は他鉱石精製の副産物、および廃品からのリサイクル
・よく分からない「国内流通」がある
・金に関しては輸出のほうが輸入より圧倒的に多い
・輸出額は日本の輸出合計の1.9%に及ぶ
といった感じに。全部すごく意外でした。
調べると色々な事が分かるものです。

という事で、かつての「黄金の国」ジパングは。
2020年現在に「錬金術の国」として、
金で一大産業を作り上げているのでした。

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