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15年も転売を続けてきた私が農業系ビジネスを始めた理由とは

ネット転売の限界

eBay、Amazonせどり、ヤフオク、メルカリ、BUYMAと
あらゆる転売に取り組んできた私ですが、「転売に未来はないかも」「こんな不毛なビジネスを僕はいつまで続けるんだろう」と考えるようになりました。2021年12月のことです。

今、転売業界は、極端に言うと次のようになっています。

新品商品
メーカーや問屋から大量に仕入れることで安く購入できる、資金力のある法人同士による値下競争。
個人が大きく儲けられる市場ではない。
個人に残された活路はロングテールのみ。

中古商品
ブランドものは新品商品と同様、買取専門店を保有している企業が有利。資金力勝負。
個人は大手企業が手を出さないようなボロボロ、ジャンク品に活路。あるいは修理して売るといった手間のかかる職人的ビジネス。

ロングテール
個人が利益を出すにはこの分野しか残されていないが、仕入れは困難を極める。不安定。長期不良在庫リスク。
スケール化出来ない。

予約転売
ライバルが多い。不良在庫リスク。
注文後に仕入れられなかった場合、アカウントを失うなど、ハイリスク。
長く続けられる人はいない。

無在庫転売
情報発信者はこれを勧めるが、長く続けていると必ずアカウントを失う。
情報発信者が初心者を食い物にするための常套手段。

転売に限らず、どんなビジネスでも、儲かるのは「最初にアイデアを思い付いて実践し始めた一瞬だけ」で、すぐに模倣ライバルが涌いてきて、同じやり方では儲け続けられなくなります。
YouTuberなども同じですね。

現在は情報の伝達が早いので、同じ方法で稼ぎ続けるのは難しく、常に新しい手法を追い続ける必要があります。
ひとくくりに「転売」と言っても、その内容はどんどん進化させ続ける努力が必要です。

ですから「転売」は、誰にでも始めやすい分、ライバルが多くて、大きく勝つのは難しいビジネスだと考えています。
唯一、生き残れるのは薄利多売だけとなっています。
手間の割には儲からない、お金持ちにはなれないビジネスです。

どんなビジネスに取り組むべきか

転売は、既に世の中にある商品を仕入れてきて、仕入値に自分の利益やコストを上乗せして、元の価格よりかなり割高な価格で誰かに買ってもらおうとするビジネスです。
そう、購入者からすると、割高なのです。
割高なのに購入する理由は、自分自身でより安い価格の商品を探す手間を無くしたい(楽をしたい)場合や、見つけられないから、などです。
つまり、消極的な理由で転売者から購入しています。

正直なところ、転売は、やっていて楽しくないのです。
もちろん、購入者から感謝や喜びのコメントをいただくことは珍しくありません。
「とてもきれいな商品が届いたよ」
「すぐに発送してくれた」
「コミニュケーションが楽しかった」
などなど。
しかし、購入者の大半が「最安値だったから」という理由で買っていきますので、出品者のことが好きでファンになって、他の出品者よりも高いのにリピート購入してくれる、というよえな奇特な人はいません。

メルカリなどでフォローという仕組みがありますが、フォローする理由はやはり、「この人は割安な商品を出品するから」というものです。

問い合わせのほとんどは値下や送料に関するものです。
商品の魅力に関する質問は皆無です。

私はファンに支えられるビジネスに熱中したい

私は、販売価格にしか興味を持たれないビジネスに嫌気が差してしまったのです。
そしてまた、自分自身が全く商品知識の無いものを扱うのが苦痛になってきたのです。
ポケモンをみたことも無いのにポケモンカードを売る。
聴いたこともないレコードを売る。
やったこともないゲームを売る。

「そこに、愛はあるんか?」
と聞かれると、「僕は自分が扱う商品を愛していない。興味がない。」と答えるしかないのです。

「好きこそものの上手なれ」ということわざのとおり、ビジネスは楽しくなければ成功出来ません。続けられないのです。ましてやスケールさせることは出来ません。

カンブリア宮殿やガイアの夜明け、プロフェッショナルの流儀などで取り上げられる成功者は、みんな、自分の商品を愛し、自分の商品にプライドを持ち、商品知識は誰にもまけず、常に熱中して、失敗や挫折すら楽しめた変人ばかりです。
職人気質な人です。
情熱を持ち続けることで、たくさんのファンに支えられて成功した人です。

僕もそんな、夢中で取り組めるビジネスをやりたいのです。

農業と農業系ビジネスはどう違う?

そんな僕は、農業系ビジネスを選んだわけなのですが、なぜこのビジネスを選んだかをご説明する前に、僕が考える農業と農業系ビジネスの違いについて簡単に書かせていただきます。

農業というのは、ご存じのとおり、米などの穀物や野菜や果物を育てて、成果物である「食べられるもの」を販売するビジネスです。

しかし、この分野は、とくに日本では、歴史的、文化的、構造的に、実に様々な問題を抱えており、新規参入者が生き残ることができるものではなくなっています。
コロナ禍やウクライナ戦争以降、国内自給率を上げることに注目が集まってはいますが、簡単ではありません。
政治主導で思い切った方針転換が必要ですが、実現には何十年もかかるでしょう。

では僕が取り組み始めた「農業系ビジネス」とはどんなものか?
それは、「農地を使ったビジネス」です。
僕がいまさらこの歳から、「よし、日本で一番美味しいお米を作ろう!」と思っても絶対に無理です。
美味しいリンゴも、美味しいトマトも、美味しい白菜も作ることは出来ません。
既に何百年も前から世襲して作り続けてきた農家に勝てるはずがないのです。並ぶこともできません。
そんな無謀なことをする気はサラサラありません。

では、僕は何をしようとしているのか?
それは、普通の世襲農家がやらなさそうなことです。
わざわざ農地を使うので、もちろん、植物を育てます。
しかし、成果物を作って売る気はありません。
僕は、プロ農家とバッティングしない、ニッチな分野に目を付けたのです。

ニッチと言っても、既にライバルはいます。
目標というか、真似をしてモデルとしているライバルもいます。
ですから、決してブルーオーシャンというわけではありません。

しかし、ぼくが活動できる、当面の間は、市場の需要が供給を上回っていると判断したのです。
どちらかというと、需要の高まり(右肩上がり)、増加が供給を超えています。
ここにビジネスチャンスを見出だしたのです。

長く続けているライバルが存在するということは、その市場に可能性があるということでもあります。

なによりこのビジネスは、僕の趣味にも近く、熱中出来ます。
また、転売ではなく、自分でゼロから育てたものを販売できます。
もちろん、ライバルが似たような商品を作って売っていますので、多少は価格競争や価格相場がありますが、工業製品と違って全てが「一品もの」です。
売り急ぐ必要はありませんし、在庫期間が長くなるほど商品価値も上がり、売値を高く出来ます。
そういう性質の商品を選べたのです。

副業でも出来る農業系ビジネスは?

農業は生き物を扱うビジネスです。
多くの野菜などは毎日、お世話をする必要があります。
しかし、平日、サラリーマンとして働いている僕は、毎日、畑に様子を見に行ったり、お世話をしたり、一番良いタイミングで収穫して市場へ出品したりは出来ません。

ある程度、ほったらかしでも育ってくれる品種を扱うことが前提になっています。

販路は、ほぼ100%、インターネットです。
既にメルカリshopsで販売していますし、将来はSNSで集客するつもりですので、Instagramでも発信しています。
4月からはYouTubeとTikTokの利用も始めます。

参入障壁のあるビジネス

もうひとつ、僕が農業系ビジネスを選んだ理由は、参入障壁があるという部分です。

農業をするには農地が必要です。
家庭の庭やマンションのベランダ、屋上、工場跡地など、植物の栽培はどこででも出来ますが、ビジネスとして本格的に取り組むにはどうしても農地が必要になってきます。
たとえば、植物の栽培に不可欠の水。水道水を使うと年間に何十万円、何百万円とかかりますが、農業用水なら年間、数千円です。
また、ある程度肥沃な土地が必要ですから、工業用地やグラウンドでは、植物を育成できる状態にするまで、やはり途方もないコストと時間がかかるのです。
ですから、農業をするのでしたら農地は必須です。

そして、この「農地を使う」という部分に参入障壁があるのです。

農地法という法律によって、農地を使う(買ったり借りたり)ことが出来るのは、自治体が認めた「認定農業者」だけなのです。

一部、貸し農園などで、ある程度の広さの農地を個人(素人)に貸し出していることがありますが、グレーゾーンです。

農業はとにかく既得権者の保護を最優先にしている業界でして、地域ルールは法律よりも強かったりします。
とても複雑な分野ですので、政治家も逃げ腰です。
社会がいくら、自給率を上げるために新規就農者や法人に農地を解放しよう!耕作放棄地を有効活用しよう!と盛り上がっても、超保守的な農村文化を変えることは至難の技です。

だから僕は、この政治的にも自治体にも守られている既得権側に潜り込むことを選んだのです。

僕は一年間かけて、ようやく、1,000㎡の農地を借りることが出来ました。
賃料はほぼ、タダです。
農業用水の利用料が年間、4,000円かかる程度です。

同じ面積を貸し農園で用意しようとすると年間43万円が必要です。

こんな環境を手にいれるには自治体による「認定農業者」という資格が必要で、これこそが参入障壁になって僕を守ってくれるのです。

もちろん、だれでも認定農業者にはなれます。
実は、認定基準は自治体によってバラバラです。
僕が調べたところでは、過疎地、地方にいくほど基準は緩いようです。
移住者を積極的に受け入れ、補助金などを出しているような消滅危機自治体ではとくにウェルカムです。
逆に、僕が住んでいるような大都市、政令指定都市は厳しめです。

通常は、3年間、1,000時間の農業研修を受ける必要があり、これは副業としてはかなりハードルの高い条件です。
ですので、転売のように、あとからあとからライバルが現れ、値下合戦のチキンレースに巻き込まれる心配はありません。

農産物を加工して販売するには、食品衛生法などの規制があります。
素人が劣悪な環境で食品を製造・販売することはできません。
この点も既に自治体と相談して、クリアしています。
参入障壁の内側に入る手間を惜しまず、参入障壁に守られる側になるのです。

僕の農業系ビジネスまとめ

ここまでをまとめますと、
僕が取り組み始めた農業系ビジネスとは次のようなものです。

  • 認定農業者制度を逆手にとって新規参入ライバルをブロック

  • 農地を借りることでコストを極限まで下げられた

  • 専業農家と闘わないニッチな商品

  • 農業技術が不必要な「成果物以外のもの」を商品に

  • 販路はオンライン

  • 週末だけで対応できる商品(植物)を選別

さあて、挑戦だ

農業は人類の歴史と同じくらい、長く、多くの人が挑戦してきたビジネスです。
累計で何億人ものひとが試行錯誤を繰り返してきたビジネスです。
そんな歴史のある、あらゆることが試され尽くしたビジネスにおいて、素人の僕が成功できる土壌は残っているのでしょうか?

普通に考えると無理です。

僕がやろうとしていることは、既に何人もの先人が挑戦しては挫折し、失敗が確定していることなのかもしれません。

しかし、僕は、自分自身の「時代のニーズを読み取る力」「感性」「柔軟性」「探求心」「行動力」「継続力」「関連付け能力」「対人能力」を信じて挑戦を続けます。

試練の連続だとは思いますが、好きなことなので楽しみながら挑戦を続けられると考えています。

自分の作品を購入者が満足してくれて、「この人の商品だから価格に関係なく欲しい」とファンになってくれるビジネスを目指して頑張ります。

あなたが応援してくれると嬉しいです。

ワガハイ

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