見出し画像

損害保険会社の広報部長さんから教わったこと

このnoteはアジア車いす交流センター(WAFCA)のスタッフが交替で書いていく交換noteです。
本日担当の関谷 司です。

アジア車いす交流センター(WAFCA)は、車いすと教育を通じてアジアの障がいの子どもたちの自立とバリアフリー
社会の実現を目指して活動している認定NPO法人です。詳しくはホームページをご覧ください。

**********

WAFCAは、NPO法人として多くの皆様からの資金的、人的、物的支援のもと、日々の活動を行なっています。
そして、これまで繋がりや関係がなかった個人や団体に支援をお願いする際には、当方の事情を説明させていただくため、
当然、こちらから先方へ出向く必要があります。以前の私は、限られた時間の中で順序良くしゃべることが上手ではありませんでしたので、そういう時はいつも “う~ん、気が重い” と、二の足を踏むことが多かったのです。

かれこれ15年前の話になりますが、そういう自分が変えてくれるきっかけがありました。今日はその話をさせていただきたいと思います。

2004年当時、WAFCAでは2005年の愛知万博会場EXPOドームで「車いすバスケットボールアジア交流大会」の開催準備をしており、収容人員3,000人のEXPOドームに多くの観客を呼び込む方策を大会準備員会で検討していました。

その一つのアイデアとして、当時、「週刊ヤングジャンプ」に車いすバスケットボールを題材とした「リアル」という人気漫画が掲載されており、その作者である井上雄彦さんからWAFCAの大会へ「オリジナル原画」を提供いただき、抽選で来場者にプレゼントしてはどうか?」という案が持ち上がりました。

井上雄彦さんは、「スラムダンク」、「バカボンド」などの人気作品を世に送り出されている漫画家。私はそのアイデアが出た時”WAFCAのような地方NPOが、そんなお願いをしても聞き入れてくれないだろうな”、内心そう思っていました。
ただ、大会準備委員会のメンバーだった損害保険会社の広報部長さんが、「面白い。早速、週刊ヤングジャンプを出版している集英社を訪ねてお願いしてみよう。私がアポ取りするから、関谷さん一緒に行こう」と言い出したのです。

実際、東京に出向いて二人で話をしてみたところ、集英社の方は「WAFCAのこと、そして大会の開催趣旨はよくわかりました。私から何とか井上先生にお願いしてみます。」と言ってくれました。夕方、集英社を出た後、新橋の居酒屋で一杯飲んでいた時のこと。その広報部長さんが、「関谷さん。人はね、わざわざ自分に会いに来てくれて、目を見てきちんと話をされると簡単には断れないものなんだ。そのことを覚えておくと、これからの仕事に役立つよ」と教えてくれました。広報部長さんの言う通り、後日、集英社から協力OKの返事がありました。

その広報部長さんとの東京出張経験は、私にとって一つの転機になりました。それ以来、極力こちらから出向いて話をすることを心がけ、実践することにしました。”相手が大物であっても躊躇することなど何もない“、そんな覚悟みたいなものが自分の心の中に芽生えた気がします。必ずしも百発百中とまではいかないものの、多くのケースで上手くいくようになりました。
2007年、北京市での活動立上げ時における中国障がい者連合会、中国パラリンピック委員会、日本大使館、NHK中国総局をはじめとするメディア各社など。たとえ、初訪問した際に”お前は一体、どこの誰?“という空気が流れていても、その広報部長さんから教わったことを思い出し、自分を奮い立たせたことを今でもよく覚えています。

その広報部長さんは”できるか、できないなど問題ではない。大切なことはやるか、やらないかだ。”、本当はそのことを私に教えようとしてくれたのではないか”、最近、自分もいろいろな経験を重ねて年をとり、そう思うようになりました。

WAFCAは今、コロナ禍により様々な問題に直面しています。どんな逆風が吹いていても、それを言い訳にせず、新しいことにチャレンジをしていきたいと考えています。これからも変わらぬご支援をお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?