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最新租税裁判例紹介(税理士 原木規江)

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#租税判例

TH税制の「著作権の提供」事業該当性が争われた裁判例 その1

TH税制の「著作権の提供」事業該当性が争われた裁判例 その1

4月の租税裁判例のご紹介をしたいと思います。
4月に注目していた判決は、2つあります。

1つは、東京高裁(第22民事部・白井幸夫裁判長)で4月14日に言渡しのあった塩野義製薬の適格組織再編成(適格現物出資)該当性が争われた控訴審判決です。
結論は原審維持(納税者勝訴)でした。こちらは国側が上告せず確定しています。
https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2021/

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最高裁 政令が法人税法の委任の範囲を逸脱して違法と判断 その3

最高裁 政令が法人税法の委任の範囲を逸脱して違法と判断 その3

前々回,前回の続きです。
ご紹介している判決は、最高裁第一小法廷令和3年3月11日判決です。
裁判所のホームページに公開されています。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/094/090094_hanrei.pdf

前々回は,本判決が「政令が法人税法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効」という珍しい判断をしたことを紹介しました。
前回は

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最高裁 政令が法人税法の委任の範囲を逸脱して違法と判断 その2

最高裁 政令が法人税法の委任の範囲を逸脱して違法と判断 その2

前回の続きです。
といっても、前回は判決の内容は2行で終わってしまっていました。
気を取り直して、紹介します。

ご紹介する判決は、最高裁第一小法廷令和3年3月11日判決です。
こちらも裁判所のホームページに公開されています。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/094/090094_hanrei.pdf

資本剰余金と利益剰余金を原資とする剰

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最高裁 政令が法人税法の委任の範囲を逸脱して違法と判断

最高裁 政令が法人税法の委任の範囲を逸脱して違法と判断

3月の租税裁判例のご紹介をしたいと思います。
資本剰余金と利益剰余金を原資とする剰余金の配当がされた場合の課税関係が争われていた事件の最高裁判決です。
政令が法人税法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効という珍しい判断がされています。

事案の内容に入る前に、「政令」について確認しておきましょう。
法人税法、所得税法などの「法律」は憲法84条の租税法律主義に基づき、立法府である国会の審議を経

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