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【死ぬ間際に後悔しない生き方】14年間務めたweb制作会社の社長を辞めた。

こんにちは。和田へいです。
少し時間が経ってしまいましたが、昨年5月に私が14年間経営してきたweb制作会社を退任した話をしたいと思います。

任期満了まで職務を全うし、惜しまれながらも自らの意思でキレイに退任したつもりが、小さな会社の社長交代は珍しいためか、周囲からは「何かやらかした」と思われている節があり、皆さん神妙な文面でエールをくださいます。

辞めた理由をうまく言語化できていなかったため、この投稿を通じて整理しようと思います。基本的に自分語りで学びは無いに等しいエントリーだと覚悟してください。

そもそも。なぜ社長になったか。

正直に言うと、社長になりたいと思ったことすらない私の前に、新会社の設立という境遇が突如として表れて、そこに適当なキャリアを持った30歳の私が偶然居合わせたに過ぎません。

創業が2008年なので、当時尖りまくっていたカヤックさんのように、ユニークで斬新、世間にインパクトを与えるクリエイター集団になりたかった。データ至上主義の今よりも、圧倒的にのどかで面白いことが正義のひとつだった時代です。

冒頭の写真は2009年の麻布十番。4人は今も現役です。長い間本当にありがとう。

とくに初期は会社経営と呼べない酷いレベルだったけど、何度も自分の未熟さを痛感し、数々の失敗を繰り返すことで、苦い経験一つ一つが私の血となり肉となり、何とか経営と呼べるものになってきたように思います。

それでも経営には幅と奥行きが無限と思うほどあって、今の言動ですら1年後には「こいつわかってないな」と自分で思ってしまうから、気が抜けない。14年経ってもずっと未熟だと言う感覚が、飽きっぽいけど負けず嫌いな私が続けられた理由のひとつかもしれません。

(理由1)新規事業を断念

では本題に入っていきます。
まずはじめに、web業界におけるweb制作会社の置かれている状況は厳しく、将来的にもう一つの柱となる新規事業が必要でした。

ひとつはニッチ市場だったソーシャルセクターのビジネス、もうひとつが急速に拡大しているHR(人事)テック市場です。ミック経済研究所によると2021年の時点でHRテックの市場規模は約426億円、さらに2025年までに市場が4倍以上拡大する予想もあるいわゆる「儲かってる市場」です。

そこの新サービスを2020年4月に開催される「HR EXPO」でお披露目する予定が、新型コロナ第一波の襲来によって開催が延期されてしまいました。コロナの脅威がにじり寄るなかで、開催があやうい状況はもちろん分かっていたけど、それでもショックは大きい。

その展示会は半年後に強行開催されましたが、まだまだコロナ不安も強く採用市場も冷え込んでいる状況では、新規事業の優先度をがつんと下げざるを得ません。

さまざまな対応に追われ、あえて考えないようにしていたけど、何年も費やしてきた新規事業を中断してしまったのは気持ちの面でダメージが大きかったです。

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(理由2)やりきった感

緊急事態宣言直後の567月は売上が前年の約40%まで落ち込んだので、目の前の売上を作るために、どんな小さな引き合いでも仕事を取りに行きました。数ヶ月のうちにデジタルの追い風に変わったのは良かったけど、今度はめちゃくちゃ忙しくて、新サービスの再開どころじゃない。

飽きっぽい性分なので同じようなことばかりしていると閉塞感でしんどくなってきます。そんな私が脇目もふらず本業に集中したことで、売上は過去最高になって会社としてはハッピーだったけど、自分の中では仕事を楽しめなくなってしまった。自身の成長も鈍化してきたので「もうやりきった」気持ちに達してしまいました。

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(理由3)社長業への葛藤

これは初めてフルでリモートワークを経験したすべての経営者やマネージャーが大なり小なり抱えた葛藤かもしれません。

会社のピンチに社長が陣頭指揮取ってがむしゃらに仕事を取ってくるのは当然なんだけど、そこにリモートワークが入ってくると、スタッフとの温度差を感じてします。仕方ないと思うんですけどね。

どちらかというと「社員の人生背負っちゃう」系の社長だったので、勝手に頑張って、勝手に疲れて、勝手に失望していた感があります。

いま振り返ると、管理を疎かにしたとか従業員を自立されられなかった自分に「そこ未熟ですよ」と思うけど、当時は余裕なかったなーと思います。

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(理由4)自分の会社じゃない

ずっと引っ掛かってきたことだけど、結局は自分が所有する会社ではないんですよね。特殊な生い立ちで資本関係がいろいろと複雑。今はたいして儲かってないのでいいけど、事業が伸びてきたら面倒くさいだろうなとは思います。だからと言って小さな会社の支配権を巡ってアレコレするのはもっと嫌。

コロナの出口も見えて、余裕のあるうちにもう一度新規事業にトライする選択肢はあったのですが、ここで葛藤を抱えながら命を削って新規事業に挑むよりも、新しい環境に身を置きたいと願うようになりました。

ずっと悩んでいた資本の問題ですが、辞めると決めたときに初めてメリットになったのは皮肉な話です。

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(理由5)死ぬ時に後悔しない生き方

これが一番言いたかったことかもしれません。
気が付けば40代も後半、会社経営を通じて自己実現よりも「なんか他人の人生を生きているなあ」という感覚が強くなってきて、もっと自分に正直に、自由に仕事がしたくなってしまった。

違う環境に身を置きたい、自分の力を試したい、壁にぶち当たりたい、成長したい、仕事に熱中したい、ワクワクしたい。

会社でやればいいじゃん。
社長の責務を放棄するつもり?
皆が困るんじゃない。
もったいないよ。

それはそうかもしれない。
でも
でも

「このまま死んだら絶対に後悔する」

若い時から睡眠削って仕事してきたせいか「突然死ぬかも」という漠然とした思いがあります。リアリティはなく恐怖も感じませんが、悩んだ時には「それで死ぬときに後悔しない?」という自問をしています。

その基準で考えた時に、会社に残るという選択は、死ぬ間際に「あの時やっておけば」「もっと挑戦すれば」という後悔になるだろうと。

もっと自分を喜ばせよう。自分の人生を生きよう。
そう思い、1年かけて退任の準備を進め、2022年5月に任期満了で退任となりました。

ちなみに、後悔するリストの最上位にいた「家族との時間」は、リモートワークが増えたお陰で、子どもたちと過ごす時間が各段に増えました。散々苦しめられたコロナ最大の功績だと思ってます。

次は何するの?

この大変な役割を誰かに押し付けるのは忍びなく、清算も視野にいれましたが、取締役の一人が手を挙げてくれたため、フォローが必要ながら会社を存続できたのは嬉しいことでした。

そんな事情もあり、今年の5月までは大きな仕事を抱えていたのですが、ようやく自由な時間が増えてきました。

引き続き前職のサポートや個人で受けているコンサルの仕事に取り組みつつ、不完全燃焼になってしまったソーシャルセクターや採用支援の領域で新規事業を立ち上げようと考えています。ひとまず個人事業主でスタートしてますが、来年あたり会社にするかもしれません。

今はすごくワクワクしています。クリアをしたゲームをレベル1から新しくプレイする感覚に似ているのかもしれません。

次は何をしよう。
どんな会社にしよう。
どうやって働こう。
いくら稼ごう。

40代後半の大冒険がスタートします。
これまで大変お世話になった方も、これからご一緒する方も、今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

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