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#いま始めたいこと~Wacky_76流芥川龍之介分析

投稿のお題はこれに決めました。
散々迷った挙げ句です。
わたしはすでに還暦過ぎていますし散々人生を楽しんだので、思い残すことはないように生きていますが、目下闘病中で日に日に心身が弱っており(食事が喉を通らず衰弱しているため)、近くの病院に行くのもタクシーという有り様です。ギターはもう弾けませんが、幸いまだ本は読めるし、映画も観られるので、できるうちにやりたいことはやっておこうと何ヶ月も考えておりました(座右の書を正岡子規の「病牀六尺」としているのは、わたしも生まれつき脊椎の持病があり脊椎カリエスの極悪な苦痛のなかでも見える世界の彩りを綴った子規の精神力に心をうたれるからです)。

そういうときにNoteに出会ったので、自分の好きな趣味を紹介したりみなさんと共有できて楽しめるのは幸せだと思っています。一方で、多方面で趣味を公開、共有するのも良いのですが、軸となるライフワークをひとつ設けてじっくり考察したいと考えるようになりました。
題材は音楽か文学。どちらにしようか迷いましたが、文学にしました。
文学といっても幼いころに読書のきっかけとなったSFもあれば乱歩もあるし、高校生のときに埋没した純文学もある。純文学といっても、敬愛する純文学作家は芥川龍之介、三島由紀夫、安部公房がいる。誰にしようかと考えた結果、芥川龍之介にしました。

なぜならわたしの純文学入門は芥川龍之介だったからです。

芥川龍之介全集

高校生の頃、病弱だったわたしは病院の関係で生まれ育った神戸の高校から東京の高校に転校することになり、2年間阿佐ヶ谷の親戚の家に下宿しました。2階の一室を与えてくれたのですが、そこに大きな書棚があり、今では古典と言われる文豪たちの本がたくさん置かれて、毎晩のように読むようになりましたが、一番惹かれたのが芥川の小説でした。タイトルが思い出せないのですが、とても感動したわたしは近所の古本屋に行き、いきなり芥川龍之介の全集を買います。そして国語の教科書に載っているような初期のまとまりすぎた(ある意味でデキすぎた)短編だけではなく、後期の「玄鶴山房」や「歯車」のような筋書きがあるようなないような鬱々とした短編を知りますます好きになります。谷崎潤一郎とは揉めますがそれもまた面白い。

ミュージシャンと同じで一人の作家に惚れ込むと、関連する作家の作品も読むようになります。夏目漱石や鴎外は既に読んでいましたが、菊池寛、谷崎潤一郎、萩原朔太郎、堀辰雄、太宰治などは芥川全集を読まなければ手に取らなかったかもしれません。海外作品でいえば、ボードレールやドストエフスキーもそうです。特に詩にあまり興味がなかったわたしが朔太郎やボードレールが大好きになったのは芥川のおかげと言えます。

そんなふうにわたしが純文学を本気で読むきっかけをくれた芥川龍之介ですから、個人的に考察するならやはりこのひとだろうと思った次第です。もちろん芥川龍之介の考察本は世間に山程出回っているので、似たような視点から書いても面白みもないし、それほどの知識を持ち合わせているわけではないので、わたしの場合は、自分に人生に照らして独断と偏見に満ちた考察をしてみたいと思います。

あくまでライフワークですので、普段の記事の合間に織り交ぜて少しずつ書いていければと思います。

最後に、萩原朔太郎の芥川の俳句に関するドキっとした指摘を紹介します。


一体に小説家の詩や俳句には、アマチユアとしてのヂレツタンチズムが濃厚である。彼等は皆、その中では真剣になつて人生と取組み合ひ全力を出しきつて文学と四つ角力をとつてるのに、詩や俳句を作る時は、乙に気取つた他所行きの風流気を出し、小手先の遊び芸として、綺麗事に戯むれてゐるといふ感じがする。

芥川 龍之介. 『芥川龍之介全集・378作品⇒1冊』 (p.4145). Ryunosuke Akutagawa Complete works. Kindle 版.

朔太郎は芥川自殺後の追悼文の中で、芥川は詩人ではないと思っていたが詩人だった、自分は誤解していた旨を語っていますが、これはそのおよそ1年後の指摘でなかなか辛辣ですね(笑)。なぜわたしがドキっとしたか。それは「ディレッタンティズム~」の部分で、要するに「自分は芸術愛好家である」と気取っているだけで主観的な感情の没入が俳句にちっとも感じられないということで、わたしがたまに詩を書くときがまさにそれだと思ったからです。小説を書くときは想像力にまかせて書くのですが、詩を書くときはただ風流を気取ってるだけの自分がいる。すこく恥ずかしい気分になりました。

例えば以前書いた記事。

ボードレール云々。恥ずかし過ぎる。こんなのは詩ではない。よくまあ人前に出せたものだと思いました。高校生の頃ですが(笑)。

さて、最後は蛇足になりましたが、いま始めたいこと、「わたし流の芥川龍之介研究」についてでした。

それではまた!



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