LiveNation 2018年10-Kの翻訳 part.1

はじめに
LiveNationおける各エントリの全体像と要約は、下記のpostにまとめています。
 ・LiveNation-世界最強の音楽イベント会社は、なぜ強いのか?
 ・LiveNationの10-K(有価証券報告書)の翻訳 Part2
 ・LiveNationにおける様々なトピック-技術や独占の危険まで

・このpostは、10-Kと呼ばれるLIVE NATIONの2018年度決算における10-K(有価証券報告書)の翻訳のPART1です。原文はこちらです
・10-Kの序章は、下記のセクションに分かれており、本稿では1〜4の翻訳を紹介します。なお、注記がない限り、原文からの省略は一切行っていません。
1.会社について
2.戦略について
3.強みについて
4.事業について
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5.保有する会場について
6.競争について
7.リスクファクター(抜粋)

会社について
・私たちは世界最大のライブエンターテイメント企業であり、2018年には5.7億人のファンと44カ国のコンサート、チケッティングプラットフォームをつなげていいる。
・私たちは他のプロモーターとコンサートへの来場者で比較して世界最大のプロデューサーであり、およそ9300万人近くのファンと4500アーティストの合計3.5万イベントをつなげている。
・LiveNationは237のライブ会場を所有、運営、あるいは特別な興行権、または株式の持分を有している。その中には、House of Bluesや、特別な会場(the Fillmore® in San Francisco, the Hollywood Palladium, the Ziggo Dome in Amsterdam, 3Arena in Ireland, Royal Arena in Copenhagen and Spark Arena in New Zealand ※個別の説明は省くが、各地域で非常にブランド力のある会場)が含まれている。
・私たちはアーティストとの契約数において、アーティストマネジメントにおけるリーディングカンパニーであり、あらゆる音楽ジャンルのアーティストをマネジメントしている。2018年12月31日現在、110人近くのマネージャーが400以上のアーティストにサービスを提供している。
・私たちの音楽広告ネットワークはグローバルで最大の広告在庫を抱えている。総売上で世界最大のECサイト(=ticket masterなどを指している)の一つを有している。
・私たちはチケットの販売数で、エンターテイメントチケットの販売とマーケティングにおいて世界のリーディングカンパニーである。チケットマスターはチケット販売と二次流通のサービス、グローバルの流通網、小売店やコールセンターを通じて、2018年で4.8億枚のチケットを販売した。
・Ticketmasterは、世界中の約12,000のクライアントにさまざまなイベントカテゴリでサービスを提供し、主要なアリーナ、スタジアム、フェスティバルやコンサートのプロモーター、プロのスポーツフランチャイズやリーグ、大学のスポーツチーム、舞台芸術の会場、美術館、劇場にチケットサービスを提供している。
4つの戦略について
・私たちの戦略は、ライブエンターテイメントにおけるリーダーシップのポジションを確立し、より多くのショーを興行し、より多くのチケットの販売し、パートナーとのスポンサー契約を結ぶことで、売上・収益・キャッシュフローを増やすことである。
・私たちはアーティストや音楽会場といったチームに対し、安全なコンテンツやチケットを提供している。私たちは革新的な商品をつくり、テクチケットや広告・モバイルのプラットフォームを進歩させるための技術に投資をしている。わたしたちはブランドと私たちの情熱的なファン層を結びつけたい広告主から収益を上げている。
・私たちの興行ビジネスを取り巻く中核事業は、ライブイベントの興行、チケッティング、スポンサーシップ、広告である。私たちはこれらのビジネスに集中することで、株主価値を増大させ、わたしたちの収益を強化し、グローバルプラットフォームとして規模の経済を実現できると信じている。また、私たちは引き続きコアオペレーションを強化し、世界展開を深耕し、コスト構造を最適化させる。具体的な戦略は下記の通りである。
1.コンサートプラットフォームを拡大する。世界各地でコンサートのポートフォリオを構築し続け、ビジネスを世界のトップミュージック市場に拡大し、既存市場での存在感をさらに高めることで、より多くのショーを配信し、ファン層とチケット販売を拡大する。 アーティストマネージャーとの強力なパートナーシップを通じて、アーティストマネージャーとそのクライアントに一貫性のある強力なサービスを提供し、コンサートの基盤を拡大し続けることが可能だと考えている。
2.コンサートあたりの収益を高める。私たちは、自社のライブ会場におけるより効果的なチケット価格(※ダイナミックプライシングなどを指している)の設定、より広範囲へのチケット流通、よりターゲットを絞ったプロモーションを通じ、コンサートあたりの収益を高めていく。また、同時に製品やマーチャンダイジング(※コンサートグッズなど)の改良やファンの購入体験を改善することで、一層の収益化をはかる。
3. より多くのチケットを販売し、商品の改良に投資する。私たちはチケットを、モバイルやオンラインを含むより多くのチャネルで販売することで、保有するファン層のデータベースを活用する。今後もより幅広いユーザーにアピールするために、APIの機能を拡充し、デジタルのチケッティングの展開を拡大し、取引先による流通のコントロールを強化することで、新たな独自のマーケティング機会を作り出す。ファンがチケットを交換するための二次流通チケットの信頼できる環境での取引量を拡大するため、すべてのイベントで二次流通チケット購入が安心・安全にできるようにする。私たちは継続してチケッティングプラットフォームのより革新的な製品開発への投資を行い、当社の販売チャネルへのファンのアクセスを増やし、チケット販売を増やし、当社の顧客基盤を構築する。
4.スポンサーシップや広告パートナーシップを拡大する。継続してスポンサーシップの関係値を向上させ、より多くの音楽への協賛市場でのシェアを獲得する。既存のパートナーシップの拡大と新規クライントの獲得に注力し、ターゲティングされたより戦略的なプログラムをクライアントに提供し、年間9300万人のファン層へのアクセスを可能にする。また、オンサイト収益(※ライブ会場での収益のことだろう)を拡大するための新たな商品開発を継続する。
会社の強み
・ 私たちは、ライブエンターテイメントの産業において、これらの比類なきユニークなリソースを有していると考えている。
ファン 私たちは5.7億人のファンと彼らの好みのライブイベントをつなげている。ファンとファンの関心のデータベースは、効率的にファンにマーケティングする手段をもたらしている。
アーティスト 私たちは新人からキャリアを確立したスターまで、幅広いアーティストと関係を有している。2018年には、グローバルで4500人のアーティストのライブ・ツアーを興行した。また、私たちのアーティストマネジメント会社を通じて、400以上のアーティストをマネジメントしている。
オンラインサービス、チケッティング 私たちは複数のウェブサイトをアメリカとそれ以外で所有・運営しており、それらは各エリアで提供できるサービスに最適化されている。最も重要なサイトはlivenation.comと、ticketmaster.comである。これらは私たちのチケッティングサイトとしてブランド化しており、ライブイベントのチケットを販売するために設計されている。これらのモバイルアプリもあり、ファンがライブ情報へのアクセスやチケット購入を行えるようになっている。
流通ネットワーク 私たちのプロモーター、会場、そしてフェスティバルの世界的な流通網は、ライブコンサート産業で確固たる地位を築いている。 世界40カ国にオフィスを構える、世界最大のライブエンターテインメント事業のグローバルネットワークの1つである。 また、2018年末時点で11カ国237の会場を所有、運営、独占的な予約権を持っており、世界2位の音楽会場の運営者である。 また、世界で104のフェスを有する世界最大のフェス運営者のひとりである。 さらに、世界最大のECサイトおよびアプリの1つがグローバルで6100万回以上ダウンロードされ、約1.2万人のクライアントを擁する世界的な発券配信ネットワークによって、世界最大の発券ネットワークを築いている。
スポンサー 私たちは450人以上の営業部隊を雇用し、2018年には1000以上のスポンサーと仕事をし、戦略パートナーシップ、各地域の会場と関連した取引、国内取引、デジタルキャンペーンなどの組み合わせをグローバルに実施した。私たちのスポンサーは、世界で最も認知度の高いグローバルブランドがあり、例えばCitibank, O2, American Express, Pepsi, Cisco, Hilton and Anheuser Buschなどがある。
事業について
・私たちはセグメントをコンサート、スポンサーシップ・広告、チケッティングに分類している。
1.コンサート・セグメント
・コンサートセグメントは、当社が運営または所有する、または第三者から借りた会場において、ライブ音楽イベントのグローバルプロモーション、音楽会場の管理及び運営、グローバルな音楽フェスの制作や関連コンテンツの制作、アーティストのマネジメントおよびその他のサービスの提供を行う。コンサートビジネスでは、部門間取引も含めて8.8B$(9800億円程度(1円=111円換算))に及び、全体の81.3%を占める。私たちは年間で3.5万のライブ音楽やその他のイベントの興行を行い、その中にはビヨンセ、Jay-Z, P!nk, Kevin Hart, Justin Timberlake, Imagine Dragons、Bruno Marsといったアーティストや、 Austin City Limits, Lollapolooza, Electric DaisyCarnival, Rock Werchter, Reading and Downloadなどのフェスを含む。年間のコンサートセグメントにおいて、私たちは概ね第1四半期、第2四半期の収益が高くなる傾向にあり、それは季節的に屋外や円形劇場、フェスといった5月から10月に開催されるイベントが多いからである。
プロモーターとして、私たちは収益をチケットの販売から得ており、アーティストに対して固定の保証額か、それに加えて、あるいはチケット販売額または収益に一定割合を支払う。私たちが興行を行う各イベントで、自社保有または運営の会場か、第三者の会場を使用する。収益はイベントの数、チケットの価格と販売数によって変化する。アーティストの出演料や制作費用といったイベントの営業経費は、収益と相関して増減する。結果として、興行の収益の大幅な増減は、営業利益に同じような変化をもたらさない。

※筆者注 最後の1文が分かりにくいが、事前に計画したコンサートの収入予測規模に基づいて、事前に費用がおおよそ決まってしまうため、売上とコストの比率がある程度固定されてしまっており、利益率に変化がないという意味だろう。映画産業のように、損益分岐点を突破すると一気に利益を稼ぎ出すという構造ではない。なお、原文はAs a result, significant increases or decreases in promotion revenue do not typically result in comparable changes to operating income. と書かれており、一見promotion revenueが何なのか判然としない。ライブ産業ではイベントの興行自体をpromotionと呼称し、チケット販売のための広告/販促=promotionと混同しがちだが、この場合は前者である。
ライブ会場の運営者として、この部門では、場内の売店の売上、駐車場、プレミアムシート、会場レンタル料、チケット手数料、当社のチケッティングサービスや第三者のチケッティングサービスを利用した場合のサービス料などから収益をあげている。私たちのアンフィシアター(円形劇場)では、場内の売店を外注しており、相手から純収益のシェアを受け取っており、一部が直接営業経費として収益に計上される。収益はライブ会場の収益は通常、興行よりも高い利益率のため、営業利益により直接的な影響をもたらす。
フェスの興行主として、私たちは通常、アーティストをブッキングし、フェスの場所を確保し、第三者の制作プロダクションを用意し、チケットの販売やファンを呼ぶための広告を打つ。また、同時に場内販売、マーチャンダイジング、警備のような第三者の運営サービスを発注する。私たちはチケットの販売により収益を獲得し、アーティストには固定の保証額を支払う。同時に、場内の売店の売上やキャンペーン費用、チケット販売のサービス料などの収益を得る。各イベントにおいて、私たちはフェスの会場として自社の、または第三者の会場を使用する。収益は主にイベントの数、チケット販売数、チケット価格の影響を受ける。アーティストの出演料や制作費用といったイベントの営業経費は、収益と相関して増減する。これらのイベントでは、アーティストの料金は通常保証額として固定されているため、大幅な興行収入の増減は、営業収益に同じような変化をもたらす。
2.スポンサーシップ・広告 セグメント
・当セグメントは、営業部隊によりスポンサーとの関係を維持し、戦略的でグローバル、あるいは国内、ローカルな機会の組み合わせにより、彼らのビジネスが私たちのコンサート、フェス、ライブ会場、アーティストとの関係、チケッティングの資産、ウェブサイト上の広告を通じて顧客にリーチすることを可能にしている。私たちはクライアントと協働し、彼らのビジネスやブランドをファンやアーティストと繋げられるようにしている。また、クライアントのブランドの顧客のための特別なイベントの開発・ブッキング・プロデュースも行っている。これらのカスタムイベントはオンライン・既存のマーケットの双方を活用した、タレント・音楽のイベントが含まれる。セグメント間の売上も含むと、2018年には全体の4.7%に相当する560億円程度の収益をあげた。スポンサーシップの大部分は屋外の会場やフェスのため、これらが多く開催される5-10月に相当する、第2-第3四半期の売上が多くなる。
・私たちは、戦略的なスポンサープログラムを通じて、音楽ファンと企業スポンサーをつなげ、その関係性を最適化する特別な機会を有する。継続して国・地域単位のスポンサーを獲得し、国内・グローバルの双方で、サイネージやオンライン広告、宣伝プログラムといった広告を提供する。多くの会場でネーミングライツを販売している。私たちは国内・グローバルクライアントとのスポンサーシップが、ライブ会場やフェスネットワークの最大化を可能にし、複数のライブ会場、複数のフェスにおけるブランディングの機会を創出できると考えている。私たちの地域密着・ライブ会場に焦点を当てたスポンサーシップには、ライブ会場のサイネージ、宣伝プログラム、会場での活動、ホスピタリティやチケットなどがあり、多くの産業にわたるクライアントが行っている。
3.チケッティング・セグメント
・当セグメントは、主に代理店ビジネスであり、クライアントのイベントのチケットを販売し、そのフィーやサービス料を獲得する。私たちは様々なカテゴリの自社イベントや第三者のイベントを販売し、アリーナ、スタジアム、アンフィシアター、ミュージッククラブ、コンサートプロモーター、プロスポーツ、大学スポーツチーム、舞台芸術、美術館、劇場といったクライアントにチケッティングサービスを提供している。私たちはチケットをウェブサイト、モバイルアプリ、小売店、コールセンターで販売しており、それぞれのシェアは52%、43%、4%、1%である。また、このセグメントでは、自社で運営する各ウェブサイトや製品の管理も行っている。セグメント間の売上を含むと、1.5億ドル(1660億円)であり、全体の14.2%を占める。なお、この金額はチケットの額面金額ではなく、クライアントに支払われた手数料を含んでいない。(注:ということは、ファンが支払った総額(=チケット代金)から、LIVE NATIONが発券主体に対して支払った金額を除いた金額が、この事業において売上として計上された金額ということになる。前者はECサイトにおける流通総額のようなイメージだろう)
・私たちのチケッティングシステムを通じて販売された全てのチケットのうち、約2.17億枚は自ら自社サイトにフィーを支払って販売したものである。さらに、シーズンシートパッケージ、会場の顧客の興行収入、私たちが収益を受け取っていないその他の有料チャンネルなど、チケットマスターシステムを使用して約2.65億枚のチケットが販売された。チケッティングシステムでの売上は、一般販売されるチケットの入手可能性に影響を受けるが、これらはクライアントのイベントのスケジュールにも影響を受ける。チケット販売が増加すると、概ね当セグメントの営業利益も増加する。
・私たちは世界中の自社発券プラットフォームを通じ、クライアントに代わってチケットを販売する。 当社は通常、特定の複数年、通常3年-5年の範囲で一次発券サービスを提供するために個々の顧客と契約書を締している。 これらの契約に基づき、クライアントは当社のガイダンスやアドバイスを受けながら、チケットが一般への販売時期、チケット価格を決定し、当社に伝える。北米とオーストラリアの会場との契約では、それらの会場での全音楽イベントにおける、一般に公開されるチケットの販売権を当社が有する。
・他の各地域の市場でのプロモーターとの契約では、一般的に、特定のプロモーターが提示したイベントのチケットを、その会場がすでに当社の発券業務または他の発券サービスプロバイダとの独占契約でカバーしていない限り、割り当てられる。同様に、そのような国際市場では、会場との契約がある場合があり、その場合はチケットマスターがそれらの会場における全イベントのチケット割り当ての権利が与えられている。当社がライブ会場と独占的な契約を結んでいる場合、彼らは当社との契約期間中は、第三者のチケッティングプラットフォームやその技術の利用はできない。私たちは一般的に顧客のチケットのうちかなりの部分を販売する権利を有するが、会場やプロモーターといった顧客は、しばしばシーズナルチケットなどにおいて自社でチケットを売買する。また、プロモーターと当社のクライアントの間の契約の多くにおいては、一般的にチケットマスターの承認を前提に、クライアントはアーティスト、プロモーター、エージェントおよび会場での使用に特定のチケットを割り当て、それらのチケットを当社が販売できないようにする。これらの理由、また他の許可された第三者のチケット流通網により、仮にその会場において当社のチケッティングサービスが専用と指定されていても、私たちは常にクライアントのチケットの全てを販売しているわけではなく、クライアントやイベント、時期によってもこれらの条件は変化する。
・当社は現在、主に当社の統合在庫プラットフォーム、リーグ/チームプラットフォーム、その他の国際的なプラットフォームを通じて、二次発券とも呼ばれるチケット再販サービスを提供している。当社は、会場やその他のデータベースを使用して、以前のチケット所有者によって決定された新しい販売価格と購入者へのサービス料に等しい購入価格でそれらのチケットを売りに出すために、チケット所有者と契約を締結する。この場合売り手は、新たな販売価格からサービス料を差し引いた金額を受け取る。



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