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LiveNationにおける様々なトピック-技術や独占の危険まで

※2019.5現在

・LiveNationはチケッティングを独占し、不当な行動をしているのではないか?
Live Nation Rules Music Ticketing, Some Say With Threats - NewYork Times(2018.4.1)
・NYTが報道し、話題となった記事。なお、非常に長い力作。
・LiveNationは2010年にTicketmasterを買収した。当時はそれによって競争が加速し、チケット価格は下がると言われたこともあったが、むしろ価格は統制されているのではないか。さらに、様々なライブ会場に対してTicketmasterと契約するように圧力をかけ、契約しなければLiveNationが興行するコンサートツアーに組み込まないと脅しており、それは反トラスト法違反にあたる、という記事である。
・これに対してLiveNationは即座にTicketmasterのブログで反論している。
Ticketing, Vertical Integration and the NYT’s Recent Article - Ticketmaster blog(2018.4.1)
・簡単に言うと、買収時に司法省から言われたことを守っていますよ、という内容である。
・なお、NYTの記事内に、TOP100のアリーナのうち80をLiveNationが管理しているという分かりやすいグラフがある(下記)。


・Ticket Masterの様々なテクノロジー
ticketmaster PRESENCE 電子チケットサービスで、電子端末でファンのQRコードを読み取り、入場できる(tap and go と呼ばれている)。NFLでも導入されており、顔認証も可能で、確実に本人の入場を管理でき、導入された会場では偽造の激減に成功。
・ユーザーが入場までどのような行動を取っているかすべてデータ分析できるほか、当日イベントの現場での入場状況などをリアルタイムで確認できる。
https://www.youtube.com/watch?v=Bm5Ebp_giZ0

VERIFIED FAN "ダフ屋やボット、プログラムに対抗したシステムだ。メールアドレスを事前登録したユーザーを、独自アルゴリズムによって「熱心なファン」かどうかを分析し、ファンと認識されたユーザーのみ暗証コードをスマートフォン経由で送信。ユーザーは指定されたURLにアクセスし、コードを入力することでチケット購入に進むことができる。"
海外の最先端事例に学ぶ 日本のライブ業界が参考にしたい「3つの視点」-オリコン

Dynamic Pricing 動的価格設定とも言う。ホテルを予約するとき、その部屋の需要や予約する時期によって価格が変化するように、コンサートでも、席の良さやそれに対する需要によって価格が何倍にも変化するシステムを一部で導入。こういったケースでは、全席完売するよりも売上を最大化するための価格戦略が取られる。
Taylor Swift’s Ticket Strategy: Brilliant Business or Slowing Demand? - Rolling Stone
Live Nation calls for more aggressive ticket pricing from artists - Financial Times

Preodayとのパートナーシップ ロンドンのSaaS企業であるPreodayと提携。会場における食べ物や飲み物、商品を事前にオンラインで注文/決済し、会場で受け取るシステムを構築している。これによって、行列に並ぶ必要をなくし、機会損失を最小化、さらに顧客の行動を分析することができる。会場での(on-site)売上を最大化する施策の一つである。
Ticketmaster and Preoday Enter Multi-Market Partnership to Deliver World-class Invenue Experiences for Fans

Fanaticsとのパートナーシップ 主要プロスポーツリーグ(MLB、NASCAR、NBA、NFL、NHL、PGA、UFC)やメジャーメディアブランド(CBSスポーツ、FOXスポーツ、NBCスポーツ)のオフィシャルグッズの製造・EC販売を行う企業とパートナーシップを結んだ。FanaticsのECサイトにおけるイベントチケットの販売をLiveNation独占、Fanatics FanCashというファンのチケット購入に対する独自の報酬プログラムなどを提供。


・ストリーミングサービスとのパートナーシップ

Youtubeでアーティストのミュージックビデオなどを閲覧した際に、そのアーティストのライブイベント情報をYoutubeページ内に表示し、そのままチケットを購入できる。イベントのデータや購入ページはticketmasterに遷移する。同様のパートナーシップはSpotifyとも結んでいる。
YouTube partners with Ticketmaster to sell concert tickets on artists’ video pages

・Ticketmasterは取り分が多い
Where Does Live Nation Have Room To Grow? - Forbes
・この記事内で、グローバルで一般的なチケッティングサービスはチケット額面価格に対してチケッティングプラットフォームが取る手数料は10%程度だが、ticketmasterは20%であり、ticketmasterとしてはグローバルで20%程度まで引き上げていきたい、と書かれている。
・なお、他記事でmax50%程度まで取る場合があり、高すぎると批判されている。プラットフォームとしての強さを感じる。



・Ticketmasterのライバルたち
AEG  業務領域が非常に似ており、実質的にLiveNationと一騎打ちになっている市場では競争が激化している。イベントプロモーターとして様々なイベントを制作するほか、チケッティングプラットフォームAXSを保有し、会場運営の規模(数)ではLiveNationを上回る。O2 arenaなどが有名であり、近年SMGというグローバルな会場運営企業を買収した。
AEG Facilities joins forces with SMG - SportsPro
Frontier Touring オーストラリア最大のコンサートプロモーターで、グローバルのチケットセールスでトップ10に入る規模を誇る。親会社はmashroom groupという音楽のコングロマリットであり、レーベルやアーティストマネジメント、マーチャンダイジングなど多岐にわたる事業を展開している。AEGと合弁会社を作るなど、どちらかというとAEG寄り。
AEG Presents Unveils a Strategic Partnership with Frontier Touring
The Madison Square Garden Company 世界最強の収益性を誇るアリーナであるマンハッタンのMadison Square Gardenを始めとした数々のアリーナを所有する他、MSGを拠点とするニューヨークレンジャーズを始めとしたスポーツチームも保有する。






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