LiveNation 2018年10-Kの翻訳 part.2

はじめに
LiveNationおける各エントリの全体像と要約は、下記のpostにまとめています。
 ・LiveNation-世界最強の音楽イベント会社は、なぜ強いのか?
 ・LiveNationの10-K(有価証券報告書)の翻訳 Part1
 ・LiveNationにおける様々なトピック-技術や独占の危険まで

・このpostは、10-Kと呼ばれるLIVE NATIONの2018年度決算における10-K(有価証券報告書)の翻訳のPART2です。原文はこちらです
・10-Kの序章は、下記のセクションに分かれており、本稿では5〜6の翻訳を紹介します。なお、注記がない限り、原文からの省略は一切行っていません。
1.会社について
2.戦略について
3.強みについて
4.事業について
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5.保有する会場について
6.競争について



ライブ会場の種類
スタジアム
スタジアムは多目的施設であり、多くは地域のスポーツチームのホームである。一般的に3万席以上を有し、ライブ音楽にとって最大の規模を有するが、ライブ音楽のために設計されたわけではない。
アンフィシアター 
アンフィシアター(=円形劇場)は、一般的に屋外で、5000-30000席を有し、夏季に使用される。多くがコンサートの使用のために設計され、プレミアムシートがあり、良い視界と音響が提供されるため、人気である。
アリーナ 
アリーナは屋内会場であり、多目的施設であって、多くが地域のスポーツチームのホームである。5000〜20000席を有する。屋内のため、同規模の屋外施設よりも快適で、豪華な機能とプレミアムメンバーシップを提供できる。その結果、価格に見合う快適さをファンに提供できるため、高価格帯のコンサートに人気である。
シアター 
シアターは音楽イベントのために建てられた屋内会場だが、演劇も含まれている。これらの会場は1000〜6500席を有する。コンサートプロモーターにとっては、成長中のアーティストやより多くの一般的なアーティストのコンサートを実施するにあたり、固定費を抑えられるため、リスクを下げることができる。アンフィシアターやアリーナよりもキャパシティが小さいため、1ライブあたりの経済的なアップサイドは見込めない。
クラブ
クラブは屋内会場で、音楽イベントのために設計されているが、コメディクラブなども含まれている。多くは1000以下のキャパシティで、シートが固定されていない。小さいサイズのため、経済的なアップサイドは見込めないが、固定費が低く、アーティストの成長にとって最適な環境であり、コンサートプロモーターにとってはリスクを抑えられる。クラブは年間を通じて使用できる。
ハウスオブブルーズ
ハウスオブブルーズは、自社ブランドの会場であり、ライブと食事の両方を提供できる。最適な音響環境を提供できるよう設計され、1000〜2000席程度。ホールに隣接したフルサービスのレストランとバーを有する。ブランドと食事のクオリティ、ユニークなレストランの雰囲気がといったイベント以外の要因によっても顧客を惹きつけ、地元の顧客からリピーターを生み出している。
フェス会場
フェス会場は屋外の立地で、基本的に夏季の大型ステージに、1〜複数日にわたって、複数のアーティスト・複数のステージで展開する。土地によって、会場のキャパシティは1万〜10万人/日に変化する。私たちは、複数のアーティストをまとめて見ることができる価値が人気だと考えている。フェスの会場では年間数回のイベントしか開催することができないが、イベントから様々なサービスで収益を生み出すことができるため、高い営業利益を生み出している。
競争
ライブ市場における競争は激しい。私たちは、クオリティの高い音楽イベント、チケット販売、ファンとアーティストの体験を強化する能力をもってして競争している。私たちの主な強みは、
・アーティスト、ファン、チケッティングサービス、企業スポンサーに対するサービスのクオリティ
・国内/グローバルにおけるライブイベントやツアーを行った実績
・アーティストとの関係
・グローバルなネットワーク
・チケッティングのソフトウェアとサービスのクオリティ
・ECサイトとそのデータベース
・会場を含む流通ネットワークの多様性
・広告やスポンサーシッププログラムにおける専門性・知識・範囲
・財務安定性
である。

・私たちの製品やサービスは現在これらのファクターにおいて競争力があるが、現在および将来の競合他社、特に大幅に高いブランド認知またはより大きな財務、マーケティング、技術、その他のリソースを有する競合他社に対してこれらの競合優位性を維持できるか、保証はない。
・私たちが興行を行う市場において、他のライブ会場運営会社やイベントプロモーターとの競争に直面している。私たちは興行ビジネスの参入障壁は低く、地域のイベントプロモーターが営業地域を拡大するケースが増えていると考えている。
・ライブ音楽興行における競争相手には、AEG、Frontier Touring,、Another Planet Entertainment、Jam Productions, Ltd、 I.M.Pなどや、また各地域の企業、ライブ会場の運営者などがいる。AEGは複数の名前で運営しており、AEG Live, Concerts West, Goldenvoice and The Messina Groupなどがある。ライバルのうちいくつかは、各マーケットにおいてLiveNationよりも強い存在感があり、他のスポーツやライブ会場を獲得しており、それらの地域におけるより強い財務資源が、私たちに対する競争優位を生み出している。
・私たちがライブ会場を運営している市場において、他の会場と競合して、一般的な地域においてパンフォーマンスを行うようなアーティストにサービスを提供する。一般に、ツアーを行うアーティストはスケジュールを組む際、私たちの会場以外に代替の案を持っている。私たちの主要な競争相手は、ASM Global、The Madison Square Garden Company、The Nederlander Organization、Bowery Presentsといった会場運営の企業であり、他の多くの各エリアにおける小さな企業たちである。会場運営を行う企業のうちいくつかは、より魅力的な、あるいはより多い数の会場の運営をそれぞれの市場で行っており、その場所においてより財務資源を有していることもある。
・現地市場レベルでのスポンサーシップや広告宣伝の主な競合相手は、最先端の会場、強力なブランドアソシエーション、魅力的な地元のメディアパッケージ、フェスティバル、テーマパークなどや、地元イベントを提供する地元スポーツチームである。全国レベルでは、スポンサーシップを販売する主要なスポーツリーグと、重要な国内メディアパッケージがある。
・チケッティングサービスの産業では、主にオンラインおよびモバイルチャネルを通じた販売だけでなく、コールセンターやチケット販売店も含まれる。 オンラインおよびモバイルのチケット購入が増加するにつれて、関連するチケット発券コストは一般的に減少し、テクノロジーベースの企業は、1次および独自のチケットサービスの運営や、自社システムを利用した独立型の自動チケッティングシステムを提供しやすくなった。 オンライン環境では、他のWebサイト、オンラインイベントサイト、およびチケッティング会社と競合してイベント情報を提供し、チケットを販売し、ファンクラブやアーティストWebサイトなどの他のオンラインサービスを提供している。
・私たちは、新たなライブ会場やイベントに新たなファンを提供しうる他の各規模の1次チケッティングサービスの提供者との競争に晒されている。再販売、または二次流通のチケッティングサービスは連邦および州の禁止にかかわらず、特定のブローカーが販売時に最も良いチケットを購入しようと試みるために自動化されたボットによって、積極的な1次チケットの購入を行っている。 インターネットは、ファンや他のチケット販売店が再販ウェブサイトや市場での在庫の集約を通じて非常に多くの視聴者に到達することを可能にし、より多くのより多様なイベントのチケットへのより便利なアクセスを消費者に提供する。
・また、自社のチケッティングシステムを有する企業や、それらを既存の事業に統合したり、主要な発券サービスプロバイダを買収した会場との間でも、ますます激しくなる競争に直面している。 Tickets.com、AXS、Paciolan、Inc.、CTS Eventim AG、Eventbrite、eTix、Ticketfly、SeatGeekなどの主要なチケット会社が競合他社となる。 StubHub、Vivid Seats、TicketNetwork、SeatGeekなどの二次発券会社も存在する。大規模なテクノロジー企業やeコマース企業など、他の多くの企業も、近年これらの市場に参入したか、これから参入する可能性がある。


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