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ひとりと一匹

私はあなたの目です。

私があなたを引っ張って、光よりも眩しい日常に導くのです。


どうやら、ここのカフェは私の入店は禁止らしい。

だからあなたも入店できない。


でも、落ち込まないで

私が次のカフェまで導くから。




そしたらゆっくり珈琲を飲んで、
流れるジャズでも聴きましょう。
じっくりとまどろんで下さい。
今日はたくさん歩いたから、
全身がとても強張っているでしょう。


ひと休みして家に帰ったら、
いつも通り私にジャーキーをくださいね。


私の好物、少し硬めの歯応えのあるジャーキー


その時のあなたは、いつも有難うって言って
私の毛並みを撫でてくれる。



私はあなたの目です。

これが私の役目なんです。


私は自分の仕事に誇りを持っています。

それは、あなたの力になっているという
実感が湧いているからです。


あなたにぶつかる外敵は私が払ってあげましょう。
暗闇の中にいるあなたの舵を、私がしっかりと取ってみせます。


歯応えがあるジャーキーと
身体を撫でてくれる
優しい手。


対価はこれで十分過ぎます。


私は毎日嬉しいのです。
盲導犬になってから、あなたと同じ方向を見つめ、
強く生きることを知りました。


働くことは嬉しいことです。


あなたから沢山の感謝を頂いていますから。

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