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よりよい製品・サービスをつくるための顧客体験設計

こんにちは、NEWhサービスデザイナーのわたなべです!今日は顧客体験の設計をテーマに書いてみようと思います。

世の中には様々なサービスが溢れていますが、みなさんにとって「良いサービス」とはどういうものでしょうか。アプリがすごく使いやすい、スタッフの接客対応がとても良い、とても専門性の高いサポートをしてもらえるなど…色々考えられるかと思います。私は良いサービスを一言でいうならば「自分(顧客)が求める価値を期待通りまたはそれ以上にして受けることができる」ものだと思っています。
良い製品・サービスでをつくっていくためにはそれらをまず顧客に使ってもらい、使い続けてもらうために継続的に顧客を惹きつけていく必要があります。そのためには顧客が製品・サービスに求める価値を把握し、それらを使う顧客体験(Customer Experience/CX)を理想的なものに設計していくことが重要だと考えています。今回はよりよいサービスを作っていくために重要な「顧客体験設計」の際に意識すべきことについて取り上げます。


良い顧客体験とは?

顧客体験とは顧客が製品・サービスを認知した時点から、購入・利用し続けるまでのサービス提供者である企業との接点ならびにその体験(ジャーニー)を指します。CXはいわゆるUX(製品サービス利用の中で得られる体験)だけでなく、製品・サービスとの出会いから利用の後までの顧客が体験するジャーニー全般を含みます。顧客が製品・サービスに関わる全てのタッチポイントにおいて、それぞれの状況や背景を理解し、目的やゴールに沿った行動を達成できるようになること、またそのように改善していくことが「良い顧客体験」をつくることだといえると思います。

それらの「顧客にとっての良い体験」が何であるかは、観察やインタビュー調査などのユーザーリサーチを通じて明らかにしていくことも重要だと考えています。顧客の声に直接耳を傾け、その潜在的なニーズや課題を捉えていくことが、良い顧客体験設計のための第一歩ではないでしょうか。
次に具体的に顧客体験設計の際のポイントをご紹介します。

どうやって良い顧客体験を設計していくのか

実際にどうやって顧客体験を設計していくのか、またどうやって良い製品・サービスの体験につなげていくのかについてご紹介します。顧客体験の設計にあたってはカスタマージャーニーマップやサービスブループリントなど様々なフレームワークを使っていきながら設計していくことが多いですが、今回は細かい手法というよりは全体的な考え方に絞ってポイントを挙げてみます。

①顧客体験をライフサイクルとして考える

まず顧客体験を考えて行く際、顧客の行動や製品・サービスと関わっていくフローをライフサイクルとして考えることが重要です。CXを設計、改善していく際には製品・サービスを利用する体験だけではなく、認知をし、検討から利用後のフローまで長いライムラインでの顧客の行動を明らかにしていく必要があると考えます。

製品・サービスの利用体験だけではなくその前後の行動も俯瞰する。

またサービスに関わる顧客のジャーニーは一方通行ではなく、途中で利用をやめてしまったり、再加入して再度エンゲージを高めていくなど、様々に分岐もしていきます。製品・サービスの利用を検討する段階でどのような価値を提供するべきか?利用中にどんな体験を提供することで製品・サービスの提供価値を高められるか?利用をやめてしまいそうなときにどのようなフォローアップが可能か?など、顧客がサービスを通じて得る体験全体を俯瞰して見ていくことが重要です。製品・サービスのライフサイクル内の各フェーズにおける顧客の状態や課題、期待などを明確にすることで、それぞれに適した体験設計を行うことができるようになります。

顧客のジャーニーをライフサイクルとして捉え、課題や期待を明らかにしていく。

②MOTを捉える

製品・サービスのライフサイクルにおける「顧客にとって重要な瞬間(MOT:Moment of Truth)」を捉えることも重要だと考えます。MOTとは、1980年代にスカンジナビア航空のCEOであったヤン・カールソン氏によって提唱された概念で、MOTは顧客が企業やブランド、製品、サービスの質を判断・決定する瞬間であると定義しました。サービスの利用開始タイミングや利用中の満足度、利用継続や他者への紹介を決めるタイミングに影響するなどMOTを捉えることは顧客体験全体が大きく変化しうる重要なポイントだと考えています。MOTを特定しそこでの顧客体験を最適化することで、全体の顧客満足度を大きく向上させることができます。

顧客のMOTを捉えることで顧客体験全体を改善し、製品・サービスに対する満足度を高める

MOTの理解にあたっては、顧客理解のためのリサーチが非常に重要な役割を果たします。単に顧客の意見を聞くだけでなく、顧客の潜在的な課題や期待を明らかにしていくことが重要です。

③どう提供するのかまでを考える

顧客のライフサイクル全体を俯瞰しMOTを捉えた上で理想の顧客体験を考えていくにあたっては、どのようなオペレーションでどうやってその体験を届けられるかを考えていくことが重要だと考えています。顧客と自社とのタッチポイントは何なのか、自社のフロントステージでは何を行うのか、フロントステージとバックステージではどのようなやりとりを行うのか、といったことを詳細に考えていく必要があります。特に提供者(企業)側のバックステージのやりとりまで考えていくことで、最終的にどうやって顧客へ価値を届けるかをよりリアルな形で考えていくことができます。オペレーションの設計は、理想の顧客体験を実現するための重要なステップの1つだと考えています。

サービスブループリントを描いて顧客への価値提供の仕組みを具体的に考える。

さいごに

今回は理想の顧客体験を設計するためのポイントについてご紹介しました。顧客体験の設計は、製品・サービスの成功や顧客の満足度を左右する非常に重要な要素だと考えています。製品・サービスの顧客体験設計の取り組みにこれらのポイントが何か1つでも役立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!

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