ハニワと土偶の近代展に行ってきたよ
すっごく良い展覧会でした。12月まで開催されているので、美術好きだけでなく、大河ドラマ好きな人、万葉集好きな人、彫刻が好きな人、みんな見に行ったら良いと思います。
とても勉強になりました。
東京国立近代美術館に行ったのは恥ずかしながら今回が初めてでした。本当に良い美術館でした。
ハニどぐは良いぞ
キュレーションがうますぎる展覧会でした。
「ハニワ」と「土偶」が明治以降の日本のアート界隈に於いてどのように受容されてきたのか。もっと言えば、なぜ「ハニワ」も「土偶」も令和の今、身近な存在なのかという歴史をたどる旅でした。
田中真弓さんとはに丸の出てくる音声ガイドはぜひ聞いてください。650円は安すぎるほどの情報がもらえます。
戦前のハニワ
明治維新後、日本は国の起こりを諸外国に対して説明する必要に駆られました。そこで「万世一系」の象徴として、大王の墓の周りにハニワが置かれたこと。そのハニワの姿が古墳時代、そして万葉の時代の習俗をそのまま残したものとして強調される時代が来ました。
特に明治天皇が崩御した後、1300年は途絶えていた埴輪づくりが再開されたことは戦前のハニワブームに大きな影響を与えました。また、仏教伝来以前の「大和魂」を象徴するものとしてもハニワは見出されることとなります。
日中戦争がはじまると、ハニワは戦争に赴く兵士やそれを見送る母の象徴として扱われるようになります。
かなり政治的な要素が強いものとしてハニワは扱われました。
戦後のハニワ
戦後、皇国史観が否定されると今度は焼け野原となった日本の土を掘り起こし、日本神話によらない、科学的な考古学による歴史観が求められるようになりました。
今度はハニワは、考古学の象徴、神話ではなく実際にそこにあった「モノ」としての歴史を担う存在として、歴史の教科書の冒頭に登場することとなります。
1950年代はハニワブームの年代で、ハニワに「素朴さ」を見出す時代となりました。
土偶の時代
それと並行して、ヤマト朝廷が成立するずっと前、縄文時代の土偶に「美」を見出そうとする動きも生まれました。縄文派対弥生派という美術、建築分野での論争が見られるようになります。
展覧会はその後、ハニワも土偶も一定の期間を置いてブームが繰り返され、今でも表象されるものだという終わり方をします。しかしヘビーな内容でした!もりもりだくさんでした。
何を美しいとするのか、何を面白いとするのかはその時代その時代の世相に左右される。とても政治的な内容なのですが、どんな展覧会もどんな作品制作も政治的なのでそれは当たり前なのだということを思いました。
音声ガイドのボーナストラックの学芸員さんのお話もとても面白かったです。入り口はポップ。でも内容はヘビーな展覧会だとおっしゃっていましたが、本当にその通りでした。3時間たっぷり学ばせていただきました。美術館は教育施設です。
東京国立近代美術館、また行きたいです。今度はじっくり常設展を見ようと思います。
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