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ミュージカル「CROSS ROAD」を見て来ました

シアタークリエにて上演中のミュージカル「CROSS ROAD」を見て来ました。

ある日ツイステッドワンダーランドをやっていて「COME FROM AWAYで初めて加藤和樹さんを見られることになったので、そろそろまた相葉裕樹さんのお芝居も生で見にいきたいな〜〜」と思っていたときに、初演時に大変評判の高かった本作が再演されることを知りました。

えっ有沙瞳さんの宝塚退団後初めてのミュージカル?
えっ山寺宏一さんもでるの!?
いつか中川晃教さんの舞台は見てみたかったんだよね〜
春野寿美礼さんのお母さん役は最高だぞ〜〜
なるほどパガニーニの話なのか〜!見る〜〜!!とチケットを取りました。
東宝のYouTubeに載っていたナンバーを聞いたり、パガニーニについて改めてWikipediaで調べたりはしましたが、あらすじに関してはほとんど前情報なしで見に行きました。最高でした。評判以上のミュージカルでした。

観劇前にシャンテのフォトスポットにも行ってきました!

私が見た時のキャストは以下の通りです


物語は主人公ニコロ・パガニーニ(相葉裕樹)の死後、彼に仕えた執事アルマンド(山寺宏一)が守る屋敷に、ジプシーの娘、アーシャ(有沙瞳)がやってくるところから始まります。
くらっち(有沙さん)がかなり私の近くのドアから現れて客席を通り舞台に上がっていくオープニングがとても素敵でした。初めは「忍び込んだジプシーめ!泥棒猫!」とアーシャに冷たくあたったアルマンドですが、アーシャは本当にパガニーニの音楽を愛した人だとわかり、彼女にパガニーニの生涯を語って聞かせるという形式で物語は進みます。
その超絶技巧のバイオリン技術のあまり、史実でも「悪魔が弾いている」と言われていたパガニーニが、本当にアムドゥスキアス(中川晃教)という芸術の悪魔と契約していた。
才能はあるが天才ではない若きバイオリニスト、ニコロ・パガニーニに100万曲の素晴らしい音楽の演奏ができる機会を与える。しかし、その100万曲は命と引き換えであり、一曲一曲は全て悪魔アムドゥスキアスに捧げること、アムドゥスキアスが「弾け」と言ったら必ずバイオリンを引くこと。こうした条件がもたらされます。
若きバイオリニストは教会で演奏することを避けるほか、その超絶技巧で「悪魔」と呼ばれ、熱狂的に観客に受け入れられながらも世間から疎まれる存在となります。ニコロはどんどん孤独を深めていきます。
ナポレオンの妹、エリザ・ボナパルト(元榮菜摘)がパトロン兼恋人になり、名声を手に入れるものの、曲を弾くごとに減っていく命を思うと恐怖が手放せません。
悪魔アムドゥスキアスは契約を盾にパガニーニの音楽を全て自分のものとしようとする。そして、100万曲のうち最後の1曲が奏でられるとき、悪魔と悪魔と言われたバイオリニストは何を語るのか……というお話です。

とりあえず第一幕の伏線が全部第二幕で回収される鮮やかさが素晴らしかったです!!元々悪魔として人ならざるものとしてそこにいる悪魔、アムドゥスキアスと、だんだん人から離れていってしまうニコロ・パガニーニ。この二人の主人公の物語なのだと思いました。
どんどん人から離れていってしまうニコロに、母テレーザ(春野寿美礼)と執事アルマンド、そして楽屋に忍び込んではニコロにバイオリンを教えてもらうアーシャがいてくれました。
エリザさんも本当にニコロを心から愛していて、どうしてエリザさんだけが報われないのか。エリザさんの孤独が癒やされるだけでは駄目だったのか、エリザさんはアムドゥスキアスに操られるだけだったのかと考えたのですが、あくまでもエリザさんはバイオリニストのパガニーニを愛したのであって、ただの人間のニコロに向き合えたのは母と執事と弟子の3人だけだったのかもしれません。

楽曲が本当に素晴らしくて。山寺さん演じるアルマンドが歌う曲で何度も泣きました。
天使ではないが悪魔ではない。ただの人の子がニコロであると。人の子のニコロが好きだと言ってくれる人は、悪魔のバイオリニストの近くにも確かにいたのだという救いの物語でもあります。

人も悪魔も皆、音楽の奴隷。音楽が欲しくてたまらない。その感情の前に人も悪魔も関係ない。
私はラストは確かにアムドゥスキアスは契約を果たしたけれども、ニコロとの賭けには負けたと思います。テレーザさんが言った通り、ニコロは十字路の悪魔には負けなかったのだと。

相葉さんは流石でした。どんどん追い詰められ人から離れ孤独になるのに、最後は人として生きることとなった天才音楽家。ダンスも歌も本当に上手かった……なんだかんだ言って自分の選択で自分の人生を生きたお役でした。
眠っている時とテレーザ、アーシャ、アルマンドと話す時は本当にホッとした顔をしているんです。それ以外はずっと自分で自分を追い詰めている。本当は何が怖くて何が安心するものなのかわかっていたけれど、悪魔と契約してしまったがために契約違反を恐れ過ぎてしまった。その彼が最後に賭けに勝ったのが100万曲目の演奏だったのです。

中川さんも凄かったです。声からしてこの世のものではないことがすぐにわかりました。なんであんな難しい歌を歌えるんですか?中川晃教さんだからですね。でも最後はソロモン72柱に名を連ねる悪魔なのにとても人間臭かったです。パガニーニがこの世を去ることが、自分が決めた契約の上とはいえ寂しくて仕方がないように見えました。

有沙瞳さんは宝塚退団後初めてのミュージカルが本作とのこと。こうした逆境にも負けず自分を自由にするために行動できる役を演じたらくらっちは天下一品なんですよ。それはもうわかってました。ニコロの楽屋に忍び込んでバイオリンの教えを乞うのは自由を得る為。音楽は流浪の民を差別しないから習いたい。この役はくらっちにぴったりでした。「ギャンブルに弱いパガニーニさん」を知ることができたのはアーシャがアーシャだったからなのでしょう。有沙さんまた舞台姿を見たいです。本当に彼女がニコロの人生に現れてくれてよかった。アルマンドさんとアーシャはこれからもニコロ・パガニーニの人生について語り合うのでしょう。

これ本当に良いミュージカルですわ。ナンバーもキャストさん方も物語の構成も見事でした。また見にいきたいな……音源だけでも出してくれるとありがたいです。それまではYouTubeに上がっているナンバーを聞きます。
まだチケットあるっぽいのでぜひ。

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