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サードパーティCookieの廃止の影響

今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
先日開催された、関東支部と中四国支部共催のセミナーイベントに参加してきました。今回は、そこでの学びを共有しようと思います。
様々な方が様々なテーマでお話しされていて、とても多くの学びがあったのですが、その中でもウェブ解析士の注目度が高そうなテーマ「サードパーティCookieの廃止」について記していこうと思います。
参加したイベントはこちらになります。



Cookieとは

そもそもCookieとはという点についておさらいしておきましょう。
Cookieはブラウザごとに記録される小さなファイルのことです。最大で4,096バイトのデータを保存できます。保存される情報は、最後にサイトを訪れた日時や訪問回数などがあり、ウェブビーコン型アクセス解析では、ユーザーの識別、ユニークアクセス・セッションの測定に使われることがあります。
「ブラウザごとに記録される」ものなので、同一人物であってもスマホとPCのように端末が変わったり、ChromeとSafariのように異なるブラウザを利用すると、それぞれ別のユニークなCookieが付与されるため、データ識別状は別人物となります。

そして、Cookieは発行元によってファーストパーティCookieとサードパーティクッキーに分類されます。
ファーストパーティCookieは、ユーザーが閲覧リクエストを送ったドメインが発行するものです。発行元のドメイン以外からは参照することができません。ドメインを跨いでの付与もできません。ウェブサイトへのログイン状態の保存やECサイトでカートの状態を保存する際などに利用されています。
これに対して、ユーザーが閲覧リクエストを送ったドメインと異なるドメイン(第三者)が発行するものをサードパーティCookieと呼びます。こちらの場合、サイトを跨ってCookieを付与することができるので、広告配信サービスやアクセス解析ツールなどで利用されています。

Cookie規制の動き

Cookie規制の概要については以前記事を書いているので、そちらを参照ください。

さて、2024年後半から段階的廃止を表明していたGoogleですが、2024年4月23日に執行の延期を発表しています。現段階では2025年の初めからChromeブラウザにおけるサードパーティCookieの廃止を進めていくと想定されています。
Chromeのシェアはなんと58%にのぼります。すでにITPという独自のトラッキング防止機能が実装されているSafariのシェア(21%)と合わせると約80%のブラウザでサードパーティCookieが規制されることになります。

サードパーティCookie規制で何ができなくなる?

最も大きな影響を与えるのは、ウェブ広告の配信だそうです。ウェブ広告の配信に使われているCookieは広告ネットワークや第三者サービスプロバイダーが発行したもの。つまりサードパーティCookieです。
では、その配信用のCookieが使えなくなるとどうなるのか。

ターゲティングの問題

簡単に整理すると、パーソナライズされた広告配信が難しくなります
例えば、一度サイトを訪れたユーザーに広告を表示するリターゲティング広告や、普段どんなサイトを訪れているかといった興味・行動に基づいたターゲティングが難しくなるようです。

配信先の問題

生成AIの普及によって広告を掲載するためのサイト(MFA)が簡単に構築できるようになっているそうです。そのため、大量のMFAサイトが作られる可能性が出てきています。
サードパーティCookie廃止にともなって、ターゲティング精度が低下していくと、そうした質の低サイトへの広告掲載が増える=CVが取れないサイトへの広告掲載が増える可能性があるそうです。

計測について

勘違いしやすいのが、「サイト内での行動分析やセッション管理ができなくなる」というものです。ですが、大手のプラットフォームでは、計測に使用しているCookieはファーストパーティ製ですので、計測は従来通りできると考えて良いようです。
ただし、Appleが提供するITPはファーストパーティCookieでも7日間しか保存されなかったり、改正電気通信事業法によって対象事業者はCookie取得の同意が必要になったりしているので、正しい計測ができない可能性もあるようです。

まとめ

ということで、サードパーティCookieが規制されると、ウェブ広告を配信する際のターゲティング精度が落ちていきます。その影響で、CVRやCPAが悪化していくことが懸念されます。また、CVデータが欠損することで機械学習の精度が落ちるので、こちらもまたターゲティング精度の低下につながっていきます。結果として広告のパフォーマンスが低下することが懸念されます。
そこで、私たちウェブ解析士が考えなければならないのはアドテクに頼らないマーケティング思考を持つことですね。
「誰に(顧客理解)、何を(提供価値)を届けるのか」という戦略の根幹をしっかり考え、ターゲットのオケージョンを理解したコミュニケーションをとっていく必要がありますね。

あとがき

ウェブ解析士のテキストでは、第1章で基礎知識やウェブ解析士としての心構えを学んだ後に、第2章で事業戦略とマーケティング解析を学びます。実務的なアクセス解析より先に戦略部分を学ぶのは、こうしたテクノロジーの変化に振り回されずに成果を上げるためなのかもしれませんね。
「中の人」は広告技術とかには疎いので、もっと勉強していこうと思います。
それではまたお会いしましょう。

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