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ウェブ解析士会議2024

今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
さて、先週末5年ぶりに開催されたウェブ解析士会議に「中の人」も参加してきました。
「生成AI時代に顧客を魅了するコンテンツ制作の極意」と題して行われたセミナーイベントは5時間という長丁場ながら、濃密な学びがありあっという間に過ぎていきました。
今回は各セッションの要所をまとめながら、「中の人」が感じたことをまとめていきます。終盤、セッションに集中し過ぎて、メモを取り損ねているものもあって、内容の濃さに偏りがあるのはご容赦ください。(笑)


あしたのウェブ解析2025(江尻俊章氏)

セッション要約

個人情報保護の機運が高まり、従来のようにデータの取得をしていくのが難しくなりました。また、生成AIの登場により仕事のあり方が変わろうとしています。そんな中で私たちウェブ解析士は岐路に立っています。
私たちが扱ってきた客観的な事実としての【データ】は「精製」することで、人に伝達するためにまとめられた【情報】へと昇華することができます。そこからさらに精製を重ねることで、施策を導く【知恵】へと昇華していきます。
AIは情報を知恵に加工することを手助けしてくれます。私たちウェブ解析士の仕事はデータを情報に精製するところにあると江尻氏は提起していました。

中の人の感想

データを加工して意味のあるものにしていく、というのは私たちがこれまでやってきた活動そのものですね。AIに読み込ませる情報をどこからどう取得し、どういう角度からプロンプト(指示)を書き込むかという点において、私たちウェブ解析士のできることがありそうですね。

顧客が「買いたくなる」コンテンツマーケティングの極意(松尾茂起氏)

セッション要約

ステージング理論と言って、みんな自分のストーリーを生きている。そのストーリーを思い通りの展開にしたいと思っていて、そのストーリー展開に欠かせないと思うからこそ商品は買ってもらえるのだそうです。
欲求には3段階のingがあるそうです。まずは「所有したい」と思う【having】、次に「使いたい・やりたい」と思う【doing】、そして使った先の「なりたい」と思う姿【Being】。このBeing軸で訴求することが成果を生み出す秘訣なのだとか。ただ、Beingの直接訴求は難しいものがあるそうです。誰だって図星を突かれるとイラッとするので、直接訴求するのではなく、イメージしてもらえるように訴求するのが良いそうです。相手の本音に寄り添うのがポイントだそうで、エンパシー(相手に共感する)よりもシンパシー(相手に共感してもらう)ほうが効果があるそうです。
シンパシーを感じてもらうBeing訴求として、ユースーケース(活用事例やお客様の声)の活用も効果的だそうです。

中の人の感想

Being軸での訴求というのは、ブランド論的には情緒的価値の重要性に近いものがあるなと感じました。その分難易度も高いのだろうなと。ただ、ヒントみたいなものも見えていて、コンテンツ制作といえど、その背景に流れるコンテクスト(文脈)に気を配っていくことが重要になりそうだなぁと思っています。

食わず嫌いとか言ってられないアクセシビリティ(清家順氏)

セッション要約

アクセシビリティとは、「障害の有無に関わらず、より多くの人が快適に使えるための配慮や設定」のことだそうです。ウェブ上でアクセシビリティを高めることは「アクセスできる人を増やす」ことにつながり、リーチできる層を増やすことにつながります。
昨今話題になっている「ウェブアクセシビリティの義務化」ですが、正確には法的な義務は現在はありません。が、法的な義務じゃないからといって取り組まないことは「食品衛生法を守っているが美味しくない料理を提供するレストラン」のようなもの。取り組まない理由はないですよね。
セッション内ではWACAサイトのトップページのライブチェックがありました。指摘箇所は以下の通りです。

  • フォーカスインジケータ(枠)が表示されない

    • キーボードで操作した際に操作対象のリンクに枠が表示されないので、どこにカーソルがあっているのか分からない

  • コントラストが低い

    • 背景と文字のコントラストが低いので、文字が読み取りづらい

  • カルーセルパネルが動いているし、止められない

    • カルーセルパネルが5秒間隔で動いているので、時間内に文字が読みきれない上、停止させることもできない

ウェブアクセシビリティをまず始めるなら、デジタル庁『ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック』を読んでみる。しっかり取り組みたいなら『WCAG』や『JIS X 8341-3:2016』などの規格文書を読むのもおすすめだそうです。

中の人の感想

このnoteでも、以前ウェブアクセシビリティについて軽く触れたことがありますが(過去記事)、正直「難しそうだな」とか「何から始めるのが良いか分からん」といった印象でした。
ただ、せっかく苦労したウェブコンテンツはできるだけ多くの人に見てもらいたいと思うものです。ウェブアクセシビリティを改善することで、より多くの方に届けていくことができるのであれば、やらないという選択肢はなさそうですね。

2万ダウンロードのGA4資料とga4.guideがどうビジネスにつながったのか?(小川卓氏)

セッション要約

このセッションは小川氏が自身で運営するメディアの(https://www.ga4.guide/)の戦略を実際のデータをもとに解説するというものでした。
その中でも、コンテンツを生み出す上で重要なのは「専門性」「継続性」「話題性」「収益性」の4点です。それぞれが噛み合うことで成果を上げるコンテンツを作成できるということを、ご自身のメディアのデータを踏まえて説明いただきました。
コンテンツといっても、アウトプットの形は様々なで文章だけでもホワイトペーパーや、オウンドメディア、外部記事に書籍と様々な形があります。画像や動画での説明、セミナーなどもアウトプットの形です。
専門性+独自性のあるコンテンツを作成する上では生成AIはあまり活用できないようです。情報ソースを集める際には同類のサイトなどを一覧化してくれるので便利ですが、嘘情報が紛れているので注意が必要とのことです。

中の人の感想

マーケティングに携わっていると「顧客起点!」と口酸っぱく言われていてニーズにばかり目を向けがちです。そのせいか「自分だからできること」というシーズ視点が抜け落ちてしまうことがあります。小川氏が「こういう話をすると「小川だからできたんだろ」と言われることがありますが、その通りです!」と胸を張って仰っていたのが、とても格好良く見えました。ニーズだけでなくシーズにも目を向けていこうと感じたセッションでした。

なぜ生成AIで”思い通りに”キャッチコピーや記事が作れないのか?(足立裕哉氏)

セッション要約

生成AIのすごいところは、「早い・安い」「適当な指示でも「何か」は出す」「やる意味は何ですか?とか言わない」だそうです。ところが、短文の出力しかできず、抽象的な話が多く、箇条書きばかりなうえ表現がくどいという欠点も見受けられます。
どうしてこうなるのかというと、一発で答えを導こうとするプロンプトが問題なのだとか。
人間の作業はスペシャリストが連携して、「どんな商品か?」「どんな市場か?」「どんなターゲットか?」「どんな価値があるのか?」「どんなメッセージが有効か?」といった数珠つなぎのように様々なプロセスを経てアウトプットされます。AIにも同様に各作業を手順を踏んで指示を出していくとそれなりのアウトプットが導けるそうです。
AIに高品質のアウトプットをさせるには、下記の5点を意識すると良いそうです。

  • 読み手のペルソナを設定する

  • 手本となる文例を与える

  • 詳しい周辺情報を与える

  • 出力プロセスを分割して逐次処理する

  • ステップごとに別のロールを与える

中の人の感想

プロセスを分割して考えるというのは、すごく大事な考え方だと思っています。AIに与えるプロンプトに限った話ではなく、日常の業務にも言える話だと思うんですよね。タスクを細分化していくことで、行動すべきことが見えてきます。仕事ができる人って、このタスクの細分化が上手いんだと思うんですよね。一つのアウトプットに対して、どんな作業があるのかというのを考えていくと学びが深そうですね。

良いコンテンツマーケティング悪いコンテンツマーケティング(栗原康太氏)

セッション要約

良いコンテンツマーケティングと悪いコンテンツマーケティングを見極める条件が4つあるそうです。
一つ目はどこから認知を得られるかという点です。多くのPVや資料請求・ダウンロードを得られても、商談・受注につながらなければ意味がありません。悪いコンテンツマーケティングは広くリードを集めてファネルを進めていきますが、良いコンテンツマーケティングはしっかりターゲティングを行なった上でリード獲得を目指します。
二つ目は顧客の購買プロセスを理解しているかという点です。どんなにSEOを頑張って検索上位表示されても、購買プロセスに「検索」が入っていなければ成果は上がりません。良いコンテンツマーケティングでは事前に購買プロセスを調べて、発信すべきチャネルに注力します。
三つ目は投資規模は適切かという点です。近年ではコンテンツマーケティングに取り組む企業が増えて、スモールスタートでは勝てなくなっています。「とりあえず手を出してみる」ではなく、しっかりとリソースを集めて投資することが良いコンテンツマーケティングの条件になってきています。
四つ目はどの層を狙うのかという点です。顕在層のみにリーチしていくと、膨大な潜在層を取りこぼし、将来的にシェアが低下する危険性を孕みます。良いコンテンツマーケティングでは健在層にリーチするとともに、潜在層に対してもアプローチしていくことが求められます。

中の人の感想

コンテンツマーケティングの第一人者である才流の栗原氏の言葉は重みがあるなと思ったのが正直な感想です。特に、「スモールスタートでは勝てない」というのは実体験からも納得せざるを得ません。投資するにも限度があるという企業も多いと思いますが、しっかりターゲティングして限られたリソースの中で成果を出すにはどうすべきかを考えて行動するのがウェブ解析士なのだろうなと思わされました。

インスピレーション体質を養うアイデア発想法(田口真行氏)

セッション要約

「自由な発想でアイデアを出してみよう!」と言われると逆に何もアイデアが出てこないということが起こります。そこで、あえて制限をつけることで自由に発想してみるのが効果的なのだとか。
「もしも〇〇だったら」という条件をつけていくと様々なアイデアが出てきます。

  • 条件や範囲を限定する

    • 世代限定

    • 地域限定

    • 職種限定

    • 期間限定

  • 架空の設定を背負わせる

    • 恋愛ドラマだったら

    • ハリウッド映画だったら

    • サスペンス小説だったら

    • 少年マンガだったら

  • 実在の人物になりきる

    • 秋元康さんだったら

    • タモリさんだったら

    • ウォルト・ディズニーさんだったら

    • 織田信長だったら

日常の生活の中でも発想法を養うことができるそうです。
例えば、駅の中で空いている広告枠を見つけたら「自分だったらどんな広告を掲出するか」と考えてみたり、自動販売機を見つけたら「誰がどんな想定でここに自動販売機を置いたのか」「次に買う人はどんな人だろうか」と思考を巡らせることで、発想法を鍛えていけるそうです。

中の人の感想

当日は、セッション中に様々な場面で参加者300人が自由な発想でブレストが行われていました。セッションで教えていただいた発想法ももちろん重要なのですが、田口氏が創り出す世界観というか、「ここでは自由に発想して良いんだ(正解でなくても良い)」と思わせる空気感をつくるというのも、ビジネスの現場でアイデア出しをする場面では重要なのだろうなと感じました。

あとがき

最後までお付き合いいただきありがとうございました。
それぞれのセッション、とても内容が濃かったのにこんなに簡潔にまとめて怒られないか心配ですね(笑)講師陣の皆さんはお話もとても上手で、セッションの内容以外にもプレゼンの勉強にもなりました。
実は、中の人はコロナ禍に資格を取得したので、ウェブ解析士会議は初めての参加になりました。現地ではたくさんの人にご挨拶させていただき、とても楽しかったです。どうやら、少しずつこのnoteの知名度も上がっているようで、継続してきて良かったなぁと感じました。挨拶させていただいた方々には「ネタ切れなので、リクエスト待ってますね!」とお願いもしてきましたよ(笑)
たくさんの学びがあって、たくさんのご縁が繋がる場所でしたね。オンラインで気軽にできることが増えた一方で、リアルの貴重さというのも大事だなと改めて感じたイベントでした。
それではまたお会いしましょう。

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