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ウェブ解析士のモラルの話。

ウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
最近、マーケティングが注目を集める一方で、マーケターのモラルについても話題になっていますね。
そんなわけで今回は、デジタルマーケティングに携わる上で心得ておきたいモラルについて書いていこうと思います。

GA4がリリースされた背景って知ってる?

Googleアナリティクスが2023年7月から、現行のユニバーサルアナリティクスからGA4へ完全移行することが最近のホットな話題ですね。すでに対応を急がれている方もいるかもしれません。
実際にGA4を触れた方ならお分かりだと思いますが、ユニバーサルアナリティクスからの正統進化ではなく、大きく方針を転換しています。
では、なぜそのような転換をしなければならないのでしょうか。

プライバシーの問題

GA4がリリースされた背景のひとつに「プライバシー保護の問題」があります。
これまでデジタルマーケティングで重宝されてきたCookieそのものは匿名性のある情報ですが、他のデータと紐づけることで個人を特定しえるほどのデータになります。なので、近年は個人情報として扱われるようになってきました。
GDRP(EU一般データ保護規則)やCCPA(カルフォルニア州消費者プライバシー法)など、その潮流は世界規模に及びます。
また、Cookieを利用したリターゲティング広告などで「広告に追いかけまわされる」ことに気持ち悪さを感じる消費者も少なくありません。
そうしたプライバシーへの配慮から、現在はCookieを規制する潮流にあります。
このような背景から、プライバシーに配慮しながら分析を行えるようにとリリースされたのがGA4です。

GA4のリリースから考えられること

このような背景から考えられる、デジタルマーケティングに携わる者が心得るべきモラルとは何でしょうか。
それは、「個人情報(と同等のデータ)を取り扱っている」という責任感と自負だと思います。
ウェブ技術は急速な発展を続けており、法整備が追いついていないケースも見受けられます。
それに対応すべく、Googleという大きな組織が転換に乗り出しました。
私たちデジタルマーケティングに携わる者も、プライバシーへの配慮を欠いた行動は慎むべきでしょう。
また、たとえ法律的な問題がなかったとしても「ユーザーの望まないことはしない」という意識が重要です。
マーケティングは「顧客の満足度」を高め、事業を成功に導く行為です。それにもかかわらず、見込み顧客の心象を損ない、信頼を失うような行為は結果として事業に損害を与えてしまうので、細心の注意を払うべきでしょう。

モラルを欠くマーケティング手法

ステルスマーケティング

一時期話題にもなったので「ステマ」というワードに覚えのある人は多いのではないでしょうか。
口コミを作為的に捏造する行為を指す言葉です。例えば、インフルエンサーなどに対価を支払って(それを隠しながら)良い評判を広めてもらう、複数のアカウントを利用して高評価口コミを大量に投稿するなどが挙げられます。

その他の不誠実な手法

広告であることを明記せずにあたかもネイティブ・コンテンツであるような見せ方で配信する行為や、不正なプログラムを使用したSEO対策、信憑性の欠ける記事の大量投稿による広告収入など、過去に露見した事例だけでも様々な不誠実な手法があります。

こうした手法の結果、消費者の信頼を損ない、全ての事例で大きな損失を招いています。
また、不誠実な手法によって募る不信感は、企業に対してだけでなく媒体に対しても波及します。
例えば、不正なプログラムを使用したSEO対策が露見し、多くの企業が関わっていることが知れると、インターネット検索そのものの信用が失われユーザーの離反を招きます。
結果として企業が選択できるマーケティング手法が限られてきてしまい、思うように成果が上がらないといったことになる可能性も考慮すべきではないかと思います。
事業の成果に貢献するために、マーケティングに携わるのであれば、不誠実な手法に加担することのないように注意したいですね。

ウェブ解析士のモラル

GA4リリースの背景や、不誠実なマーケティング手法が招く結末について記してきましたが、こうした事例を知ったうえで大事なことは「知りながら害をなさないこと」です。
デジタルマーケティングのプロフェッショナルであるウェブ解析士は、その手法を決める際に下記の点について留意しています。

ユーザーの意思を尊重すること
ユーザーが望まぬことを強制したり、知られたくないことを暴くような解析やマーケティングはすべきではありません。

ユーザーの満足度向上を通した事業の発展を意識すること
事業の成果に貢献することであっても、ユーザーにメリットがなく、満足度を向上させるものではない場合、その施策は行うべきではありません。

ウェブを通じた社会の発展に資すること
ウェブ解析士は、ウェブを通してユーザーの満足度を向上させることで、企業の発展に貢献するように行動しましょう。

ウェブ解析士認定試験公式テキスト2022(抜粋)

あとがき

早いもので、もう3回目の投稿です。
できるだけ楽しく読んでもらえるようにと、表現を柔らかくするように心がけていますが、今回はセンシティブなテーマでもあって堅い表現になってしまいました……。

少し前に某マーケターの発言が炎上したことがありましたね。このテーマで書こうと思ったのは件の発言問題が発端です。
不誠実なマーケターが注目されることでマーケティングそのものを胡散臭く感じる消費者が増えてしまうことに危機感を感じています。

なぜ、不誠実なマーケティングが横行するのでしょうか。
本来は「顧客に喜ばれる商品」を作り出し、「必要な人」にそれを届けるのがマーケテイングです。しかし、現代のマーケットでは商品のパリティ化・コモディティ化が進み「どう売るか」という手法が目的に置き換わってしまい、結果として欺瞞に満ちた不誠実なマーケティング手法へと堕ちていくのではないかな。というのが個人的な見解です。
マーケターたるもの、顧客・消費者そして社会に対して常に紳士でありたいものですね。

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