世界の始まり2(ギリシャ神話編:王クロノスとゼウス)
割と小心者だったのね、のクロノス王
父ウラノスの性器を切り取って失墜させ、王として君臨したクロノスは姉の1人であるレアと結婚したんだ。
そして2人の間にはまず、ヘスティア、デメテル、ヘラの3人の女神、ハデス、ポセイドンの2人の男神、計5人の子供が生まれたんだ。
ところがクロノスは、ウラノスから
「レアとの子供のひとりに、お前もまた王座を奪われるだろう」
と予言されていたんだ。
「ぎゃ!マジか!やっべえじゃんっ!!!」
となったクロノスは、それを阻止するために子供達を次々と飲み込んでしまう。
ゼウス誕生!
妻であり子供達の母親であるレアは、そらもう悲しんだよね。
そして最後の子「ゼウス」を身籠ったレアは、ガイアに助けを求めにいくんだ。
「この子だけでも守りたい」と。
するとガイアはクロノスに見つからないよう、レアをクレタ島に行かせたんだ。
そしてレアはクレタ島で無事出産。
生まれたゼウスは洞窟に隠し、代わりに石を産着に包んで「生まれた子」に見せかけてクロノスに手渡したんだ。
騙されてるとも知らず、クロノスはゼウスの身代わりのその石を産着ごと飲み込んでしまう。
一方、ゼウスはクレタ島でこっそりと、でもすくすくと育っていく。
そして立派に成長したゼウスは、事の顛末(兄姉が父クロノスに飲み込まれたこと)を知り、ガイア(ゼウスからしたら偉大な祖母!)に相談をしたんだ。
するとガイアおばあちゃんは、オアケノス(オーシャン)とテテュスの間にできた知恵の女神「メティス」に助言をもらうよう、ゼウスに伝えます。
(・・・てか、わざわざメティスに頼むより、ガイアがなんとかした方が早い気もするけどね。。※「メティス」は今後も出てきます)
「オリュンポスの神たち」の誕生
さて。
知恵の女神「メティス」は早速、抜群の知恵でクロノスをうまく騙して吐き薬を飲ませたんだ。
するとクロノスはまず、ゼウスの身代わりとなっていた「石」を吐き出し、それからゼウスの兄姉たちを次々と吐き出したんだ。
こうしてゼウスは、兄姉を助けることに成功!
そしてゼウスと兄姉たちはオリュンポス山(※現在ではオリンポス山と呼ばれる、ギリシャ北部にある山)に向かい、そこを拠点とすることに。
ここからゼウス側の神々は「オリュンポスの神々」と呼ばれるようになったんだ。
つづく
◇◇◇◇今日のおまけ(絵画)◇◇◇◇
子供たちを次々に飲み込んだクロノス(ローマ神話では「サトゥルヌス」)
これを題材にした名画といえば・・・
「我が子を喰らうサトゥルヌス」
作者:フランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス
制作年:1819−1823年
所蔵:プラド美術館(スペイン・マドリード)
ゴヤの「我が子を食らうサトゥルヌス」
一度見たら忘れられない不気味さはあるけど、物悲しさを感じる絵でもあるよね。
さて、神話では「クロノス(サトゥルヌス)は次々と子供を飲み込んだ」となっているけど、この絵では子供を食べちゃってます。
ゴヤやルーベンスの絵画以外にも、これを題材とした有名絵画はあるんだけど、それらもやっぱりクロノス(サトゥルヌス)が子供を「食べてる(食いついてる)」のがほとんど。
多分「飲み込む」より「(自分の権力を守るために)子供を殺す(食べる)」という表現の方がインパクト大だったんだろうね。
黒い絵(シリーズ)の1点
ゴヤのこの絵は「黒い絵(シリーズ)」と呼ばれる14点の壁画のうちの1点なんだ。(後に壁からキャンバスに移される)
40代半ばにかかった病の後遺症で耳が聞こえなくなったゴヤは、73歳の時にマドリード郊外に家を購入。
この家の前の住人も聾者だったことから、その家は「聾者の家」と呼ばれたんだ。
ゴヤは「聾者の家」に数年間、ほぼ引きこもった状態で生活。
その中で家の壁に「黒い絵(シリーズ)」を描いていったんだ。
「我が子を食らうサトゥルヌス」は食堂の壁に描かれていた、とされている。
そして驚くべきことに発見当時は、サトゥルヌスの股間部分には勃起した男性器も描かれていたと言う。(※現在その部分は黒く塗りつぶされている)
この絵を、怖い、気持ち悪い、と思う人は多いかもしれないよね。
それに「こんな絵を描きながら、そして、見ながら、ご飯を食べていたなんて頭がおかしい」って思う人もいるかもしれない。
でも私は、ゴヤのこのサトゥルヌスの目からは、抗えない運命への悲痛さのようなものを感じてしまう。
そしてこのサトゥルヌスのような人間達を見てきたゴヤにとって、それはもう「日常」に近いものだったのかもしれない。
だからこそ、食堂=日常を表す場所 に描いたんじゃないかな。
もちろん、これは私の勝手な解釈だけど^^;
ゴヤは私の好きな画家の一人なので、もっともっーと書きたいことはあるんだけど、それはまた別の機会にします(^^)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?