つちもちしんじ

漫画イラストレーター

つちもちしんじ

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マガジン

  • 令和新版画

    • 6本

    かつて墨田川にあった渡し舟。 「竹屋の渡し」は現在の台東区山谷掘南岸と対岸の墨田区向島の三囲神社下の間を行き来していた。向島岸辺の「都鳥」から対岸の「竹屋」に船を呼ぶ女将の「竹ヤー」の美しい声が有名だったと聞く。その茶屋「都鳥」の主で浮世絵/新版画の摺師をしていたのが曽祖父、高橋豊吉であった。 このたび、新時代の浮世絵新版画を作るというコンセプトのもと版元として作品を発表していくことになった。今は絶えてしまった浮世絵⇒新版画の系譜を継げるよう、曽祖父に肖り「都鳥」の名前を拝借しました。

  • 東京下町百景

    東京下町を歩き、気に入った場所をイラストにしていくシリーズです。

最近の記事

新しい浮世絵を作るために考えたこと3

僕はイラストレーターとしての活動のかたわら、歴史として潰えてしまった浮世絵や新版画をこの時代に蘇らせることを目的とした「令和新版画プロジェクト」に絵師として参加しています。 今までありがたいことに、「東京夜景」として2作、「ウキヨラボ」という実験的なラインで墨摺絵5作と多色摺1作と少しずつ作品数を増やしてきました。 そして今回、版元都鳥に新たに4枚の版下絵のご依頼をいただき、「東京春夏秋冬」というシリーズの1作目として「春の三四郎池」という作品を春の時期に合わせて発表しま

    • 絵師達がどのように絵の修行をしていたか調べてみる

      浮世絵や新版画の絵師達がどのように画法を体得し弟子達に受け継がれていったのか以前から興味があり、古い本を探す事でその一旦が垣間見えるかもしれないと、ちょっとずつ集めている。そのいくつかを時系列に並べてみて、その変遷について改めて考えてみたいと思いたった。 水野年方と並び明治木版口絵の人気絵師だった梶田半古。その教えを口述筆記した「画事入門」という本。半古は「前賢故実」という菊池容斎が歴史的人物を考証し描いた書物を全て暗記するほど全てを模写した。また画塾を開き写生を塾生達と行

      • 昭和31年9月号10月号「美術手帖/亡びゆく浮世絵木版」

        昭和31年9月号10月号の「美術手帖」で「亡びゆく浮世絵木版」という特集が組まれている。大正昭和の東京を描いた洋画家、木村荘八が司会となり明治から浮世絵に携わり今や伝説となっているような摺師や彫師に往時を振り返ってもらう内容だ。浮世絵から新版画まで紆余曲折を経て、木版画の技術が受け継がれていったのかがリアルに伝わってくる。 明治期、木版画の需要があった頃は彫師の中でも、かしら彫り、胴彫り、文字を彫る職人と分担していた。新聞など急ぐ時は版木を二つや四つに割って彫る事まであった

        • 新版画リバイバル

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        • 令和新版画
          6本
        • 東京下町百景
          0本

        記事

          新しい浮世絵を作るために考えたこと2

          令和新版画プロジェクト、東京夜景シリーズ2作目「夕暮れの日本橋」が完成しました。 元のデジタルで描いたイラスト自体は、去年の9月に描き始め10月中旬には出来上がっていたのですが、そこから版画にするために都鳥版元・柏木さん、摺り師・山本さんと打ち合わせを重ねて、出来上がるまでに半年の時間を要しました。 ご存知のない方が多いと思いますのでご説明させていただくと、僕らは今、歴史上で途絶えてしまった浮世絵版画の文化をレーザーカッターと伝統の摺りの技術を組み合わせて現代なりの形で復

          新しい浮世絵を作るために考えたこと2

          新しい浮世絵を作るために考えたこと

          半年ほど前から取り組んできた浮世絵を現代に蘇らせるプロジェクトの最初の作品がついに完成しました。 令和新版画「雨の銀座/東京夜景」 大判錦絵 水性多色木版(和紙:越前生漉奉書) イメージサイズ 240×360mm(紙サイズ 280×410mm) 画:つちもちしんじ 彫:柏木隆志 摺:山本駿 版元:都鳥 https://miyakodori.booth.pm/items/1571239 完成された版画には、彫りと摺りの丹念さから魂が吹き込まれたような雰囲気があります

          新しい浮世絵を作るために考えたこと

          浮世絵のDNA

          「浮世絵はどこに行ったのか?」という素朴な疑問が、以前からありました。版画プロジェクトの発起人である版元から今の時代なりの方法で浮世絵や新版画に続くような木版画を作ってみたいというコンセプトを聞き、すでにどんな形として浮世絵が存在しているのか、伺ったことと合わせて考えた事をまとめてみました。 現代でも、浮世絵版画を制作する工房がいくつかあります。工房では、有名な浮世絵作品を再現したり、現代美術のアーティストやプロの画家にオーダーをして元絵を描いてもらう事で、新たな版画を制作

          浮世絵とJ-POP

          現代で生活に寄り添う表現で最たるものは音楽なのではないかと思っています。昔気に入ってよく聴いていた曲を時間が経ってあらためて聴くと、懐かしさとともにその時過ごしていた場所や大事な人を思い出すことがあります。 歌川広重が「名所江戸百景」に取り組み始めたのは安政の大地震があった直後で、復興の願いを込めて江戸の各所を歩き描いたという話を聞いた時、その浮世絵を見た江戸の人たちは現代人が曲を聴く時と同じように思い出に耽ったんじゃないかと想像しました。東京の風景を描く「下町百景」という

          絵師担当:つちもちしんじ「下町百景×版画プロジェクト」

          日本のありふれた日常の風景や文化風俗を切り取った浮世絵、新版画の文化がついえて久しい現代に、実験的な表現を取り入れた新しい版画を作ってみようというプロジェクトが始まりました。 僕は版元の柏木さんから、絵師の一人としてそのお誘いを受け、プロジェクトの内容を聞いた時、ぜひ参加したいという気持ちになりました。なぜかと言うと、僕自身も日頃の作品を浮世絵のような版画にしていく出口がないか、その方法をずっと探していたからです。僕が描くものはデジタルであり、本やポスター、グッズなどに印刷

          絵師担当:つちもちしんじ「下町百景×版画プロジェクト」