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16歳のあの日 あれは性被害だったんだ

【性被害の描写があります。】


性被害だなんて思ったことなかった。
当時の私の周りはそんなことが多かったし、そんなことが起こっても不思議じゃなかった。
自業自得だとも思っていた。
でもあれは性被害だといっても良いんだと知った。

高校をやめてから私は地元の友人Aとよく遊ぶようになった。
ある日の夜、Aの二つ上のお兄さんBから連絡があり、私が慕っていた先輩の名前を使って私は呼び出された。
行ってみても先輩はおらず、Bから別の場所にいるからと言われ、隣町の民家に車で連れて行かれた。

そこはシンナーを吸っている男の人ばかりいて、私はレイプされるんじゃないかと怖くてたまらなかった。
同時に、何度聞いても先輩が来ることはなく、私は騙されたことにやっと気づいた。

翌朝、Bの単車の後ろに乗りBの家に連れて行かれた。
AとBの家は子供部屋がそれぞれ直接外に出入り出来る形になっていたので、私は外から直接Bの部屋へとあがった。

Bの部屋の隣は友人Aの部屋だ。
声だって聞こえる。
Bはすぐに私の胸や下半身を触ってきた。
私が生理だというと、すぐ触るのをやめた。
そしてホッとしたのも束の間。
Bは自分の下着をおろし、私の頭を持ち口に含ませ、力任せに頭を上下に押してきた。

何が起こっているのか、その行為自体は知っていても初めてで、頭は真っ白になりどうすれば良いのかもわからず、されるがままだった。
声を出せば隣の部屋の友人Aに聞こえてしまう見つかってしまうという気持ちも瞬時に浮かんだ。

Bは私の口内で射精し、そこでまた私が動揺している様子を見て笑い「飲んで」と言った。

帰って良いよと言われ、何故か私は「ごめんなさい」と言ったのを覚えてる。
何に謝ったのかわからない。
帰り際、Bは私に、
「人に言うなよ。言ったら蹴飛ばすからな」
と言った。
Bは地元でも有名なリーダー的存在。
恐怖でしかなかった。

しばらくして自分で抱えきれなくなり、何を思ったか友人Aと共通の友達に私は話してしまった。
それはすぐにAの耳に入り、Aは私に、
「お兄ちゃんは黙っておけって言ったのに何で喋ったのか」
と責めてきた。
私は何も言い返すことが出来なかった。
そして縁が切れた。

それから10年は経った頃、AとBの父親が覚醒剤の幻覚で自殺し、母親は病死、そして更に数年後、シンナーや覚醒剤、恐喝などで犯罪を繰り返していたBが父親と同じ場所で自殺したと聞いた。

Aは1人になってしまった。
自分は普通の家庭と違う。
偏見(父親が反社)もある、でも親もお兄ちゃんも好きだと言っていた。
でもみんな亡くなってしまった。
2人は自死だ。
どんな思いを抱え生きているのか、しはらくは彼女のことが頭から離れなかった。

学校を退学になった私は実家に戻りアルバイトをしながら、夜遊びや外泊ばかりしていた。
だからこういうことは当然あり得るし、自業自得だと思って生きてきた。

だけどこれも性被害といって良いのだと知った。
すでに何十年と時が経っていて、当時のキズは小さいけど、誰かに話すことは出来ないでいる。

そして、やっぱり自業自得って思いが消えないから、私は完全な被害者ではない。
そうなる状況に自ら飛び込んだ。
それが全て。

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