『パラサイト』の快挙に感じる日本のクリエイティブの未来。キーワードは"小さな映画"!?
『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー作品賞というアジア映画初の快挙を成し遂げた。
その流れでTwitterを見ていたら、「一方、今の日本映画は残念」的なつぶやきをいくつか見つけた。
この考え方、僕は逆だと思ってる。この現状は憂うことではなく、とてもいいことだ。
ハリウッドが年々アメリカ的な形式美から脱皮し、多様性の重視に舵をきっている表れでもある。また、日本も確実に"販路は世界にある"ということに目を向けはじめてる。
もちろん、是枝監督くらい世界的な方が日本の映画づくりの仕組みなどの危機感を語るのは貴重なことだし、素晴らしいと思う。
けれどこれは日本映画界を背負った方だからこそ重みのある言葉。一般人である僕らは、今回パラサイトが証明してくれた、「ハリウッド的なものではなく、自分たちの土地に根付いた問題意識が世界に評価される時代だ!」ということに心躍らされるし、日本も世界で戦えるいい模範になったように感じる。
ポン・ジュノさんはインタビューで、スノーピアサーやオクジャと対比して、パラサイトや殺人の追憶や母なる証明を、「小さな映画」と形容していた。そして「これからは小さな映画をつくっていきたい」とおっしゃっていた。
ハリウッドほどのビッグバジェットはない。でも、韓国にあるリアルな問題に迫って人間を描くことが、世界に普遍の価値をもたらした。その好例がパラサイトだった。
映画に限らず、グローバルに作品を作ろうと思うと、「"グローバル"という国なんてものは存在しない」という当たり前の壁に行き着く。
作り手の"アイデンティティ"の根を張った物語は、世界のどこにいても健全に評価される時代がきた。ローカルがグローバルにつながっている。ミクロはマクロにつながっている時代。それが現代だ。
もちろん、ハリウッドやNetflixなどと比較すると、日本には予算の少なさや、クリエイティブの教育課題は確かにあると思う。
けれど逆に、ツールが民主化し誰でも作品を作れるようになった。チャンスは誰にでもある。あとは、作品づくりの視点と真の意味での面白さ、そして販路を掴む行動だと思うんだよな。
個人的には、数年後にスマホで撮った映画が映画館に上映される日がくると思うし、そんな作品がアカデミー賞でも評価される日が来てもおかしくない気がしてる。
もはや無名の作り手にとっては、他責の要因が限界までなくなってきた時代。
すでに日本映画も面白いものたくさんある。若者が新しい感性で時代を変えるような作品をきっと生み出してくれると思う。
僕らも、阿波踊りという芸能で成し遂げます。
日本のクリエイティブは、今後が楽しみです!
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