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実は夏だけじゃない⁉︎〜秋の土用の過ごし方〜

秋土用あきどようという言葉をご存知ですか?

土用は、夏の「土用の丑の日」がよく知られています。でも、実は土用は夏だけでなく、春夏秋冬の季節毎にあるのです。10月は秋の土用の時期となります。


土用っていつのこと?

土用の時期というのは、二十四節氣の暦が季節の始まりを知らせる四立しりゅう(立春、立夏、立秋、立冬)の手前18日間の期間のことをいいます。

ですから、土用は年に4回巡ってくることになります。

2023年の秋の土用入りは10月21日から。土用明けは18日後の11月7日となり、その翌日11月8日には冬の始まりを知らせる立冬を迎えます。


そもそも土用って?

土用というのは季節の変わり目のタイミングのことをいいます。

各季節の土用の時期は「土の氣」がさかんになるといわれていて、その昔は土旺用事どおうようじと呼ばれていたのだそう。それがやがて土用となったとされています。

氣のボリュームが旺盛になる頃でもあるのですが、空氣が入れ替わる時期でもあります。氣温差などでからだの調子、心の調子が乱れて疲れやすいときです。。そのため、できるだけ体力氣力を損なわないよう、心身穏やかに過ごすことに注目すると良いでしょう。

季節と季節の間の小休止の時期、といった感じですね。


由来は陰陽五行思想

土用は東洋医学の元となる考え方のひとつ、陰陽五行説に由来しています。

自然界に在る万物全てを5つのエレメント(木、火、土、金、水)に分けてあらゆることの解釈をするのが陰陽五行説。季節も五季ごきといって5つに分けて考えられ、日本では季節の変わり目である土用を1つの”季節”として「土」のエレメントに位置づけています。

ちなみに、五季は春=木の氣、夏=火の氣、秋=金の氣、冬=水の氣、そして土用=土の氣とされています。

土のエレメントが持つ性質は、大地より動植物を生み、育むことで「生成、発育」をつかさどります。人の体の臓腑では脾胃ひいの機能を主り、栄養を取り込んで全身に巡らす消化吸収に土の氣は関わります。


土用の期間は土いじりはNG?

土用期間は陰陽道の神様の中で土を主る土公神(どこうじん・どくじん)が土の中を動き回るので、土いじりをすると怒り祟りがあるとされ、造園、穴掘り、畑起こしなどを避けるよう言い伝えられてきました。現代ではそれほど氣にされない風潮となっていますが、建築関係のお仕事をされている方などは今も縁起を担ぎ、建物の柱立てなどを土用期間は避けるところがあります。

また、二十四節氣は中国のその昔、農耕が主だった時代からの暦です。季節と天候に左右される生活に関わる人々が季節の変わり目に無理をしないよう、土用時期に土を触らずに身体を休めることを促している、という労わりを感じる説もあります。いずれも神と自然を敬い崇めてその中で生活をしてきた人々の感性が伺えます。


秋土用の過ごし方

季節の変わり目というのは体調も変化しやすくデリケートになる時なので氣をつけたいときです。特に残暑がきつかった今年は夏の高温と湿氣が長く残り、これから疲れが出やすくなります。

高温多湿から乾燥へと空氣が変わりますから、皮膚で感じる涼感、冷感で体のバリア機能が弱まって、風邪等の感染症にもかかりやすくなるときです。乾いた空氣は体の粘膜の潤いも奪いますので、喉や鼻が乾燥しないよう保湿を意識するようにしましょう。

お肌にとっても保湿、保温が大切です。衣類や寝具は自分の体感が程よい暖かさでいられるようなものを選んでください。

また、涼しさから寒さが伴っていく秋の土用は感情面もセンチメンタルになりがちです。外の景観も木々が葉を落としたり、木枯らしが吹いたり、陰陽バランスが冬至に向かって陰に傾いていきますので、氣持ちも静寂になっていきます。

季節の変わり目は、人の感情も変化に揺れやすく、氣持ちがクヨクヨしがちです。この感情は胃腸の消化を妨げてしまいますから特に食欲の秋にはNGです。

夜も長くなっていきますので、ゆっくりとくつろげる時間をつくりましょう。バスタイムを充実させたり、好きな音楽を聴いたり、本を読んだり、とご自身が心地良いと感じられる時間を意識的につくることで、リラックス度が高まり氣持ちが揺れずに安定します。


辰の日に「た」の付くものと青いものを

秋の収穫が目白押しの頃となりましたが、秋土用は辰の日に「た」の付くもの、また青いものが良いとされています。

夏の疲れが出やすくなる秋土用には、この時期美味しくなる「たまねぎ」「だいこん」は「た」のつく食材としてお勧めです。また青いものは青魚を。旬のサンマは脂がのってこれからいちばん美味しい時期となります。


また、土用の時期は食材そのものが持つ味覚で「甘味」のものが胃腸を労わります(お砂糖等の精製された甘味調味料は含まれません)

甘味の食べ物は胃腸を守って消化を促してくれますし、エネルギーになりやすく体を冷やさない食材が多いのでお勧めです。

《甘味の食材》~お米、イモ類、かぼちゃ、バナナ、等

いかがでしたか。漢方養生は季節養生。古くから伝えられてきた暦は今に活きています。季節ごとの日々の生活に、そして体の調子を整える知恵に取り入れてみてはいかがでしょう。



書いた人  漢方ライフアドバイザー 千葉万里江
大阪天満橋。漢方サロンma-ge(マージュ)オーナー。占星術師。コーチ。
北海道札幌市 出身。大阪在住30年超え。まさかの人生の半分以上が大阪住まいになるとは、本人が一番驚いています。人生はわからない。だから、おもしろい。

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