見出し画像

大きすぎる力【小説】

砂煙が立ち、人が混雑する市場の隙間をくぐり抜け前へ前へと走る。足を休めては行けない。彼らはもうすぐそこまで迫ってきているから。後ろから数十人、市場の後ろ立つニ、三階建ての建物の上からナイフを持って数十人、こちらを見ながら走っている。
僕が彼らに追われてるのはこの魔法の壺を奪ったから。噂では壺をこすると魔神が出てきて願い事を何でも叶えてくれるらしい。彼らもきっと誰かから奪ったのであろうから、僕も彼らから奪った。そしたらこのザマ。なんとか逃げないと。
この壺をこすってみるか。
壺をこすると中からは真っ青な顔をした魔人が出てきた。
「どうした小僧」
「願い事を叶えてくれ。」
「願い事?お前の?なんで?」
「なんでも願い事を叶えてくれるんじゃないの?」
「あぁ〜、そんな設定だったけ?何千年も寝てたから忘れちゃってたよ。」
追ってはもうそこまで来ている。何だか頼りないが、もうこいつに頼るしか無い。
「追ってから遠く離れた場所に逃してくれ。」
すると一瞬で景色が変わり、周りは真っ暗で湿っていた。
「どこだよ、ここ。」
魔人の応答が無い。どうやら一回願い事をするたびに壺の中に戻るらしい。いちいち面倒くさい魔人だ。壺をこする。すると魔神が青白い光に包まれ出てくる。その光が周りを少し照らし、それから推測するにここは洞窟のようだ。
魔人「また、お前か。どうした?」
男「どこだよここ?」
魔人「それは願いか?」
男「違う。質問だよ。」
魔人「言っておくがな、頼みには制限が無いぞ。勝手にお前らは願い事は3つまでと勘違いしてるがそれは間違いだ。」
男「えっ、そうなの?最高じゃん!」
魔人「ただなー。」
男「どうした?」
魔人「お前何歳だ?」
男「え?14だけど。年齢制限とかあんの?」
魔人「そんなやらしくねぇよ。」
男「じゃあ何だよ。」
魔神「若くして大きな力を持っちまった奴に、幸せになった奴はいないぞ。」
男「何だそれ、俺は大丈夫だよ。」
魔神「誰だってそう思うんだよ。例えばな、昔とある映画に出演したことにより一躍スターになった子役がいるんだよ。そいつはその後もバンバン映画に出演して、子供ではありえないくらいの大金をギャラとして貰ったわけだ。」
男「全然幸せじゃん。」
魔神「ただ、この子役のマネージャーをやってたのが小役の親なんだよ。その親がギャラに膨大な値段を要求するようになってな、仕事は激減。その後親が離婚することになるんだか、子供の稼いだ金を巡って裁判を起こすんだよ。その間休業。やっと復帰したとなっても、もう誰も見向きもしてくれないようになってんだよ。」
男「俺、子役じゃないし。家族もいねぇよ。」
魔神「分かってねぇな。この話で言ったら、お前は小役の親だぜ。子役はいいさ。自分の才能で金を稼いでるからな。自分の力と同様のリターンだよ。
お前の場合はどうだ?まだ自分がどれぐらいの力を持っているかなんて分かんねぇだろ。それなのに先にリターンの方を渡すってなっちゃあなぁ。」
男「ああ。…でも、」
魔神「でもは無しだ。お前が社会にでて、俺を使いこなせるぐらいの力を持ってると確信した時にもう一度来い。そしたらなんでも願い叶えてやるよ。」
男「…分かった。」
魔神「うし、じゃあとりあえず、この洞窟の出口までは光をひいといてやるよ。それを辿れば出口につくから。」
足元が光だし、斜め右の方に光が伸びていく。そして魔神は消えていた。僕はその光の方へゆっくりと進んでいった。だんだん外からの光がさしてきて、そっちの方へ走った。洞窟から出た。
洞窟から出たそこは見たことの無い荒野が広がっていた。そして空を見ると地球が浮かんでいる。どうやらここは火星で人類が始めて生きることの出来る場所を見つけたらしいが、僕には、

大きすぎる力

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?