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両親がまだ元気だったときに温泉に連れて行った私

こんにちは! 猿田信司です。

私は、子供のころ、
両親と泊りがけでどこかに行った、
という思い出がありません。

外食ですら、
あまり記憶にありません。

貧乏だったからでしょうね。


ですが、私も大人になり、
就職して自立しました。

まだ、うつ病になる前の、
今から20年ほど前、結婚もして、
元妻と一緒に暮らしはじめて、
すぐのことです。

家族みんなで温泉に

まだ、両親も元気で、
少し寒くなってきたころです。

新しく増えた元妻も含めて、両親も一緒に、
家族みんなで温泉に行きたいな、
と思いつきました。

元妻と両親の親睦を深めることと、
両親を温泉に連れて行ってあげたい、
そんな気持ちもありました。


両親にも、電話で話し、
了解をとりました。

元々、父はあまり感情を
表に出さないタイプだったので、
喜んでいるのかどうかは
わかりませんでした。


次は、どこへ行こうかな?

いろいろ探した結果、
実家から、高速道路を使って、
車で二時間ほどの場所にある、
県内の温泉地にしました。

その温泉地の宿に、週末の一泊二日で、
四人分の予約をしました。

部屋は、両親と、私たち夫婦の
二部屋をとりました。


父に、温泉に行く日を教え、
「昼過ぎに迎えに行くから、
泊りがけの準備しといて!」
と話しました。


自宅から車を走らせ、
昼過ぎには、実家に着きました。

両親も乗せて、実家を出て、
夕方には温泉宿に着きました。

離れにある洞窟のような温泉

まだ、食事には早い、
ということで、
さっそく温泉に入りました。

宿にある温泉自体は、
普通の銭湯のような感じでした。


男女別れていたので、
私は久しぶりに、
父と一緒に温泉に入りました。

私がまだ、一人で銭湯に入れないくらい、
小さかった頃以来です。

特に、何かを話した
というわけでもなかったんですが、
なんだか懐かしい気持ちになりました。


それと、その温泉宿には、
少し歩いた離れに、
洞窟のような温泉もあるそうなんです。

そして、そこは混浴だと。

そこには、両親とは別で行きました。

さすがに、両親と混浴というのは、
ちょっと恥ずかしい。


私は、元妻と二人で、
洞窟温泉に行きました。

ものすごく広い温泉で、
真っ暗で落ち着きます。

そんな感じで、
温泉を楽しんでいました。

父と酒を酌み交わした唯一の時

食事の時間になり、
私たち夫婦の部屋で、
4人で食べることにしました。

温泉宿特有の、豪華な夕食でした。


月に一度は、実家に帰ってはいましたが、
一緒にご飯を食べることはなく、
両親と一緒に食べるのも久しぶりです。

心付けも、元妻が用意してくれていましたし、
お酒も頼んだ方がいいと教えてもらっていたので、
まずはビールを注文しました。

みんなで乾杯です!


食事を食べつつ、母と元妻は、
あまりお酒を飲まなかったので、
父と私で、ビール、日本酒の熱燗を飲みました。

考えると、私が大人になって、
お酒を飲めるようになってから、
こうやって、父と酒を酌み交わすのも
初めてのことでした。


父は、私が子供のころから、
毎晩、晩酌していたので、
酒好きであったとは思うんです。

ですが、普段は、昼間に車で行くので、
酒は飲めませんからね。


なんというか、
感慨深いものがありました。

男として、父に並び立つことができた
そんな感覚がありました。


その後、うつ病になったり離婚したりと、
いろんなこともあって、
父と酒を酌み交わしたのは、
この時が最後になりました。

今となっては

きっと、また機会があるだろうと、
伸ばし伸ばしにしているうちに、
その後、両親をどこかに連れていくことも無いまま、
両親はおとろえ死んでしまいました。

今になって、両親が元気だったころに
「もっと温泉に連れて行ってやりたかった」
「もっと親父と酒を酌み交わしたかった」
と強く思います。


ですが、この時の思い出は、
ものすごく楽しかった思い出として、
私の心の中に強く残っています。

出来なかったことを、後悔しても、
もう過去に戻ることはできません。


両親に、なんのわだかまりも感じない私は、
きっと幸せに育てられたのでしょう。

親は選べないと言いますが、
貧乏ではありましたが、
私はかなりラッキーでした。

ただ、なつかしさと、
ほんの少しだけの後悔を残して、
このお話を終わります。

あなたは、後悔しないようにしてください。


最後までお読みくださり、
ありがとうございました。

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