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6相6線式送電線路を考える(5) 「4相4線式」


4相4線式を考える

3相3線式と同様に4相4線式を定義してみます。

4相の相電圧

相電圧の絶対値をE[v]、相回転順をA→B→C→D、
位相は$${\dfrac{1}{2}\pi}$$(90°)ずつずれているものとすると、

$$
\begin{aligned}
V_A &= E  \angle \dfrac{1}{4}\pi \\\\
V_A &= E \left( \dfrac{1}{\sqrt{2}} +  j\dfrac{1}{\sqrt{2}} \right) \text{ …(14-A)}\\\\\\
V_B &= E  \angle \dfrac{3}{4}\pi \\\\
V_B &= E \left( -\dfrac{1}{\sqrt{2}} +  j\dfrac{1}{\sqrt{2}} \right) \text{ …(14-B)}\\\\\\
V_C &= E  \angle \dfrac{5}{4}\pi \\\\
V_C &= E \left( -\dfrac{1}{\sqrt{2}} -  j\dfrac{1}{\sqrt{2}} \right) \text{ …(14-C)}\\\\\\
V_D &= E  \angle \dfrac{7}{4}\pi \\\\
V_D &= E \left( \dfrac{1}{\sqrt{2}} -  j\dfrac{1}{\sqrt{2}} \right) \text{ …(14-D)}
\end{aligned}
$$

図にするとこんな感じの正方形になります。

4相4線式を想定した正方形と対角線


4相の線間電圧

隣り合う線間電圧をそれぞれ、$${V_{AB} , V_{BC} , V_{CD} , V_{DA}}$$とすると、

$$
\begin{aligned}
V_{AB} &= E  \sqrt{2}  \angle 0 \\\\
V_{AB} &= E  \sqrt{2}\text{ …(15-1)}\\\\\\
V_{BC} &= E  \sqrt{2}  \angle \dfrac{1}{2}\pi \\\\
V_{BC} &= jE  \sqrt{2} \text{ …(15-2)}\\\\\\
V_{CA} &= E  \sqrt{2}  \angle \pi \\\\
V_{CA} &= -E  \sqrt{2} \text{ …(15-3)}\\\\\\
V_{DA} &= E  \sqrt{2}  \angle \dfrac{3}{2}\pi \\\\
V_{DA} &= -jE  \sqrt{2} \text{ …(15-4)}
\end{aligned}
$$

となります。
3相のときと同じように、1相だけにすると、

4相を1相だけに分けた図 

4相の送電容量を$${K}$$とすると、

$$
\begin{aligned}
\dfrac{1}{4}K&=E I_L\\\\
K&=4E I_L
\end{aligned}
$$

ここで$${E}$$の式を$${V_L}$$の式にしなければなりませんが、問題があります。
送電の計算では線間電圧の最大値を$${V_L}$$としていました。
すると、A-C間など1相飛ばしの線間電圧が相電圧の2倍なので、これを線間電圧の最大値としなければなりません。
これを考慮して、送電容量$${K}$$を計算すると、

$$
\begin{aligned}
V_L&=2E\\\\
2E&=V_L\\\\
E&=\dfrac{1}{2}V_L
\end{aligned}
$$

$${K=4E I_L}$$に$${E=\dfrac{1}{2}V_L}$$を代入して、

$$
\begin{aligned}
K&=4×\dfrac{1}{2}V_L I_L \\\\
K&=2V_L I_L
\end{aligned}
$$

4相4線式の線1本あたりの送電容量を$${K_4}$$とすると、

$$
\begin{aligned}
K_4&=\dfrac{1}{4}K \\\\
K_4&=\dfrac{1}{4} × 2V_L I_L \\\\
K_4&=\dfrac{1}{2} V_L I_L \text{ …(16)}
\end{aligned}
$$

単相のときの線1本あたりの送電容量$${K_2}$$は、
$${K_2=\dfrac{1}{2} V_L I_L}$$
なので、これと同じになります。
結果的に4相にしてもA-C間とB-D間の2回線の単相と効率は変わらないので、複雑な分不利になります。
なので、通常は4相4線式は使われていないようです。
3相3線式の中性点の電線を使い、2種類の電圧を供給する3相4線式というのはありますが、ビルや工場の中の配線の話で、長距離の送電線には通常使いませんし、これも3相には変わりありません。

3相はやっぱり効率がいいみたいです。
次回は6相6線式も確かめてみることにします。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

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