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リモートグラフィ!?

先に書いたnoteの記事『ミラーレス機でリモート撮影』の機材で、リモート撮影をやりたいという方が見つかり、試験的な形ではありましたが撮影を行う事ができました(8888)。

これをリモートグラフィーと呼ぶのだそうです(なんかカッコイイ。テレグラフィーというと別のモノを想像しそう。)。既に東京カメラ部などで知られる別所隆弘さんが『コロナ時代のリモートグラフィ始めます!』としてトライアルした記事を書かれていますが、別所さんと少し違うシステムで、人物撮影をしてみました。

システムは先の記事のまま。
ポケットWiFiルータ経由でVPNを張ってWindows10Proのリモートデスクトップ上のSONYのリモートソフト Imaging Edge Desktopを使ってカメラを操作しました。これだと、ネットワーク上独立していて、パケット代などのモデルさんの負担も減るし、セキュリティ上も安心です。
さきの別所さんのモデルさんをしたあやなさん(JuicyFruites展ではお世話になりました)が、パソコンを共有する事のリスクを懸念材料として挙げていましたが、こちらから専用のPCを送りつける事でそこも解決しています。
今回のモデルさんは3月から関西の実家に帰省されている憂雨さんにお願いしました。つまり関東と関西でのリモートグラフィになります。

まず、相手先匿名で機材を送ったのですが、これはヤマトのSNSで荷物を送る事で解決出来ました。以前あったSNS宅配便では集荷や時間がかかるなど結構時間など負荷は大きかったのですが、今回は、申し込み→LINEで住所入力サイトを連絡→受け取り側がWebサイトで住所入力→その2次元バーコードを集荷場でスキャンするだけで、とても手軽に送る事が出来ました。しかも、夕方送って翌日には関西に届くというタイムラグの無さ。住所無しの郵便局留めも使えなくなった今、これは使えます。(後日、LINEのアドレスを教えて貰わなくても良い方法を考案し、うまくいきました。結構LINEは本名という方もいらっしゃるので。)

撮影にあたっては、別回線でZoomをあらかじめ立ち上げコミュニケーションを取り、操作マニュアルも作成して送付しておいたので、操作は全く問題ありませんでした。(モデルさんは覚えることが多くて大変かも)

スクリーンショット 2020-05-02 14.26.46のコピー

      これはZoom側の画像。モデルさんに調整してもらいます。
      Zoomでも一眼要らんのじゃないかという高画質ですが。

撮影は、カメラの位置決めと、PCの電源確保をモデルさんが行う事になります。画角はこちらからだいたい何mmくらいにズームレンズの目盛を合わせて、とお願いをして、モデルさんがズームリングを調整します。何mmでという数値がイメージとぴったりだと、自分なりにレンズの焦点距離と画角についてちょっとわかってきたんだなぁと妙に自分に感心しました(笑)。
撮影した感じはこんな。(後から何枚も貼ります)

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α6100,6400ではフォーカスポイント(フレキシブルスポット)が使えるので、AFモードにしてマウスでピントを合わせたい位置にマウスカーソルを持って行きクリック、AFボタンを押して、シャッターボタンを押して撮影、という手順です。今回なぜか2秒ほどのセルフタイマー設定のままで、まぁそれでも構わないかと撮影を進めていました。
実際の画面上の操作はYoutubeの動画をご覧ください。

撮ってみると、今までファインダーを覗いていたのがPC画面に変わる程度で、さほど違和感はありませんでした。ただ、自分が動けないもどかしさ。普段フットワークを酷使して微妙な位置決めをしていますが、その代わりがモデルさんが扱う三脚です。Zoomで指示を出すときも、こっちの方へ、とかあそこのあたり、とかカメラマンは理解不能な指示を出すし。何かVS嵐にそんな感じのゲームがあったような。
 あと微妙な光は読めません。
実は1枚目の写真でブラインドからの様なシマシマの光が写ってますが、これも撮影時は気付きませんでした。リモートデスクトップではデータ量を減らすために多少工夫してますがそれが効いているのかRDPの特性なのか単に自分が浮かれていたのか。

いつもの(オフラインの)撮影だと、部屋中の光に全神経を集中してあと数Cm、あと数度のカメラアングルにこだわる(自己満足)撮影ですが、今回のようなモデルさん任せだとそんな細かい所まで指示するのは遠慮してしまい、どうしてもちょっと欲求不満になりますね。
モデルさんに聞いたところ、そこのところは特に気にならなかったそうで、今回カメラの液晶を自撮りモードにしてモデルさんから見えている状態だったので、どれくらい写っているかわかり、特に気にならなかったと話していました。
それよりやっぱりスマホじゃなくてカメラだとモデルとしてのスイッチが入るとか。

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 α6100の自撮りモード。Imagind Edge側で表示する設定が可能です   

よく考えると、普段の撮影でも、撮影イメージを考え、衣装や小物の事前打ち合わせをして、撮影後は現像してどこかで披露・・という一連のプロセスの撮影の部分以外はリモートグラフィでも変わりません。
 また、今回モデルさんのお宅で撮影できているのですが、そういうくつろぎの場で撮影する、モデルというより一人のリアルな生活を撮影するという事は、一つの願望なんですね。

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この実家ポートレート、プライバシーの問題でともかく敷居が高いと思います。実際、カメラマンにストーカーされたり、最寄り駅を知られてカメラマンがその駅に行って呼び出しの連絡が届いたというような話も聞いた事もありますから。
以前、あるモデルさんが引っ越しする直前におうちポトレの募集をした所、希望者が殺到したそうです(自分も申し込みましたがハズれました)。
 それをリモートグラフィで実現できるって考えると、コロナだからどうという以前に実家ポートレートを実現するための一つの手段としても、この方法は有りなんじゃないかと考えます。
家を出られないからと言う大義名分があったから、こういうリモートグラフィの提案が通ったという面もあるのかもしれません。
(特に実家ポートレートを推奨しているのではありません。外出自粛でも、家の近くのレンタルスペースを借りて撮る程度なら、リスクは低いでしょうからそういうやり方もあると思います)

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今回100枚強の撮影で通信のデータ量は1時間あたり2,300MBytesと思ったより多くはありませんでした。ただ、撮影データ、特にRawデータは簡単にGBオーダーになるので、ポケットWiFiの力では時間もかかり送るのは厳しいでしょう。もし撮影場所、例えばレンタルスペースにWiFiの設備があればそれを使うのは一つの手です。ただし、モデルさんの自宅などでネットワーク内に入るのは非常に危険です。

今回はじめてリモートグラフィをやってみて、先に書いたもどかしさはあるものの、事前の想像以上に良く撮れたと思います。そう思っているのは、本当に久々にポートレートが曲がりなりにも撮れたからかもしれません。それは写真をご覧いただいた皆様に判断していただきましょう。

最後に何枚か写真を載せておきます。

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機材は以下の通りです。
カメラ:SONY α-6100
レンズ:SEL1670Z (Zeiss Vario-Teessar)
三脚、PC、ポケットWiFiルータ
(自宅側:PC)
スマホ(コミュニケーション用Zoom)

これで1ヶ月はガマンできそう(かな)

2020/05/4  

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東京都在住のアマチュアカメラマンです