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「アオアシ」から学ぶキャリア教育4

「アオアシ」とは、どんな意味のかを考えさせる第6話 考える葦 です。

葦人は、大逆転となるアシストを決めて、クラブが提供する食事を満喫しています。福田監督の発案とありますが、この選考に参加した人に対するリスペクトは、特に就労の場面ではとても大切なことです。

中原淳は、『アルバイト・パート採用・育成入門』(2016年ダイヤモンド社)で、アルバイトする人は事前に来店して職場の雰囲気をリサーチしている(前掲書41p)、と調査から明らかにしてます。(実に2人に一人も!)私たちは、労働者と同時に消費者でもあります。もし、アルバイト等の採用時に雇用側が失礼な態度だったら…多くの人は、その会社の商品や店舗を利用しなくなるでしょう。

つまり、セレクションに参加した人に対してのおもてなしは、落ちる人がほとんどの試験において、「敵」を作らないためのものです。ただ、そういった打算的なものだけでなく、「ほとんどの人が落ちる」という厳しいセレクションに参加した人への「対価」という考え方もできます。キャリアの中で、選考は避けられないものです。特に採用する側の立場の人には、個の大切さを理解していただきたいものです。

さて、最終選考に臨む11人をコーチたちが選びます。月島コーチは、大友を推します。彼は、セレクションが始まる時から、試合があることを見越して自分のゼッケン番号と近い人に自分から声をかけて、コミュニケーションをとっていた、と月島コーチが語ってます(172p)。

仕事には、中心となる業務とその周辺にある業務があります。サッカーで言えば、コート内のプレーが中心となる業務ですが、コート外でのコミュニケーションやサポートは周辺にある業務です。そういった意味で視野が広い大友は、のちに伊達コーチにキャプテン気質だと言わしめます。この、職場全体を見渡す力は、キャリアにおいてとても大切なものです。たとえうまくいかなくても、「見渡す努力」を誰もが持っていれば、きっとその職場は良い職場になるだろうと思います。

そして、食堂でお手伝いをしている一条花と葦人が、大逆転のプレーについて振り返っています(179p)。葦人は、フィールド全体を見渡すと心が落ち着くと言っています。実際にそこから俯瞰の能力を発動して、ビックプレーを引き出しました。コート内での視野を広く持つという意識を物語っており、この視野については、仲山進也の『アオアシに学ぶ「考える葦」の育ち方: カオスな環境に強い「頭のよさ」とは』(小学館 2022)に詳しくあるのでそちらを読んでいただければと思います。


葦人が考えた後に「体が勝手に」といったこと受けて、「勘でやったのか」といいます。しかし、おそらく葦人の「体が勝手に」はむやみやたらにやったのではなく、それまでに培った練習による「自動化」によるものだと思われます。練習とは、「無意識にできるまで繰り返す」ことがねらいです。意識してできるようになっているうちは、まだ練習の質が高まっていないのです。人間は意識することによって、大体のことはできるようになります。そこで安心してしまわないことが、練習をするときには重要です。

ストーリーは、一条花の口を借りて、この漫画の大きなテーマが提示されます。

花にとって世界一好きなサッカー選手は、とにかく考えた。練習でも、試合でも、サッカーをしていないときでも。考えて、考えて…すると、いろんなことがいずれ考えなくてもできるようになる。そうしたら、ようやく、それが自分のものになる。『頑張れ、人間は考える葦である』と。

ここで、ようやくこの漫画のタイトルの「アオアシ」の意味が明らかになります。

主人公の名前:青井葦人、アオイアシトのアオアシ。
サッカー日本代表のチームカラー=青とフットボーラ―とも読める足人の言葉をくっつけて青足
そして、青=未熟(まだ成熟していない、ユース世代とも考えられる)とここで語られたパスカルの名言「人間は考える葦である」の青葦。
少なくともこの3つの意味があるのではないかと推測できます。

どうでしたか?仕事やキャリア教育に関連のあるエピソードが詰め込まれていると思いませんか。

話はまだまだ続きます。葦人と一緒に、キャリアについて考えていきませんか?

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