「アオアシ」から学ぶキャリア教育3
第3話 不可欠な光
入団試験(セレクション)では、合格者が出ないことを葦人に説明していなかったということで、福田監督は「なぜ、そうなのか」をちゃんと説明します。
ジュニアユースから昇格するものもいれば、スカウトで入る人もいる。本来であればそこで十分ではあるが、より幅広いところから「光」となる人材を集めるためにセレクションを行うと福田監督は言っています。(もちろん、その裏にはジュニアユースからユースに昇格できなかった人、スカウトで声のかからなかった人、セレクションで落ちる人…そういう「影」となる存在も同時にいるわけですが。)
さて、キャリア教育は「成功」だけを求めるものなのでしょうか?ジュニアユースからユースに上がれなかった子は「失敗」なのでしょうか。もちろん、そんなことはありません。実際にプロサッカーでも、ユースに上がれなくて、高校サッカーに身を投じてプロ、日本代表になった選手もいます。有名なところでは、ガンバのユースに上がれなかった本田圭祐やマリノスのユースに上がれなかった中村俊輔などですね。彼らのようにサッカーを続けることで「成功」した人もいますし、サッカーそのものから離れたところで別のキャリアを進めていく人もたくさんいます。
キャリア教育で大切なのは、キャリアにおける「成功」は、本人が決めるということです。この部分は非常に重要なことなので、これからも何度か語るつもりです。海老原嗣生(2017)は、その著書で「夢をあきらめるから、夢がかなう」やタモリの名言である「やる気のあるものは去れ」ということを引用して、それまで常識として考えられていたことを疑うことにより、これからの社会を生き抜く方略を読みやすく提示してます。(「クランボルツに学ぶ夢のあきらめ方」 星海社新書)
ここで、ストーリーの軸となるキャラクターが登場します。FWの橘とMFの大友です。(121-122pp)大友は葦人に「葦人が福田にセレクションの説明をさせることで、セレクション参加者の意気を高める余計なことをした」と口にします。しかし葦人は「万全な相手と競えるなんて、うれしい」と言い返します。
第4話 思考力
走力や加速などフィジカルのテストが終わると、7対7のミニゲームにセレクションが進行していきます。
試合を楽しみにしていた葦人と大友ですが、チームは苦境に立たされます。セレクションの合格候補筆頭の橘がいるチームに立て続けに得点を決められ、逆境に立たされます。
人生かけて頑張っている彼らにたいし、それを応援している一条花は疑問を福田監督に投げかけます。そして福田は、「フィジカルも技術もある程度は知っている。知りたいのは、その状況においてどう判断するかというインテリジェンス(思考力)を見たいのだ。」と。(140p)
そこで葦人は、それまでのスタンドプレーと言われてしまう癖を修正しようと切り替えます。そこで、「この状況で自分に出来ることは何か。」を考えたことにより、俯瞰の才能が発動し、アクロバティックなアシストを成功させます。(155p 第5話 一閃)それを見届けた福田監督は、最終選考に残すことを決めます。
キャリアにおいて、逆境はつきものです。日本代表監督を務めた森保一氏はNHK『プロフェッショナルの流儀』で、うまくいかなかったときこそ、原点に立ち返ると言ってました。
ミニゲームでの葦人は、まさに「サッカーが好き」という原点に立ち戻ったうえで、技術のある周囲の選手とどうやってゴールを導き出すのかを考えました。
さて、一つの成功をおさめた葦人は、この後どうなってくのでしょうか、
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