登校拒否とモー娘。と
幼少期の記憶があまりない。
でも確実に覚えているのは、ふとした瞬間に足元に大きな黒い穴が開くことと自分が女であることを酷く恥ずかしく感じる瞬間があったこと。
どちらも今は感じない。
今思えば、とてつもなく自尊心の低い子供だった。
故に劣等感がハンパなかった。
私は小さいときからPUFFYが好きだった。
曲はもちろんファッションも憧れで、少しでも似るようにとオーバーオールを着ていた。
小学校に上がって少ししたころのこと。
掃除の時間にクラスメイトの一人が急に歌い出した。
続けてその場にいる女たちが歌い出す。
聞いたことない歌だったけど「知らない」とは言えない空気を察知した私は知ってるよ?的なアレを醸し出してワンテンポ遅れで歌った。
後で知ったが、あれはモー娘。の歌だった。
みんなが「モー娘。の誰々ちゃんが好き」だの「誰々はブスだ」だのの話をしているとき、私は置いてかれないように必死だった。
だってPUFFYが好きと言ってもクラスメイトから相手にされなかったから。
高学年になると話題は一気に男の話になっていた。
やれ「誰々がカッコイイ」だの「誰々と何をした」だの。
一切興味が湧かなかった。
でもやっぱり置いていかれるのは嫌だったので無理やり会話についていく努力をした。完全にキョロと化した。
そんなキョロ生活が続いたある朝。
目を覚ますと
体が動かなくなっていた。
脳は学校に行けと指令するんだけど体が全力で拒む。
そんな朝が何度も続いて、そうしてだんだん学校に行けない日が増えていった。
【つづく?】