(デザイン:備忘録)Webデザインの個人的思考手順

今回はWebデザインに関わる方ならみなさんご存知Goodpatchさんの記事を読みながら感じたことをつらつらと書いていきます。

Webに限らずですが、デザインは問題解決の手段です。
問題とは様々なものがあり、それを解決するためにとる活動をデザインと呼びます。
そういったデザイン思考プロセスとして以下のようなツールが使われています。

1、観察・共感
2、問題定義
3、アイディア創出
4、プロトタイピング
5、検証

これらに基づいてさらにデザイン作成の詳細なプロセスを詳細にしていったり、もしくはもともと会社で作られているプロセスを蓄積していき、それを会社のクオリティ管理に使っている方も多いかと思います。
しかし、上記のBorisさんの記事で目から鱗が落ちるような感覚を覚えました。

日本で働く人が「効率(Efficiency)」を大切にしていると感じるのに対して、ドイツで働く人は「効果(Effectiveness)」を大切にしていることだと思います。Efficiencyは「Doing things right(物事を正しいやり方でやる)」という意味で、Effectivenessには「Doing the right thing(正しい事をする)」という意味があります。
何かをする際に、日本では比較的プロセスを大事にしますよね。ミーティングのやり方がその一例です。効果的な結果が得られなかったとしても、ミーティングを週次で開催したりします。その場合、私は「ミーティングを定時に開催した」というプロセスが大事にされているように感じます。
日本人がプロセスを大切にすることで、美しいものを生みだすことは習慣化していると思います。例えば、漢字を書くときも、書き順を何度も直されるでしょう?結果、同じ漢字が書かれるのに。こういうところは、日本人の価値観のように思います。
でもベルリンでは、プロセスはほとんど気にしないに等しいんです。もちろんプロセスも大事だけど、結果が良ければプロセスはぐちゃぐちゃだったって構わない。そして、プロセスに沿っている時でも常に、「正しい事をしているか?」と自分に問い続けます。

私自身も非常にプロセスについてしっかりと決めたがる質で、プロセスを決めること自体に時間をかけるよりもプロセスはなるべく一つに絞り、それ以外のところに時間を割いた方が良いと考えていましたが、その場合確かに無駄になっているプロセスも多くあると感じる部分があります。
例えば簡単なページを一から全てコーディングしたり、ある程度使いまわせそうなデザインを一から企画したりするのがその一例だと言えるかもしれません。

プロセスからデザインを始めるのがBorisさん達の作り方と言えるのかもしれません(勝手な想像ですが)
とはいえ、私自身、頭がいい方ではないので、一度どのような工程があるのかざっくりと一般化しておかないと組み立てもできなくなってしまうので、デザイン思考プロセスを元にここで一度出してしまおうと思います。

1、観察、分析:
目的は、競合はどんなところなのか、強みは、弱みは、差別化する部分はなどを観察し、書き出します。ここではブレインストーミング的なものをするだけにとどめ、あまり具体化はしないようにします
2、問題定義:
目的を達成するための問題を定義します。目的を聞くと「売り上げを上げたい」「CVを上げたい」と答えられることが多いですが、それらを達成することの障壁(問題)を取り除くことを目的として制作側は目的を設定します。該当案件で取り除く対象になった障壁をその案件の問題として定義します。
3、アイディア創出:
会社や自分の持っている、持っていなくても使えるようになる技術や資産のどれを使って、どのように問題を解決するかのアイディアを創出します。
会社にその問題解決のために打ち出せるような強みがなくてもデザイナーの技量でカバーできるような問題であればそれで解決し、もしどちらの資産でもどうしようもないようならば解決する問題を変えるか、中長期的な視点での対策をとる必要があります。
4、プロトタイピング(1):
問題解決のために出したアイディアを実現するツールのプロトタイプを作ります。プロトタイプは何段階かに分け、それぞれの段階で解決する問題を解決できているかを確認します。
0情報分析段階:ペルソナ設定、ペルソナの課題設定、競合調査
1情報整理段階:ハイレベルサイトマップ、コンテンツマトリクス
2情報配置段階:詳細サイトマップ、コンテンツインベントリ、カスタマージャーニーマップ
3レイアウト段階:ワイヤーフレーム
4印象調整段階:詳細画面デザイン
5、検証:
作ったプロトタイプを元に問題がないかの確認をします。手戻りが無いようになるべく各段階でのチェックが必要です。
下記は各段階での解決すべき問題(案件によって変更あり)です。
0情報分析段階:ユーザーの要求理解の問題
1情報整理段階:ユーザーの疑問解消の順番という問題
2情報配置段階:ユーザーの疑問を解消するコンテンツという問題
3レイアウト段階:情報だけでは解決しにくい疑問を解決するという問題
4ブラッシュアップ:視覚的印象という問題

上記の検証で示した問題以外にもサイト作成の場合はいくつかの問題があり、サイトのデザイン自体、それに配慮する必要があります。

それ以外の問題:
流入経路の問題→SEO、Web広告、SNS、フライヤー、イベントetc..
サイトパフォーマンスの問題→なるべく軽い方がいいが、サイトの機能をどこまで実装するか
出口の問題→どのようにしてユーザーが目的を達成するか、達成した後の行動、離脱
再訪の問題→再利用して欲しい場合の誘導方法は

Borisさんの話を加味して考えると、これらのプロセスを実際に実行した上で、「自分は正しいことをしているか」ということを常に自問自答し、手戻りは減らしながらも、手戻りや試行錯誤の工程自体は厭わないことが重要だと私は考えていこうと思います。

プロセスを正確に踏んで何かを成し遂げる過程は美しい。プロセスを外れても何か有益なものを創り出す過程はパワフルです。

上記もBorisさんの言葉です。
プロセスに乗っかって作るだけでなく、時には新たなプロセスを探すことが一番のクリエイティブなのかもしれません。

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