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職場をメタバース上に再現も! メタバースを介して行う仕事「メタワーク」の事例と可能性(コラム)

メタバースは足元、エンターテイメント向けがメインではありますが、ビジネスシーンでも活用されつつあります。このコラムでは、メタバースを介して行う仕事(以下、「メタワーク」と呼びます)に注目し、事例を踏まえてどのような可能性があるのかを考えてみましょう。


アバターで会議に参加、音声や映像で没入感を演出

メタワークの事例としては、米国のMetaPlatforms(メタ・プラットフォームズ)が展開するバーチャルミーティングが有名です。同社のメタバースプラットフォームであるHorizon Workrooms内で利用できるミーティングサービスで、同社が販売するVR端末を着用して利用します。

バーチャルミーティングでは、アバターが会議室に集まるところからミーティングがスタートします。現実世界と同様に、例えば発言者が自分の右側にいる場合は右から発言が聞こえるなど、ミーティングでは他のミーティング参加者の位置が音声に反映され、没入感を高める工夫がされています。また、コントローラーを動かすことでアバターが身振り手振りを使いながら会議に参加できます。

さらに、メタバース内ではオフィスを模した空間以外に、教室やロッジといった様々なミーティングルームを設定することも可能です。実際に体験してみると、既存の会議システムよりも没入感を味わえるでしょう。

ただし、VR端末を着用するため、長時間のミーティングは体への負担が大きく感じるかもしれません。また、屋外でのミーティングはできません。上述した特徴は、現実世界の会議や既存の会議システムを大幅に代替するとは言い難く、現段階ではメタバースならではのUI/UXを模索している印象があります。

職場における職員の位置や行動を仮想オフィス上で再現

一方で、現実の職場をメタバース上に再現するメタワークもあります。oVice(オヴィス)は、仮想オフィス「ovice」を提供しています。現実の職場を再現したメタバース上のオフィスをアバターが自由に動き回り、コミュニケーションを取ることができます。様々な特徴がありますが、なかでも、従業員の現在の状態を把握できる「ステータス」という機能があることや、アバターの動きを見るだけで会議が長引いているのか早く終わったのかなどが分かることがユニークな点です。

従来のコミュニケーションツールでも、「対応可」や「取り込み中」、「一時退席中」といったステータスは表示されていました。しかし、ミーティングが予定より早く終わり話しかけることができるのかなど、従業員が実際に何をしているのかを把握することは、現実の職場にいないと分からないものでした。

oviceでは、現実の職場における職員の位置や行動を、仮想オフィス上に再現することができます。例えば、職員が自席の脇で同僚と立ち話をしている際、メタバース上のオフィスでも同様の状況を再現することが可能です。なお、oviceには、画面共有や議事録作成といった従来のコミュニケーションツールと同様の機能が備わっています。

oviceがローンチされたのは2020年8月のコロナ禍です。当時はリモートワークのツールとして利用されていましたが、こうした機能が評価され、足元では、オフラインでの働き方をサポートするものとしても利用が広がっています。

oviceでは従業員の現在の状態が一目で把握できるようになっています

行動データ取得で新たなビジネスチャンスも

こうしたことを踏まえて、今後、メタバースを活用することで、働き方はどのように変わるのでしょうか。

一つのアイデアとして考えられることは、従業員の行動データ取得とその活用です。現実の職場での“アナログな”振る舞いを“デジタル化”できれば様々な可能性があるでしょう。例えば、ある従業員の会話量が減少していることは、会社へのエンゲージメントが低下しているシグナルかもしれません。

また、他部署の社員と積極的にコミュニケーションを取っていれば、その従業員の興味・関心が変化していたり、部署をまたいだビジネスを模索しようとしていたりするかもしれません。こうしたことは、従来のビジネスツールでは把握が難しかったでしょう。従業員のエンゲージメントや新規事業の種を把握することが、メタバースで可能になるかもしれません。


「メタバース」の概要や技術、法整備など、基礎となる知識を盛り込んだ動画のWeb3教育コンテンツは、AI・デジタル人材育成プラットフォームを展開する株式会社zero to oneのプラットフォーム上で展開する予定です。提供を開始する際には、noteなどを通じてご案内いたします。


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