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ブロックチェーン入門

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この単元では、ブロックチェーンの動作原理について、みなさん各自が有効なメンタルモデルを頭の中に作れることを学習の目標とします。そのために、適切な比喩などを用いながら、ブロックチェ…
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#ポケットキャンパス

ブロックチェーン入門_ #コラム:マイニングを個人がするには?暗号資産を得るよりも大切なこと

Bitcoin(ビットコイン)に代表される、ブロックチェーン上の取引データを承認し新しいブロックを生成する時に、膨大な量の反復計算以外では解けない計算式の解を求め、ブロックチェーンの連続性の正しさの担保に利用する仕組みを、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)やマイニングと言います。ブロックチェーン戦略政策研究所の樋田桂一代表は「マイニングは仕組みやプレーヤーを変えながらもずっと続いていくものです。暗号資産(仮想通貨)を報酬としてもらえることに注目されがちですが、ブロックチェーンエ

ブロックチェーン入門_#コラム:パブリックとコンソーシアム、運営事業者が語るメリット・デメリット

ブロックチェーンを基盤にした DApps を開発する際、 パブリックチェーン と コンソーシアムチェーン 、どちらのブロックチェーンを選べばいいのでしょうか。両者は管理者の有無や取引の合意形成などが異なり、得られる効果や検討すべき課題も異なります。「パブリックブロックチェーンの恩恵をより多くの人に」をパーパスに掲げる株式会社HashHubの平野淳也CEOと、コンソーシアムチェーンを用いた「ibet for Fin」などを展開する株式会社BOOSTRYの佐々木俊典CEOに、それ

ブロックチェーン入門_#14:ブロックチェーンの課題解決になるか - レイヤー2編

スループット が飛躍的に向上し、手数料の削減の効果も期待されている「レイヤー2」とはどういったものでしょうか。概要やメリット、課題を解説します。 レイヤー1とレイヤー2■レイヤー1とは ブロックチェーンそのものをレイヤー1と呼ぶことがあります。トランザクションをブロックに組み込んで記録し、その存在や内容を後から検証可能にする仕組みです。いかなる方法でも記録の否定できないように工夫して設計されています。 ■レイヤー2とは レイヤー2は、ブロックチェーンの外でトランザクシ

ブロックチェーン入門_#13:ブロックチェーンの課題解決になるか - プルーフ・オブ・ステーク編

Ethereum (イーサリアム)が「プルーフ・オブ・ワーク」を捨てて移行したという「プルーフ・オブ・ステーク」とは何でしょうか。それはブロックチェーンの課題を解決する鍵となるのでしょうか。プルーフ・オブ・ステークの概念や安全性について解説します。 プルーフ・オブ・ステークの基本概念スマートコントラクト の実行プラットフォームであるEthereumは、2023年9月の大型アップデートにより、それまでのプルーフ・オブ・ワークに基づく仕組みからプルーフ・オブ・ステークに移行しま

ブロックチェーン入門_#12:ブロックチェーンにおける五つの主要な課題

ブロックチェーンには様々な技術的な課題があります。それらはどういったもので、どのような対策が打たれているのでしょうか。一つ一つ、確認していきます。 ブロックチェーンの課題ブロックチェーンの技術には、次の五つの主要な課題が存在します。 課題1:時間と資源の効率性 プルーフ・オブ・ワーク はブロックチェーンに耐改ざん性をもたらしますが、本質的にはくじ引きであり、当たる確率はその時々で変わります。そのため、ブロックが生成されるタイミングは正確には予測できません。(関連単元:「

ブロックチェーン入門_#11:仕様のアップデート - ハードフォークやソフトフォークとは何か

ブロックチェーン技術を改善するために行われる変更には、ソフトフォークとハードフォークという2種類のアップデート方法があります。それぞれの概要と事例を解説します。 ブロックチェーンの仕様変更とは?ブロックチェーンの仕様を変更すると、新旧のクライアントソフトウェアがどのようなブロックを認めるかに差が出て、新しいチェーン(新チェーン)と古いチェーン(旧チェーン)が分かれます。この分かれ方には、ソフトフォークとハードフォークの2種類があります。 ソフトフォーク■ソフトフォークの意

ブロックチェーン入門_#10:ブロックチェーン技術 ナカモト・コンセンサス - 歴史を一つに

Bitcoin(ビットコイン)のみならず様々なブロックチェーンで採用されている「ナカモト・コンセンサス」とはどんなアルゴリズムなのでしょうか。概要と考え方を解説します。 コンセンサスとは何か分散システムにおけるコンセンサスは、並行して計算に参加している、壊れていない複数のコンピュータから見て、同じ変数の値が一致することです。 人間が何かに合意することとは異なり、コンピュータの間で特定のアルゴリズムによって自動的に値を選んでいきます。 ブロックチェーンにおけるコンセンサス

ブロックチェーン入門_#9:ブロックチェーン技術「プルーフ・オブ・ワーク」 - 改ざんを防ぐ

悪意による不正を防ぐために設けられている「プルーフ・オブ・ワーク」とはどんな仕組みなのでしょうか。関連する用語の説明とともに、概要と特徴を解説します。 プルーフ・オブ・ワークとは何か?■悪意ある人の不正を防ぐ仕組み プルーフ・オブ・ワーク(作業証明)は、文字通り、何かの作業をした証明を指します。その証明がないと処理を次に進めることができない仕組みになっています。 プルーフ・オブ・ワークを導入したのは、ブロックチェーンが初めてではありません。この手法は、悪意のある人が不正

ブロックチェーン入門_#8:ブロックチェーン技術「ハッシュチェーン」 - 順序をはっきりさせる

ブロックチェーンの要素技術の一つで、トランザクションの時間的な順序関係を表すのに役立つ「ハッシュチェーン」とは何でしょうか。概要と特徴を解説します。 ブロックチェーンの基本構造■ブロックとは? トランザクションとは? ブロックチェーンはその名の通り、ブロックのチェーン(連鎖)の構造を持ちます。ブロックは送金等の処理(トランザクション)の指示となるデータを複数まとめたものです。ブロックチェーンではそうしたデータのことも簡単に「トランザクション」と呼びます。 トランザクショ

ブロックチェーン入門_#7:基礎技術「ピアツーピア・ネットワーク」 - 権威を廃し、止められない

ブロックチェーンを支えるネットワーク・アプリケーション構築技術である「ピアツーピア・ネットワーク」とはどんなものでしょうか。概念や特徴を解説します。 クライアント/サーバ方式とその問題点■クライアント/サーバ方式の概要 ピアツーピア・ネットワークの前に、私たちが日頃使っている、インターネット上の多くのアプリケーションで採用されている「クライアント/サーバ方式」の問題を考えましょう。 クライアント/サーバ方式は、サービスを受けるコンピュータ(例えば私たちの手許のパソコンや

ブロックチェーン入門_#6:基礎技術「デジタル署名」- 本当に押印・割印よりも便利なのか

ブロックチェーン技術の中で、ユーザ本人の意思を確認するために使用する「デジタル署名」とはどんなものでしょうか。構造と課題を解説します。 デジタル署名とは何か?■押印・割印には欠点がある 押印や割印は、書類や契約に自分の同意を示す伝統的な方法です。押印によって意思を表明し、例えば同じ契約書を2部作る時など、二つの契約書にまたがるように割印をすることで、同じ時に作られた二つの書類であることを証明できるとされます。 しかし、印影の偽造はテクノロジーの発展によりどんどん容易にな

ブロックチェーン入門_#5:基礎技術「暗号学的ハッシュ関数」 - 同じかどうかを確かめる

ブロックチェーンの構造のあらゆる場所に登場する「暗号学的ハッシュ関数」とは何でしょうか。特徴と実例を解説します。 ハッシュ関数って何?■関数の基本概念 関数は、入力を受け取り、それに基づいて特定の結果(出力)を返す仕組みです。例えば、数学の授業で習ったy=f(x)のようなものです。この場合、fが関数、xが入力で、yが出力です。xが決まれば、yはいつも決まった値になります。 ■ハッシュ関数とその特徴 ハッシュ関数は、入力に対してある決まった範囲、例えば0〜255(8ビッ

ブロックチェーン入門_#3:ブロックチェーンはどんな問題を解決できるか

ブロックチェーン技術はどのように活用できるのでしょうか。ブロックチェーンは基本的に、デジタル署名だけではできないことを実現するために作られています。そのため、デジタル署名の問題点をあげることで、ブロックチェーン技術を用いるメリットを解説します。 デジタル署名の概要と問題点■デジタル署名とは デジタル署名は、電子情報が本物かどうかを確認する方法です。例えば、みなさんがお使いのマイナンバーカードに「署名用電子証明書パスワード(英数字6~16文字)」 が設定されていれば、みなさ

ブロックチェーン入門_#2:「ブロックチェーン」の基礎知識

「ブロックチェーン」とはどのようなものなのでしょうか。この単元ではブロックチェーンの特長を解説します。 ブロックチェーンの由来と目的ブロックチェーンは、匿名の開発者サトシ・ナカモトによって、Bitcoin(ビットコイン)というデジタル通貨システムを実現するために考案されました。Bitcoinの目的は、「自分が持つお金を好きに送金することを誰にも止めさせない」というものだったと考えられています。 ブロックチェーンは、分散型のデータベースの一種で「公開台帳」だとも言われていま