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故郷のスター 仲里依紗と裏ボタン

東彼杵、この漢字が読めるだろうか?

ひがしそのぎと読む。そこが私の故郷である。海と山に囲まれた人口7000人超の長崎県の田舎町。私が町を離れる頃はまだ1万人を超すくらいの人口だったが、地方の町のご多分に漏れず人口が減り続ける過疎の町である。以前は二校あった中学校も合併して今は一つになった。平成の大合併のときには、同じ郡内の3町で合併する協議を行なっていたようだが、役場の位置や町の名前などで合意できなかったらしく、今でもそのままの地名である。

香田勲男と仲里依紗

前回、「俺たちの近鉄バファローズ」で我が町のスター、香田勲男投手の話を書いたが、そんな田舎町から出たスターが香田勲男投手の他にももう一人いる。それが、言わずと知れた人気女優であり、モデルであり、タレントでもある仲里依紗だ。彼女の話をする前にもう少し故郷の話を書こう。

お茶と鯨のまち

我が故郷、東彼杵町は古くは長崎街道の宿場町であり、陸路で長崎に向かうには必ず通る街であった。お茶と鯨が特産で、現在でも県内有数のお茶の産地だ。年に一度の彼杵茶市というお祭りが子供の頃の楽しみでもあった。いまではあり得ないかもしれないが、マグロならぬ、鯨の解体ショーがメインイベントになっていた年もあった。

そんな町で過ごしていた頃には普段の景色すぎてなんとも思わなかったが、久しぶりに帰ってみると、大村湾に沈む夕陽が絶景であることに気がついた。

仲里依紗の活躍

さて、仲里依紗の話だが、私が最初に彼女をテレビで見たのは「ハチワンダイバー」というドラマであった。実際にはもう少し前から活躍していたようだが、その頃に地元の友人から彼女が彼杵出身という話を聞いた。すでに私は故郷を離れていたので実際には彼女に会ったことはない。しかし、彼女の父親のことは知っている。というか、その頃に(おそらく今でも)地元の中学生なら誰でも知っている人であった。

TACKの兄ちゃん

彼女の父親は、町で唯一のアメカジファッションのお店で、彼女がテレビなどでも紹介しているので店の名前も出してしまうがTACKという店を営んでいた。背が高くハーフでイケメンなお兄ちゃんで、地元の中学生でTACKの兄ちゃんというと彼女の父親のことであった。もちろんその頃は、TACKの兄ちゃんの娘がこんなに有名になるとは思ってもいなかった。

そしてその店は、中学生の制服(学ラン)やワイシャツ(地元ではカッターシャツと言ってた)なども売っていた。今となってはほとんど見かけることがなくなった学ランだが、おしゃれな?生徒達は、自分の好きな裏ボタンをその店で買って標準の裏ボタンから付け替えていた。もちろん、校則違反である。裏ボタンだけでなく、さらにやんちゃな生徒達は、その店で裏地に刺繍の入った短ランや長ランを仕立てていた。当然これも校則違反である。TACKの兄ちゃんはそんなやんちゃな生徒達の味方だった。

地元のスター

数年前、彼女は「爆買い☆スター恩返し」という番組で地元を訪れて、鯨を買ったり、母校の小学生に差し入れしたり、仲のいい同級生と地元のお店で食事をしたりしていた。「そげん仲よーなかとばってん、同級生で地元に残っとるけんって呼ばれたとばい」という噂があったとかなかったとか。こんな噂がすぐにまわってくるのも田舎ならではの話。

最後に

知らない人はいないというほど活躍している彼女であるが、地元を忘れずに紹介してくれたことがとても嬉しかった。
東彼杵町は小さな町ではあるが、それゆえにそこから出てきて活躍している人は注目して応援している。もちろん、二人以外にも社会で活躍している人はたくさんいるはずだ。

今年の夏も、地元に帰る予定である。


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