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バレンタイン市場におけるブラックサンダーの成功からみる強みの活かし方


1.はじめに

もうすぐバレンタインですね。
私も「今年は誰に渡そうかしら」と毎年悩んでしまいます。笑
そして、ビジネスの視点から考えると、人々の関心の的というのは重要な商機でしょう。
今回はバレンタインを題材として、強みを生かして商機をつかむ上で重要な考え方について見ていきましょう。

2.バレンタインの市場調査

バレンタインで売れるチョコレートの市場規模をご存じですか?
どうやらここ10年ほどは、1200~1300億円という規模で推移しているようです。(日本記念日協会:記念日文化研究調べ)
これは、チョコレートの年間総消費額の30~35%にあたります。
これを知ると、主にチョコレートメーカーにとっては、バレンタイン市場をうまく自社に取り込めるかどうかが重要なトピックとなることが理解できると思います。

(従来の)バレンタインへの見方では、大切な人に特別感のあるチョコレートを贈るものというものが主流だったのではないかと思います。
そして、特別感・高級感のある包装やチョコレートがあるチョコレートがバレンタインの商機をうまく取り込んでいたのではないかと想像できます。
今回は、このような常識にとらわれすぎず成功した例としてブラックサンダーを取り上げ、強みの活かし方を考察したいと思います。

3.ブラックサンダーの成功例

先述の通り、バレンタインでは特別感が重要であり、それは今も昔も変わらないことでしょう。
そのような市場において、お手軽なブラックサンダーが成功した例を見ていきます。

2013年ごろのブラックサンダー(有楽製菓)の売上は、12月がピークであり、バレンタインのある2月には大きな山がなかったようです。チョコレート市場においてバレンタインは超重要な商機です。有楽製菓としても、バレンタインというホットな領域で主力商品(ブラックサンダー)を売り出したいと考えたようです。

ここで第一の難点は、特別感がないため、本命になれないことです。
ちなみにブラックサンダーは、一つ30円くらいです。
しかし、これは周知の事実だったため、ブラックサンダーは義理チョコとして売ろうという方向はすぐに思い付いたのではないかと考えます。

問題なのは第二の難点です。
当時バレンタインの義理チョコ市場は、チロルチョコが主流だったのです。有楽製菓でも義理チョコとしてチロルチョコが配られていたほどだそう…

そこでブラックサンダーは「一目で義理とわかるチョコ」というキャッチコピーを打ち出します。ブラックサンダーの親しみやすく特別感がない製品デザインが義理チョコ市場では強みになることに気づき、プロモーションを実施したわけです。
その結果、テレビや雑誌、WEBなどのあらゆるメディアへの露出が相当増え、義理チョコとしての販売に成功しました。

引用:ブラックサンダー「義理チョコ煽ってごめんなさい」のなぜ

4.成功の裏にあった戦略

ブラックサンダーの打ち出した「一目で義理とわかるチョコ」という謳い文句の成功から得られる示唆を考察したいと思います。

一言で言えば、自社製品の特長と市場のニーズの両方を理解することが重要だということです。

第一に、有楽製菓は、親しみやすく、その分特別感がないというブラックサンダーの特徴を「意識的」に理解していました。
なんとなく知っているのではなく、特徴として意識できていたのです。
通常、自社製品の強みはよく意識され、競争にあたって有効活用しようと考えられます。他方、特徴の中でも弱みは、競争において活用されるものとして思考の外に出てしまっているケースは多いかと思います。
しかし、ブラックサンダーの例では、いつもは「弱み」としてカテゴライズされる特徴も「強み」となる場合があると、思考から切り捨てなかった点が大きな学びとなるかと考えます。

第二に、市場のニーズを正しく把握していました。
義理チョコには何が必要とされるのかという問いに(自分なりの)答えを持っていたのです。
その答えが、義理チョコ選定では、相手に勘違いをさせないように「渡したチョコレートを見れば、義理チョコだとわかる」ことが重要な条件だということなのではないかと思います。

こうして「渡したチョコレートを見れば、義理チョコだとわかる」ことが重要な条件となる義理チョコ市場においては、自社製品の「特別感がない」という(通常弱みと呼ばれる)特徴が「強み」となるということに気付くことができたのでしょう。
このように、自社製品が顧客の課題・ニーズを満足させるとしてもの提供できており、それが適切な市場に受け入れられている状態のことを「プロダクトマーケットフィット」と呼びます。
すなわち、ブラックサンダーの戦略はプロダクトマーケットフィットの見直しでした。

5.おわりに

よく「競争では強みを生かすべきだ」ということが言われます。
今回の示唆は、この言及をさらに深めて、「強みとは、いつも「強み」呼ばれる特徴だけではなく、「弱み」と呼ばれるような特徴も候補となりうる」ということです。
そして、どんな特徴が「強み」になるかは、市場では何が求められているのかという自分なりの答えによって決まります。
上記を踏まえ、自社の特徴はたとえ「弱み」と呼ばれるものでも無視しないこと、そして「狙っている市場のニーズとはなにか」という問いへの自分なりの答えをもつことが大切だと考えられますね。

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