【詩】気候
気候
よしんば人々を粉々にしていたからといって
俺が善良であることに変わりはない
わ行をうつむきながら復唱している釣り人から
せしめとった金で買ったゴム底の郵便船を
画鋲で穴だらけにしてから水に浮かべて客を呼んだからといって
少しも傷つかないことの最たるものこそが
この俺の善良さ
砂を弾いていく蜘蛛の踏みにじってきたむき出しのアスファルトを
思いながら踏みにじっていく俺の靴底の蜘蛛たちが
殺されながら感謝しているほどの良さ
「久々に、思い出してしまいましたよ
良い人々のことを」
人々 そして まるで気候のように
善良であることにかけて
右に出るもののない
俺