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VRChatワールド探索部マガジン インタビューシリーズ

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VRChatワールド探索部マガジンのインタビュー記事をまとめました。
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記事一覧

今、VRChatで“ちょうどいい”ライブをつくる──バーチャルライブ『メトロパルス』制作チーム座談会(ReeeznD×キヌ×tanitta×Cap)

2023年8月に初演が開催された、エレクトロ・ポップ・デュオのCAPSULEによるVRChatでのライブ『メトロパルス』。 長年、音楽業界で活躍するCAPSULEが初のバーチャルライブを行うことから話題を集め、VRChatユーザーをはじめ、それまでバーチャルの世界を体験したことがなかった方も参加するほど、注目されました。 また、欧州最大級の映画祭「レインダンス映画祭」の一部門「レインダンス・イマーシブ」(XR作品を表彰するプログラム)にて、ベスト・イマーシブ・ミュージック・エ

VR演出についてかんがえてみた|中編:音と演出の話

B4の2D・3Dの音の使い分けについてらくとあいす せっかくなので音の話をしようかなと思います。 B4の中でも音の使い方が結構違ったなと思っていて。 大きく分けると2Dと3Dがあって。さらに細かく分けていくと2Dと3Dを両方使いながらというのと、使い分けを替えて混ぜていたり、2Dに振っていたり、音の種類と音の立体感の使い分けがそれぞれ特色合って面白かったなと思いました。 特にBeyond a bitの2Dと3Dの音の使い分けがすごく好きで。 楽曲って単純に配置した場合は3

VR演出についてかんがえてみた|後編:未来の話

「インタラクション」と「学習」についてphi16 全体的に話は盛り上がって、現在について言語化できたと思います。 ここからは「こういうの見たいよね」とか「こういう技術があるんだから、VR演出でこういうこともできるよね」「こういうのあり得ないけどめちゃくちゃ面白いし見たいね」など未来の話をしたいです。 坊主さんどうですか。 三日坊主 (笑) もうちょっと“影”を使いたいなと思っていて。“影”を使えば、もっと遊べると思っていて。 phi16・fotfla 分かる。 phi

VR演出についてかんがえてみた|前編:没入と主体と破壊の話

phi16 みなさん今回は集まっていただきありがとうございます。この回の目的は、まずサンリオバーチャルフェスのB4が色々面白かったというのはあるんですけど、それについて振り返るだけの会というよりは「これからのVR演出」について考える機会にできたら良いなと思っています。 今回は前半と後半に分けてお話しできればと思います。 前半ではこれまでの振り返りをしたいのですが、自分のつくった作品を解説するのではなく他の人の作品の「こういうポイントが面白かった・よくなかった」みたいな話がで

リアルとバーチャルの「梯子」をつくるーバーチャル空間を使った映像制作の"現在" 根本凪「タイニーグレープフルーツ」MV制作インタビュー

虹のコンキスタドール、でんぱ組.incとリアルでのアイドル活動を経た後、VTuberとして活動を開始した根本凪さん。 彼女の初のEPとなる「lume di spica」に収録された楽曲『タイニーグレープフルーツ』のミュージックビデオは、VRChatに実際にあるワールドを活用し制作されています。 リアルでは実際に行ける場所をロケ地として使い、映像を制作する事はあたりまえですが、これまでバーチャルでは「実際に行ける場所」を「ロケ地として」活用し制作される映像はあまり多くなかった

「VR」についてかんがえてみた vol.01 後編

前編はこちら 「主観」について──ソーシャルVRでゲームや物語を体験すること三日坊主 「VR」と名前がつくもので、「VR映画」や「VRゲーム」、「ソーシャルVR」があるじゃないですか。これまでに「主観」って言葉が出てきていたのですが、VRChatでヨツミさんの『PROJECT: SUMMER FLARE』に入っていくというのは主観性が強いソーシャルVRの中で、あえて縛られにいくみたいなめちゃくちゃ不思議な体験なのかなと思っています。物語に巻き込まれていき、それに気づいても進

「VR」についてかんがえてみた vol.01 前編

VRChatの内外を繋ぐ特殊な立ち位置三日坊主 この会は以前にphi16さんとfotflaさんと話している時に「タカオミさんとお話してみたいね」という話が出たところから「対談すればいいじゃん」と勢いで決まって始まりました。 そこで、今回は話すテーマとして「VRならでは」という、ある種超でかいテーマを良い感じに楽しくお話していただきたいなぁと思います。 まずは会話のスタートとして、二人はお互いのことどう思っていたかから始めましょうか。 phi16 まず最初にやっておきたいこと

リアルを知るからこそ追求した「物理的に不可能な映像表現」ーーバーチャルクラブにおける映像演出の"現在"「CLUB REGULUS DELTA」制作インタビュー

2022年3月19日にVRChat上で開催されたクラブイベント、「CLUB REGULUS DELTA」。縦横無尽に空中を移動する6面のスクリーンを使用した、他に類を見ないVJ演出が話題となった。 今回は、そんな「CLUB REGULUS DELTA」でのVJ、および移動するスクリーンのオペレーティング等を担当したHatoto氏と、CLUB REGULUSの仕掛け人であり、ワールドの制作者でもあるKeisuke Kimura(以下、キムラ)氏をお呼びし、インタビューを行った

「現実を切り取る技術」から新しいコミュニケーションや表現が生まれてくる――フォトグラメトリワールドの"現在"「VoxelKei × 龍 lilea」インタビュー

複数の写真や動画を解析し、3Dモデルを立ち上げる技術「フォトグラメトリ」。 数年前までは高価なソフトが必要になる専門的な技術でしたが、近年では「iPhone 12 Pro」や2020年以降の「iPad Pro」にLiDARという技術が実装されたことでスマホだけでも簡易なフォトグラメトリが行えるようになったことで、一般的な認知度が上がっています。 写真や動画から3Dモデルを生成するため、まるで基底現実を切り取ったかのようなモデルを生成できるこの技術ですが、VRChatをはじめ

バーチャル展覧会の空間に、なぜ「実在感」が必要だったのか?――バーチャル展覧会の"現在"「Shader Fes 2021」制作インタビュー

総勢80人のシェーダークリエイターによる200点以上の作品が集まるバーチャル空間内の展示スペースとして、2021年12月17日に公開された「Shader Fes 2021」。 3D空間の基礎技術であるシェーダー、その可能性を一挙に感じられる空間として公開された本ワールドは、展示作品の多様さもさることながら、展示空間としてのクオリティの高さも大きな話題となりました。 さまざまな表現活動に用いられるシェーダーの可能性を追及するとともに、展示空間としてもクオリティが追及されたS

言葉に捉われない作品を生み出す――VRコンテンツクリエイターの"現在"「PROJECT: SUMMER FLARE」制作インタビュー

―――夏を壊せ。言葉を壊せ。世界を前に進めるために。 2021年9月23日に公開されたワールド「PROJECT: SUMMER FLARE」。メディアアート展「1%の仮想展」や、異色の謎解きワールド「アスタリスクの花言葉」などを手掛けたヨツミフレーム氏による待望の新作で、公開初日から多くのVRChatユーザーが訪れた。 本作はキャッチコピーやヨツミフレーム氏の発言から「夏」という愛称でも呼ばれており、バーチャルライフマガジンによる2021年VR流行語大賞企画では「メタバー

楽しむ想いから生まれる「インディーズ空間」──"バーチャル空間"の"現在"(sabakichi × FUKUKOZY)

今回のテーマは、「バーチャル空間」。 「メタバース」という言葉がバズワード化し、Facebook社がメタバース事業展開のため社名を「Meta」に改名するなど、バーチャルの世界はいま、多方面から注目されています。 メタバースにはいろいろな要素がありますが、VRChatなどのソーシャルVRを語る上で欠かすことのできないのが「ワールド」と呼ばれる3DCGでつくられたバーチャル上の空間です。 そこで今回は、現実世界での建築や空間設計への造詣が深く、VRChat内で開催された「第0

バーチャルフォトグラフィの"現在"「写真という概念の誕生」──Re:collection 制作インタビュー

VRChat上の「写真館」としてつくられたワールド『Re˸collection - リコレクション -』。 これまで「写真展」などはありましたが、写真を「残す」という意味でのワールドは多くありませんでした。そんな中、『Re:collection』は総勢16名のバーチャルフォトグラファーによる作品が展示された写真館として、多くの注目を集めました。 ワールド制作を担当された柚葉さんによる記事も公開され、VRChatにおける写真とその展示について深く思考されたワールドになっている

バーチャルファッションの"現在地"──chloma Virtual Store in GHOSTCLUB 制作インタビュー

2021年7月にソーシャルVR「VRChat」内にオープンした「chloma Virtual Store in GHOSTCLUB」。 ファッションブランド「chloma」が、2018年からVRChat上で定期的に活動を続けるクラブ「GHOSTCLUB」とコラボレーションし、2021年5月に公開されたワールド「GHOSTCLUB5.0」内にオープンされたことが話題になりました(詳しくは前回のレポートをご覧ください)。 本インタビューでは「chloma」主宰のJunya Su