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"Hello ShopBot world !" クランプジグ編

この記事は、ShopBotを使ってみたい、使ったことがある方、すでにお持ちの方をはじめとして、CNCやマシン好きのマニアックな方向け、ツールの奥に潜むコミュニティやカルチャーにご興味がある方向けに、お届けしています。このシリーズでは世界中のユーザー事例やShopBot自体のいろいろな”しかけ”の紹介を中心に、応用的な使い方やオープンマインドな周辺文化について考察していきます。

ShopBotに限らず、さまざまなツールやマシンに慣れるにつれ、より使いこなしたい、もっとレベルの高い加工をしたい、という思いが湧いてくるようになると思います。

今回は「クランプジグ」、すなわち、クランプを使って材料を固定する際に準備する治具」がテーマです。ShopBotで木材を加工する際の固定方法としては、オプションのバキューム(空気を吸うことで材料を固定する装置)、あるいはビスやタッカーなどを材料に打ち込み、下地材に固定するのが一般的ですが、素材そのものに穴を開けたくない場合や特殊な形状の素材を加工したい場合、角度や位置が決まっている加工を量産したい時など、別の手段を検討する必要があります。そのような場合、世界のユーザーがいろいろなジグを創意工夫し、解決しているのかを見ていきます

<事例1>捨て板(Spoil board)にスライドレールを埋め込み無垢材を固定する

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大きな無垢材のアウトラインを活かして作られたサインボードです。捨て板(英語では捨て板の意味ではなく固定するための様々なクランプジグを埋め込める下地のことをSpoil boradと呼ぶようです)にスライドレールが埋め込まれており、ホールドダウンクランプをレールに入れ込み素材を固定しています。

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文字の部分はポケット加工と呼ばれる手法で彫り込んだ後に、PVCボード(塩ビ板)をカットした文字部分を入れ込んでいます。ShopBotは木材だけでなく樹脂や金属も加工できるので、このような多彩な表現が可能です。

<事例2> cambered caul (広い面をクランプするための当て木)製作用治具

少しわかりにくいですが、cambered caulという治具をつくるためのクランプジグ、つまり治具をつくるための治具です。cambered caul というものは広い面を圧着したり板矧ぎをする際などに、接着する木同士が反らないように水平にするための当て木のようなものです。以下の図のように当て木の左右が少し沿っており真ん中部分に厚みを持たせることで両端にクランプつけても真ん中にも均等に圧力がかかるようにするものです。

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この当て木をつくるためのジグを、ShopBotで切り出した部材にナットを埋め込んだパーツと、ノブボルトで製作されています。
作者のAndy Glass‎さんはこの方式で切り出したcambered caulをご自身のサイトで商品として販売されています。またyoutubeチャンネルとinstagramでShopBotを活用した作例やノウハウを公開されていますのでぜひチェックしてください。かなりのマスターであるお一人と言えるでしょう!

<事例3> オリジナルの捨て板(Spoil board)3Dデータ

DesktopMAX向けにユーザーがオリジナルで設計したSpoil boradです。
ダウンロードフリーとはなっていませんが、3Dでプレビューできるので治具のディテールをわかりやすく見ることができます。

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Spoil boradや取り付けるクランプそのものを自作するノウハウは色々な方が公開されていて、そのうちのひとつがMarius HornbergerさんのHow to動画です。こちらはフリーのテンプレートデータもオープンになっています。
自作クランプにパイプを埋め込み、Spoil boradの穴にはめ込んで素材の大きさに合わせて回転することで固定ができるしくみです。

ShopBot社のサポートドキュメント

Shopbot社が発信している素材固定に関するガイドドキュメントもあり、こちらのリンクから(英語)読むことができます。今回ご紹介したクランプによる固定方法の他、材料固定用の型を抜いたジグと両面テープによる固定などについて紹介されています。

いかがでしょうか。加工をする際に注意すべきこと、工夫する点は色々ありますが、素材ををどう固定するかというのも重要なポイントのひとつです。工夫次第で自由にいろいろな使い方、加工できるのがShopBotの魅力です。
世界のユーザーに習って、オリジナルのクランプジグで一歩レベルアップした加工を試してみてはいかがでしょう。

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