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技術同人誌に出会って変わった世界 【付録短編 〜マヨイの未來編〜】

 この記事は 「セイチョウ・ジャーニー」「挫折論への招待」Advent Calendar 2019 1日目として公開。
 なお、記事の最後に掲載している付録短編小説は「セイチョウ・ジャーニー 第3章マヨイ・ジャーニー」「挫折論への招待 第5章未來論への招待」を踏まえた特別編である。

セイチョウ・ジャーニーとは

 技術書典5にて、Growthfaction(Growth+Faction)サークルメンバー5名が中心に執筆した、セイチョウするための技術同人誌。技術書典当日、1時間で200冊が完売し現在も電子版にて販売されているロングセラー同人誌。

 "成長しろ" その圧力にモヤモヤする
 うまく目標達成できないあなたに
 "どうしていいかわからない" を抜け出したい
 物語・解説でわかる、セイチョウの法則!
 みんなのセイチョウ・ジャーニーを収録!

"マヨイ" について

 セイチョウ・ジャーニーでは、メンバー5名それぞれが自分のパートを執筆した。タイトルにある"マヨイ"とは、VTRyoが担当したパート『マヨイ・ジャーニー』のこと。セイチョウ・ジャーニーの第3章にあたるパートであり、唯一小説形式を取っている。

マヨイ・ジャーニー あらすじ

 『なりたい理想はある。実績はまだない』青年、間宵誠(マヨイマコト)が技術書典でたまたま出会った"セイチョウ・ジャーニー"をきっかけに、成長していく物語。

 「お兄さんは今、楽しいですか?」

 Twitterの使い方を変えたら見える世界が変わった。
 フォロワー同士のつながりが世界を広げてくれた。
 自分にぴったりのコミュニティが自分を上のステージへ上げてくれた。
 行動は次の行動を呼んだ。

 「キャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」

 彼が技術書典で本に出会ったのは偶然だった。
 フォロワーが彼をコミュニティに導いたのは彼がそう願ったからだった。
 その願いは行動になり、身になり、やがて習慣になった。

 「好奇心・持続性・楽観性・冒険心・柔軟性がよい偶然を呼ぶ」

 よい偶然とは、よい出会いでもある。
 よい出会いは、きっとあなたをよい方向に導く。

 セイチョウ・ジャーニーは、多くの人のよい出会いになれただろうか。

挫折論への招待とは

 技術書典6にて、Growthfaction(Grow+Faction)サークルメンバー5名が中心に執筆した、セイチョウ後に訪れるかもしれない挫折に対処するための技術同人誌。当日、450部以上を頒布し現在も電子版で販売されている。
 本家本元である『エンジニアリング組織論への招待』の著者、広木大地氏がコラム執筆をしたことでも話題になった。

 人生の理不尽。抗えない恐怖。
 過信・裏切り・破滅。周囲との不和。
 そのすべての正体は
 自己との向き合い方の失敗にあった。

"未來" について

 挫折論への招待でも、メンバー5名それぞれが自分のパートを執筆した。タイトルにある"未來"とは、VTRyoが担当したパート『未來論への招待』のこと。挫折論への招待の第5章にあたるパート。
 節目節目に認知心理学によるメタ認知論が展開され、読者も一緒に挫折を突破できる。

未來論への招待 あらすじ

 『挫折とは、自分が生きていて良い意味や生きていく意味を見失うことだ』と考える新卒SEの水卜未來が、つらい仕事と厳しい現実に向き合いながら成長していく物語。

 『挫折は、人の心が生み出す厄介な幻想なのだ』

 『もっとやれるはずだ。冷静に失敗の原因を確かめる』

 『今できなくても、続けていれば未來の自分が達成してくれる』

 『大きな失敗経験は未來につながる才能を呼び起こしてくれる』

 『"大事ではないことを選ばない"ことは未來の選択肢を広げる』

 『重ねた経験が未來をつくる』

挫折論への招待は、誰かの未來をつくることができただろうか。

技術同人誌という形で本を出してきて変わった世界

 ここからは僕、VTRyoのセイチョウの話をしよう。
技術同人誌を書く前の僕は、とにかくブログを書いたり勉強会に登壇したりPodcastをやったりしていた。誰に頼まれるでもなく露出する機会は自らお願いして作ってきた。
自分はつよいエンジニアなんだという意味合いがあったわけではない。その逆で、よわい今だから発信できることがあると確信してとにかく露出し続けていた。

 ただ、本を出すという昔からの夢にはまだ手を付けていなかった状態だった。技術書典4に一般参加したとき、僕はその熱気にやられた。
自分と同じアマチュアの人がこんなにもたくさん本を自費出版しているのかと衝撃を受けた。気づいたときにはその次の技術書典5に応募していて、そして執筆者としての参加が叶ったのだった。

1.全力という全力を注げる相手との出会い、それが同人誌

 技術同人誌を初めて書いたのが『セイチョウ・ジャーニー』だった。合同誌であったが、熱量はとにかくそれまでで一番熱かっただろう。そこまで打ち込める何かに出会ったのは、本当に久々だったか、あるいは初めてだったかもしれない。
 睡眠時間を削っても、ご飯を食べ忘れていても気にならない。実際身体は悲鳴を上げていたのは気づいていたが、それでも作っている本の品質を徹底的に上げることだけを考えていた。納得行かないところがあると寝られなかった。絶対にいい本にしてやる、この本は絶対に読者に届く、と心から信じていた。
 そんな状態になれることが他にあるのだろうか。

 それが功を奏してか、この処女作はとにかく多くの人の心に届いたと思う。企画から執筆、宣伝、当日の頒布まで、メンバー全員が頑張りまくった結果が目に見えたことで、とてつもない達成感があった。

文字通り全力で取り組み挑むという活動は、僕を自然とセイチョウさせたのだった。

2.技術同人誌界隈との出会い

 これまで登壇を繰り返すうち、コミュニティとの接点が多かった。たとえば『しがないラジオ界隈』や『サポーターズ界隈』など、特定のコミュニティに生息するひとたちのことを"界隈"と表現したりする。

 同じように、技術同人誌を書く人たちは『技術同人誌界隈』としてやはりコミュニティが存在していた。執筆をしてきて、Twitterで宣伝をするうちに彼らとも会話が自然と始まっていく。はじめましての方も、こうしてリプライを親切にくれた(この約一年後、同じ会社に所属することになるとはこのとき知る由もない)。

 この連鎖は、執筆を重ねることでどんどん増えていく。もちろん頒布に関するイベントも自主的にやったりするので、さらに知り合いが増えていく。

 この出会いは、執筆してみなければできなかっただろう。

3.技術との出会い

 技術同人誌イベントに行けば、ニッチな技術本や入門書などが非常にリーズナブルに手に入れることができる。こんな素晴らしい本が1000円だって?ありえない。みたいなことがそこらじゅうで起きている。
 だが楽しいのはそれだけではない。自分が技術を掘り下げて書くこともあるので、より深い知的好奇心を満たすこともできる。僕は単著でも本を書いていて、そこではWeb系の技術をベースにラブコメを書いたりした。

 書き方は人による。僕は描きたい物語ありきで、それを技術に絡めて表現する方法をとっている。物語に合わせた技術解説の展開を都度考えることになるので、『ああこんな風になってるのね〜』とそこで学ぶことも多々ある。

 言ってしまえば執筆駆動な学びを定期的に繰り返すことになっていて、それだけでもいい機会になっている。『次はこれで話が書けそうだな』と思いついた時が、なにより一番わくわくするのだった。

4.決意と出会う

 全力で取り組めるもの、人との縁ができるもの、自分のスキルが向上できるもの。
 これだけ揃っている趣味は、続ける以外の選択肢がない。ならば続けようと思うのが自然であり、どちらかというと「もう辞めることができない。止められない」というのが正確だった。

 けれど、ここに決意という単語が入ってくるのはやはり本を書き続けるという行為にはそれなりに大変さが伴うからだった。
 特に僕の作風は、自分のこれまでの人生を媒体にした「痛みを伴う回想」で出来ている。いつかの辛かったこと、思い出したくもないこと、そういうのを無理に引っ張ってきて「供養する」に近い気持ちで書いている。書くのは大好きなのに、そのためには自分の内側にあるものを全部出さなくてはならない。

 そうまでして書いていたい、描き続けようとする決意と覚悟に、僕は出会ったのだった。

新しいことをはじめる第一歩は小さなことでよい

 僕がこのGrowthfactionというサークルで活動をするのは、僕自身が「誰かの一歩を支援したい」と思っているからだ。

 アウトプットが誰かとのつながりを生むことを、僕はこの身体でよく理解している。これを読んで、もし技術同人誌を書いてみたいと思った人も、まだハードルが高いかもと思った人も、まずは何か「書くことをはじめる」ことで良いと思っている。たとえば、このnoteは実に始めやすい。

 あなたの考えていることを知りたい、という人は案外この世界には多いものなのだ。

 さあ始めてみよう。この記事が、あなたの一歩を支援する記事になれたら嬉しい。

【付録短編】 

 ここからは特別編。
「マヨイ・ジャーニー」と「未來論への招待」の後日談。

マヨイの未來編

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