【UXデザイン】ユーザーインタビューの重要性と基本的なポイント
UXデザイナーは、ユーザーのニーズを的確に捉えるためにインタビューを実施します。ユーザーによりよい体験を提供するために必須の工程であることは確かですが、その方法は状況によって柔軟に変わるため、UXデザイナーでない方から見れば実態が掴みにくい工程かもしれません。
そこで今回は、ユーザーインタビューの重要性やいくつかの手法、有意義なインタビューを実施するためのポイントをまとめました。インタビューを通してユーザーのニーズを掴みたいと考える初心者のUXデザイナーや、プロダクトマネージャーの参考になればと思います。
UXデザイナーがユーザーインタビューをする理由
ユーザーインタビューは、UXデザインの心臓部とも言えるプロセスです。インタビューによって、私たちが作り出す製品やサービスが実際に使う人々にとって価値があるものなのか、本当に彼らのニーズに合致しているのかを明らかにできます。
UXデザイナーは、ユーザーにとって良い体験を形作る存在ですから、ユーザーのニーズをユーザー以上に理解し、その課題と解決に仮説を立て、製品に落とし込んでいかなくてはいけません。その行程ひとつひとつでユーザーの生の声、生の体験を聞く必要があるのです。
インタビューによって利用者一人ひとりのストーリーが浮かび上がります。こうしたストーリーは、デザインの方向性を決定づけ、具体的で有意義な改善点を見つけ出すための羅針盤となります。
ユーザーインタビューは、予期せぬ発見を促す可能性を秘めています。私たちが想定もしていなかった使用シナリオやペインポイントが明らかになり、それが製品をより洗練されたものへと導く鍵となり得るのです。
ユーザーインタビューの種類
ひとことでユーザーインタビューといっても、その種類はいくつもあります。UXデザイナーは集めたい情報や解決したい課題をもとに、ユーザーインタビューの形式を変えるのです。ここでは、代表的なものをいくつかご紹介させてください。
構造化インタビューと非構造化インタビュー
構造化インタビューは、質問を予め定めて、すべての参加者に同じ質問をする方法です。大量のデータを集めてそれらを比較し、統計的な分析を行うことができます。たとえば、特定の機能に対するユーザーの好みや使用頻度を把握する場合など、定量的な情報が求められるシナリオで有効です。
非構造化インタビューは、より自由な形式で行われます。質問ガイドを準備することもありますが、対話の流れに沿って質問を加えたり深掘りしたりします。UXデザイナーはこの方法を用いて、ユーザーの深層にある意見や感情、体験を知ろうとします。その場で臨機応変に質問を変えることで、ユーザーが直面している問題の本質を理解するため、質的なデータを収集するのに適しています。。
時には両者をミックスした半構造化のインタビュー形式が適しているケースもあるでしょう。適切なタイミングで適切な手法を選択することが、UXデザイナーとしての腕の見せ所でもあります。
デプスインタビューとグループインタビュー
デプスインタビューは、一対一で参加者とじっくりと時間をかけて話し、その人のニーズや体験に焦点を当てる手法です。製品やサービスに対する個人の反応や、使用中に抱く感情など、詳細なユーザーストーリーの把握を可能にします。デプスインタビューからの洞察は、製品デザインにおいて、ユーザーに密接に合わせたパーソナライズされたエクスペリエンスを提供する上で不可欠です。
対してグループインタビューは、複数のユーザーを同時にインタビューすることで、多様な視点や社会的な相互作用を捉えることができます。これはUXデザイナーが製品の受け入れられ方や市場の反応を素早く把握するのに役立ちます。ただし、この形式では、個々の意見が集団の意見に影響される可能性があるため、データを解釈する際にはそういったユーザー心理にも配慮が必要となります。
有意義なユーザーインタビューにするために
ユーザーインタビューは集めたい情報によって柔軟にやり方を変える必要がありますが、初めてインタビューに取り組む方は指針が欲しい気持ちもわかります。そこで、ユーザーインタビューを有意義なものにするための基本的な心構えやポイントについて解説します。
準備を大切さを知る
ユーザーインタビューを成功に導くためには、まず徹底的な準備が必要です。これには、インタビューの目的をはっきりと定義することが含まれます。目的が明確であればそれに沿った質問を設計することができ、より有益な洞察を得られます。
対象となるユーザーを正確に特定することも大切です。年齢、性別、職業、趣味、技術的な習熟度など、さまざまな要因を考慮に入れてインタビュー対象を明確にします。インタビュー対象が明確になれば、製品やサービスの実際の使用状況の情報をより正確に収集できるようになります。
最後に、スクリプトを作成する際にはオープンクエスチョンで質問を用意することが重要です。これにより、ユーザーがより深く考え、自らの経験や意見を詳細に共有することを促すことができます。準備をしっかりと行うことでインタビューはよりスムーズに進み、価値あるデータを収集できるでしょう。
「聞く」技術を磨く
ユーザーインタビューでは、ただ質問を投げかけるだけでなく、参加者が話している内容を真摯に聞くことが非常に重要です。このスキルを磨くことで、インタビュー結果からの洞察を深めることができます。
話を慎重に聞き、質問されたことへの回答を理解しようとする姿勢を徹底してください。ユーザーが本当に何を伝えたいのか、どのような経験や感情を持っているのかを探るには、インタビューを実施するUXデザイナー側の姿勢が関わってくるのです。ユーザーの言葉に耳を傾け、彼らのニーズや課題を深く理解する姿勢を学びましょう。
ユーザーが発する言葉だけでなく、身振り手振りを使ったボディランゲージを観察することも忘れてはなりません。非言語的なコミュニケーションは言葉では表現されない情報を含んでいます。ユーザーの身振りや表情、声のトーンや強弱は、彼らの感情や反応に関して、追加の文脈を提供してくれます。これらの観察を通じて、UXデザイナーとしてより洞察に富んだ理解を得ることができるでしょう。
聞く姿勢や、ボディランゲージへの注目は、簡単そうに見えて実際にやってみると難しいことがわかるはずです。これらは技術ですから、最初からうまくはいかないかもしれません。それでも毎回しっかり意識すれば技術は磨かれていきます。
安心して話せる雰囲気を作る
参加者に本心で語ってもらうためには、安心しリラックスした状態で話せるよう場の雰囲気作りが重要です。
インタビュアーであるUXデザイナーはユーザーを評価するような発言をしてはいけません。ユーザーの意見に「良い」「悪い」などを評価していると思われないよう気をつけて、開放的で受け入れる姿勢を示していきます。インタビューを受けるユーザーは多少の不安を抱えてるケースがほとんどです。何を話しても大丈夫だという安心感から作っていきましょう。
秘密保持の確約も非常に重要です。参加者に対して、この場で聞いた情報は機密であることを明確に伝え、安全に保たれることを保証します。これにより、個人情報や発言内容が外部に漏れることなく、安心して話す体制を整えられます。
このように、非評価的な環境の提供と秘密保持の約束は、参加者が心を開き、より深い情報を共有することを助けるために、UXデザイナーが常に心がけるべき重要なポイントです。これらの慣行を通じて、信頼に基づく対話が促され、インタビューの価値を高めることができます。
まとめ
ユーザーインタビューはUXデザイナーに気づきを与えてくれる大切な工程です。ときには1つのプロダクトを進めるために何度もインタビューを実施するケースもあります。いくつもあるインタビュー方法や質問方法を組み合わせて、必要な情報を集めていきます。
今回は、インタビュー初心者にとて重要な心構えやポイントを解説しました。本記事では語れなかったインタビューの手法や、インタビュー対象を考える際のペルソナ設定など、まだまだお伝えしたいことはたくさんあります。
本noteでは、UXデザインの手法やソリューションについて情報をお伝えしていくつもりです。また、UXデザインに関連するご相談も受け付けております。今後も情報をお届けしていきますので、ぜひフォローしてお待ちください。
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