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ガーナにある“電子機器の墓場”を変える美術家・長坂真護の世界進出をサポートする理由

先月のことになりますが、友人でバリュエンスグループでも海外拠点にギャラリーを併設するなどの支援をしている美術家のMAGOこと長坂真護くんがTBS系列の『世界くらべてみたら』で大々的に特集されました。

ご覧になった方もいるかもしれませんが、先進国が投棄した廃材が集まる“電子機器の墓場”ガーナの首都、アクラのアグボグブロシー地区での彼の活動が紹介されたのです。

彼の活動については以前のnoteをご覧いただくとして、

今日はMAGOくんの作品を介して広がっていく価値観、その価値観が広がるということはどういうことなのかについて考えてみたいと思います。

長坂真護の活動が地上波ゴールデンタイムで放送!

テレビの力が弱まったといわれているとはいえ、地上波のゴールデンタイムと呼ばれる時間で特集されることは、MAGOくんと彼の活動を知ってもらう大きなきっかけになったと思います。彼のやってきたこと、やろうとしていることは、知ってもらいさえすれば多くの人が共感してくれるはずですし、そのアプローチ方法、「手段としてのアート」という考え方も斬新で興味を持ってもらえるものだと思っています。

そういう意味では、TBSのSDGsのキャンペーン週間として17の開発目標から「貧困をなくそう」「つくる責任、つかう責任」をテーマに、アグボグブロシーの問題、MAGOくんがここにたどり着いた電子機器の廃材を使ってアート作品をつくり、それを売り、売り上げで現地住民の自活をサポートしていることがしっかり伝えられたのはとても重要な機会でした。

また、番組オンエア後の5月20日から29日の日程で、バーニーズニューヨーク銀座本店で『長坂真護作品展』が開催されるなど、彼の作品はもちろん、考え方や目指しているところに深く共感する私としては、かなりいい風が吹いているなという手応えを感じています。

実際に銀座のバーニーズにも行ってきたのですが、MAGOくんにも偶然会うことができ、直接話せてとてもうれしかったです。

アート界の仕組みと日本人が活躍することの難しさ

バリュエンスでは『MAGO Gallery Hong Kong』を昨年9月にオープンしたのを皮切りに、パリ、ニュ-ヨークのバリュエンス拠点にMAGOくんのギャラリーをオープンさせています。
国内での一般知名度は、テレビなどのメディア露出、SNSでの拡散でもどんどん広がって行くと思いますが、世界の「アート界」ということでいうと、多くの人に知ってもらうのは並大抵のことではありません

ご存知の方もいるかもしれませんが、アートの世界は、たとえそれが斬新な作風が評価されている印象が強い現代アートであっても、ギャラリーの影響力が絶大です。

アメリカのカゴシアン、ペース、ハウザー&ワースが世界3大ギャラリーとされていますが、いくつかのメガギャラリーが大きな影響力を持っていて、ほぼすべてのアーティストたちはメガギャラリーに認められないことにはなかなか世界に打って出ることが難しいという状況なのです。

クラシカルなアートシーンはヨーロッパが中心ですし、ヨーロッパにくらべて歴史の浅いアメリカはポップアートの本場。欧米中心のアート界では、やはり日本の作品、アーティストはなかなかチャンスがもらいづらいというのは間違いありません。

MAGOくんの作品が持つメッセージ性は、それこそバンクシー的な皮肉や啓発が込められていて、コンセプトまできっちりわかってもらえれば評価してもらえるとは思うのですが、今はまだそれを「知ってもらう」段階。バリュエンスの拠点に併設した海外ギャラリーの担当者には「焦らずしっかり価値を伝える活動をしていこう」と話しています。

絶えず変動するアート作品の価値と人々の価値観

アートは不思議なもので、誰かが価値を認めて、その価値が認知、共有されて初めて本当の価値になります

ゴッホの絵が生前一枚しか売れなかったというのはどうやら間違いのようですが、ゴッホの絵は以前から素晴らしかったのに、死後にその価値が認められ、作品に高値がつき、現在では誰もが驚くような高額で取引されているのは、わかりやすい例ですよね。

私たちが取り扱うブランド品も、そのものの物質的価値も当然高いのですが、数に限りがあったり、それを求める人がいることで、希少価値、付加価値がつき、品質だけでは語れない値付けがされることになる点は似ています。

MAGOくんはどこのギャラリーにも属さず、独自の活動でアート界に打って出ています。MAGO作品の価値は、作品そのものだけでなく、そこに込められたストーリーやメッセージ、アートが売れた先のアクションも含めて見ないとわかってもらえないものなのかなと思います。

その分時間がかかりますし、なぜガーナなのか? 電子機器の墓場であるアグボグブロシーの廃材で作品をつくることの意味、現地住民をサポートすることの意義などは、実は海外では日本ほどストレートに伝わっていない印象もあります。

自分の「いいね」を価値にしよう

メガギャラリーに頼らず独自のアプローチでアートの世界に飛び込んだMAGOくん。欧米での評価についてはこれからですが、世界の70億人の人口のうち、MAGOくんの作品、取り組みとその真意を知っている人がどれくらいいるかといえば、全然まだまだです。

バリュエンスでも、まずは知ってもらうことに対してどんどんブーストしていけば、どこかで何かの歯車がかみ合って、とんでもないことになるんじゃないかと期待しています。

最近よく思うことは、

自分が好きじゃない人から好きと言われても振り向きもしなかったのに、なぜ会ったこともない他者からの「いいね!」の獲得に労力をかけてるのか。

ということ。

たった一つでいい。自分の「いいね!」を取りにいくことこそが今やるべきこと。

MAGOくんとのプロジェクトも、すぐに結果を出さなければいけないプロジェクトじゃなくて、ましてや売り上げを上げるためだけに海外ギャラリー展開をしているわけではないので、この唯一無二の価値観、新しい可能性に共感してくれる人を少しでも増やしていければと思っています。


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