VR新時代、PSVR2はユーザーの期待に応えることができたのか?
2月22日にソニー・インタラクティブエンタテインメントからPSVR2(PlayStation VR2)が発売された。PlayStationの6年ぶりのVRゴーグルということや、高スペックなハードの情報も相まって盛り上がって発売を迎えた。
発売後の現在、PSVR2はユーザーの期待に応えることができたのだろうか。PSVR2のユーザーが集まるSNSや掲示板を覗けば、残念ながら満点回答とはならなかった、という評判も見え隠れする。
自身も発売日からPSVR2で遊んで、PSVR2の優れたところと、そうでないところが分かった。今後、PSVR2の購入を検討する人の参考になるよう、他のVRゴーグルとの比較を踏まえて詳しく伝えたい。
PSVR2の良いところ
PSVR2の良いところは、視野の広さだ。スペック表では視野角は110°となっている。実際に付け比べてみると、105°のPICO4や、100°の初代PSVRよりも広い。それらより視野が狭いMeta Quest2と比べると差はさらに歴然だ。
VRゴーグルの縁が見えないという訳ではないが、この視野の広さがあれば、そう不満に思うこともないだろう。VRゴーグルは水中メガネで覗いているなどと揶揄されてきたが、PSVR2では一定の解決をみている。
次のPSVR2の良いところは、色の表現だ。特に、HDR有機ELパネルを採用しているため、暗がりの黒が深く、そこに光の表現が加わることで、美しい映像が描写される。例えば、暗闇にパーティクルが煌めく場合などである。
ゲームソフトに目を向けると、PSVR2の最も素晴らしいゲームとして、バイオハザード ヴィレッジを挙げたい。通常版のゲーム素材をほぼそのままVR化することができた、との開発者の言葉の通り、精細で美しい世界を実現している。
PSVR2はハイエンドPC並みの性能を発揮するとの情報があったが、それを証明するかのような仕上がりだ。アクションもVRに最適化されていて、手を使った体験が追加された。さすがカプコンと感心するばかりの出来である。
PSVR2の残念なところ
PSVR2の残念なところは、映像のザラつきだ。映像の手前に薄くザラついた膜が見え、没入感を損なう原因となっている。これについては、レンズ越しに撮影した動画がアップされているので見てもらいたい。
これに類似した症状は、ペンタイルというパネル方式を採用した昔のVRゴーグルではよく見られた。しかし、近年のVRゴーグルはパネル方式を変更し、ほぼ解消されている。2023年発売のVRゴーグルとしては残念な仕様である。
次のPSVR2の残念なところは、スイートスポットの狭さだ。目を動かしてレンズの周囲を見るとボケてしまう。どのVRゴーグルにおいても、レンズの端の方は多少はボケてしまうものではある。
ただ、PSVR2の場合はボケずに見える範囲が狭めだ。手元の複数のVRゴーグルと比べてみたが、PSVR2のスイートスポットが最も狭かった。そのため、PSVR2は視界の周囲がどこかクリアではない印象を受ける。
ゲームソフトに目を向けると、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの期待作Horizon Call of the Mountainが個人的には良くなかった。レビューサイトでも高得点にならなかった本作だが、手を使って崖や建物を登るクライミングばかりさせられる作りが問題だ。
どのくらいクライミングをさせられるかというと、7時間程度のプレイ時間のうち、体感で6割ほどの時間は常に何かに登らされている。VRのクライミグが駄目だとは言わないが、何事にも限度というものがあるだろう。
PSVR2はこんな人におすすめ
PSVR2は、尖った長所と短所を併せ持つピーキーなVRゴーグルであると評価できるだろう。そのため、無難なVRゴーグルを望んでいる人にはおすすめしづらい。PS5本体より高い価格もネックである。
そこで、PSVR2をおすすめできるのは、PS5本体をすでに持っていて、74,980円の金額を無理なく出すことができ、短所を許容できる人である。特に短所に目が行ってしまう場合は、長所を覆いかぶして、残念に思ってしまうかもしれない。
PSVR2は決して悪いVRゴーグルではない、ゲームの映像はリッチで、さまざまな要素は及第点、PSVR2でしか体験できないゲームもある。現行のVRゴーグルでは良い部類だ。ただ、短所はある。今後、体験会が開かれれば、体験をして判断することをすすめたい。
世の中には沢山のVRゴーグルがあり、色々な長所と短所を持っている。そして、どのようなVRゴーグルであれ、VRは素晴らしい体験ができる。PSVR2に限らず、自分に合うVRゴーグルを見つけて、充実したVRライフを送ってもらいたい。
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