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同級生のMくん。

中学校は男子校で、1学年は4クラスでした。
性的マイノリティは1クラスに1人くらいいるといわれて、思い出してみると中学生の頃、「オカマ」とあだ名がつきそうな子は学年に2人はいたな。

僕は当時、まだ自分の性的志向をちゃんと自覚してなかったし、なんの変哲もないただの中学生の男の子。たぶんそういう人は僕以外にもいたはずで、1クラスに1人くらいという推計は、割といい線いってる気もする。

それはともかく、中学の頃、裏で「オカマ」と呼ばれていたMくん。坊主頭だし、ねずみ男みたいな風貌なんだけど、語尾に「〜なの。」「〜よね。」「〜だわ。」を多用し、特技はピアノ。指先が妙にピンとしてた。

Mくんとは高校も一緒になったんだけど、成績の良かった彼は日本一のT大に合格して卒業と同時に上京。僕は地元の大学に進学して、なんだかんだあって上京したのはMくんの6年遅れということになってました。

中高一緒の学校に通ったとはいえ、そこまで親しくもなかった僕ら。風の便りにMくんは丸の内でエリートサラリーマンやってるらしいよとは聞いてた。

*  *  *

そんなある日、騒がしい新宿を避けて渋谷のゲイバーで静かに飲んでると背後の扉が開いて、振り返るとそこにMくん。

息が止まったね。変わらず坊主頭で、見間違いようもない。

当然、Mくんも僕に気づいたんだけど、「わあ!ひさしぶりじゃない?!元気?」と静かなバーに響きわたる声で屈託なく話しかけてくる。ここはゲイバーだよ。。。

どうもMくんはそのバーの常連らしく、上機嫌でママや他の客とワイワイ話し始めるんだけど、、、それが二言目には夜の営みの話、どぎつい下ネタ、猥談。

Mくんの中高の頃しか知らない僕にとっては衝撃で。正直、ドン引き。

聞けば、丸の内でサラリーマンやってるのは本当。しかし、Mくんの話を真に受けるのであれば、私生活は性的に奔放。9割が下ネタのような話をしゃべり倒して、「みなさーん、ごきげんよう!」と嵐のようにMくんは帰っていきました。

Mくんが去った後、僕とMくんが同級生だと知ったママがつぶやく。
「びっくりしたよね。でも、いつもああだから。なんだか危い(あやうい)よね。」

Mくんはその後、そのバーの仲間内からも、高校の同級生からも音信不通になって、会社も辞めたらしいとの噂です。

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