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社会の表側を歩くT君。

グループ企業間の人事交流でうちの部に来た京大卒のエリートT君。
イケメンとかそういうわけではないんだけど、何もかもがなんと言うか、正統、王道。言うことも真っ当。彼にとっては新しい職場なので、そりゃ分からないことも多いんだけど、その質問の内容もいちいちごもっとも。

字が綺麗。
学生時代は剣道やってたって言ってたっけかな。
嫌味のない愛されキャラの若手、だった、当時は。

群馬の支店に配属になったことがあったとかで、その時に知り合ったらしい群馬県出身の女性と結婚。一女をもうける。

群馬が気に入り、単身赴任の都内勤務ながら毎週末群馬の田舎(?)に戻る生活をしてて、地元にも受け入れられている様子がFacebookによく上がってる。自然豊かな環境で、かわいい娘もすくすく育っている様子。

やがて頭角を表し、若手による企業風土改革のプロジェクトチームの一員として幹部と会合したり、働き方改革のプレゼンを会社の内外で発表したりして、一目置かれる存在になってるみたい。

群馬に住んでいる経験から、地域開発やリモートワーク関係のイベントにも登壇したりしている。人脈も広がっているだろう。

そんな彼にも不幸が襲って、第二子が生後間も無く亡くなってしまって。
その時の思いや、それからしばらく経ってからの夫婦と娘の生活のあり方などもSNSに綴っているのだけど、これもまた、極めて真っ当、誠実。
著名人の至言を引用しながら、悲しみを乗り越え未来を考える手記を、端正な文章で公開している。

もうね、ゲイである僕とは真反対、陽の当たる道をまっすぐに歩いている人生のように見えて、まぶしい限り。世の中に嘱望されて社会の真ん中を進んでいく男とはこんな感じだよなあというモデルケースみたいな人だった。

先輩にあたる僕にも屈託なく接し、気軽に飲みにも行った。
でも、おかしいことはおかしいと指摘してくる。「おかしいのは分かっているんだけど、政治でそうなってるんだよ」という回答には納得せず、なにやら自分で理屈を立てて問題解決に勤しむ。若くても幹部候補はやはり違うよ。

僕は年を重ね、いつの間にか私生活の友人はゲイが多くなってしまっている。
そりゃいろんな人がいて、普通に会社勤めしていたのでは知り合うはずもない仕事をしている友人や、まったく知らない業界、華やかな業界の友人もいる。

だけど、T君を見ていると、社会の本流、表側はあちら側、T君の側にあるのだと思い知らされるんです。

一つ、予言をしておきたい。
T君はいつか選挙に出ると思う。そして当選すると思う。

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