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2021年札幌の旅

プロローグ

 きっかけは月曜日のデッサン教室が休みであったことである。年次有給休暇を使えば、4連休をいただくことができる。
 飛行機のチケットを取り、ホテルを予約した。そこからが旅の始まりだった。

チャプター1

 全然目が覚めず、9時半起床。札幌に行くために準備を始めた。シャンプーを小分けにしたり、衣類をまとめたりした。厚手のニットやパンツを入れたら、バックパックがパンパンになった。
 14時頃電車に乗った、正直飛行機の時刻まで早すぎるが、なんだか嫌な予感がしたので、遅く出るよりはいいだろうと思った。
 特に予感していたような悪いことは起こらず、空港に到着した。ただ、荷物の重さでヘトヘトになっていた。これから1時間以上飛行機に揺られ、電車で札幌まで行かなければならないと思うときつかった。
 飛行機に乗った。結構揺れてふわふわ感で恐ろしいような楽しいような感じにさせられた。密にならないようにと座席を移動させられたが、座席指定の意味とは。。。
 新千歳につき、快速エアポートで札幌駅へ向かった。泊まるホテルはいるかホテルではなく、ごくフツーのビジネスホテルである。
 3年ぶりとあって、駅に着きホテルまであるいている間、いろいろな記憶がよみがえった。懐かしさと、なにか今まで引きずってきている不安感が入り交じった複雑な気持ちになった。 ホテルでチェックインし、一休みしてから近くのセイコーマートへ行った。ものすごい懐かしさだった。なんというか安心した。月寒あんパンとリボンナポリンを買ってホテルに戻った。月寒あんパンはパンなのか??と食べながら思った。
 明日1人で藻岩山に行ってから、夜友人と会う約束をしていた。というわけですぐ寝ることにした。

チャプター2

 札幌は雨だった。清掃が入るギリギリの時間にホテルを出た。
 向かう先は藻岩山だった。この天候で午前中から藻岩山に上るのは私だけなのではないかと思った。
 まず、札幌駅の観光案内所で藻岩山のパンフレットをいただいた。パンフによると、市電にまず乗って、ロープウェイ口で降り無料の送迎バスが出ているとのことだった。
 大通りまで歩いていき、市電に乗った。アナログな見た目なので、PASMOが使えるか不安だったが、普通に使えた。
 ロープウェイ口に着いた頃には雨は完全に土砂降りだった。送迎バスの乗り場まで行ったら、この時期は動いていないということだった。
 やれやれ、と思いつつ歩いてロープウェイ乗り場まで歩いた。思ったより時間はかからなかった。
 ロープウェイが15分おきに来るということで、チケット売り場で少し待った。そこからの景色でも十分市内が見渡せた。
 ロープウェイに乗るお客さんはおじさんと私の二人きりだった。下に広がる紅葉は見ることができたが、上がって行くにつれて映画の「ミスト」みたいな風景になってしまい、ほぼ霧に包まれた状態になった。中腹からモーリスカーに乗って展望台に行ったが、やはり何も見えず、缶コーヒーを飲んでぼーっとしていた。ちょっとがっかりして中腹の売店に戻った。売店でモーリスストラップをかった。好きな漫画に出てきていたので念願が叶った。
 ロープウェイで麓まで降り、市電で大通りまで戻った。
 なんとなくの思いつきで、ノルベサの建物にある、まんだらけに行ってみた。そこで探し求めていた漫画の初期ジャケットのものを見つけてしまった。税抜き¥8000。。。迷ったが店員さんに頼んでショーケースから出していただいた。状態は全く問題なかった。というわけで購入。元々の値段は¥950みたいだった。どんだけプレってるのか、自分は何をしているのか若干混乱した。
 友人に会うまでまだまだ時間があったので、本屋に寄ったりして時間をつぶした。歩いて結構汗をかいていた。なので夕方にホテルに戻り、シャワーを浴びた。
 友人とは18時頃に大通りのひろし(ローカルすぎ)で待ち合わせた。
 よく電話したりメールしたりしていたので、感動的な再会というわけでもなかったがちょっと会うとき緊張した。
 2人で狸小路の一番端まで行き、スープカレーをいただいた。おいしかった。
 友人が最近結婚したということで、お祝いとお土産混みでハンドクリームを贈った。直接渡せて良かった。
 友人は明日も朝から仕事なので、早めに切り上げた。大通り駅で見送った。
 ホテルに戻ると、友人から電話がきた。「何か忘れたかな。」と思ったが、夫婦でプレゼントのお礼を言いたいということだった。意外な展開で少し笑ってしまった。いい夫婦だなと思った。
 その後、結構くたびれたので、寝ることにした。

チャプター3

 朝起きられず、清掃が入る時間までに身支度が調わなかった。フロントから電話がかかってきて焦った。
 なんとか準備し、ホテルを出た。13時に札幌駅で昔の職場の同期と会う約束をしていた。
 大分時間があったが、あまりぶらぶらせず、バスターミナルのベンチで本を読んだり、紀伊國屋書店で立ち読みをしたりしていた。
 13時近くに札幌駅に歩いていった。特に連絡が来ていたわけではないが、同期が立っているのが遠くからでも見えた。なんとなくシュールに見えた。休日のはずなのに仕事帰りのような格好をいていたからだ。
 同期も私に気づき「おー久しぶり」という感じになった。でもなんだか相変わらずで安心した。
 2人でとりあえずお昼ご飯を食べようということになった。同期は帯広から来ており、帰りのバスまで3時間ちょっとしかなかった。
 祝日だったのでどこも混んでおり、なかなかお店が決まらなかった。最終的に時計台近くのお寿司屋さんに入った。
 同期の仕事は道内の道路の整備やら建築やらの関係ということだった。元々農政に携わりたかったが、今更変わるのにも抵抗があると言っていた。まぁ確かに気持ちはわかった。
 私が司書資格を取り、今は図書館で働いている話をしたら驚いていた。言われてみれば北海道で農業系の仕事をしていたやつの歩む道ではないなと感じた。
 同期は大分恋愛に疎いというかかなり奥手だった。しかし、小樽の水族館でデートをし、帰りに「自分じゃだめかな?」と相手に聞いたということだった。返答は「今の関係がいい」というもので、同期も「そうですかー。」で終わってしまったということだった。おしいなぁと思った。しかし、昔から同期を知っている私的には進歩を感じた。まだ諦めずにトライして欲しかった。
 混んできたので場所をスタバに移した。
 昔、同期4人で来たことのあるスタバだった。
 恋愛以外の同期の状況は私から見ればかなり順調に見えた。これからも頑張って仕事を続けて欲しいと思った。
 バスターミナルまで同期を見送った。別れ際にお土産を渡した。私のミッションは完了したと思った。「ポテトライナー」というなかなかシュールというか文字通りいもいバスで同期は帰って行った。
 札幌でやることはすべて終えてしまった。ひとりぼっちでいるかホテル(嘘)まで戻った。 ホテルに着き、帰り支度を始めようと思った。しかしあまりに荷物が多いので明日の帰りにぶっ倒れるのではないかと思った。そこでフロントで荷物の配送はできるか確認したところ、可能ということだったので、箱とガムテと伝票をいただき部屋で荷造りした。
 そして本を読んだり、日記を書いたり、友人と連絡したりで本日は終了した。

チャプター4

 朝早めに目が覚めた。5時前である。とりあえず、シャワーを浴びた。6時半からお弁当がフロントでもらえるらしいので、それまで待機していた。
 6時半にフロントまで行き、お弁当を頂いた。朝ご飯にしては結構ガッツリで胃がもたれた。
 その後、8時くらいまで寝てしまった。寝起きが最悪だった。
 起き上がって、配送する荷物をまとめた。フロントに持って行き2000円ほど払った。
 9時になり、もういいかと思ってホテルを出た。なんとなく寂しい気持ちをさっさと脱したかった。
 札幌駅から快速エアポートに乗り、新千歳空港へ向かった。電車の中で「夜と霧」を読んでいた。
 空港に着き、喉が渇いたので飲み物を買った。ガラナを飲んだがあまり水分補給した感じにならなかった。
 友人にお土産を買った。大体石屋製菓のものにした。
 検査場を通り、大分時間があったので「夜と霧」の続きを読んでいた。飛行機に乗っても続きを読み続けた。羽田までに読み切りたかったが無理だった。
 羽田空港をぱっと出て、電車に乗った。電車の中で本を読み切った。
 家に着いた。日常が戻ってきた。いや、日常に戻ってきてしまった。

エピローグ

 札幌の旅は充実していた。
 天候にはあまり恵まれなかったが、同期二人に会うことで自分の生き方を見直すきっかけができた。
 帰ってきてから仕事を以前より真面目に取り組むようになったように思う。
 心残りなのは中島公園にある文学館に行かなかったことである。本好きとしては絶対に行くべき場所だったが、失念していた。今度いつ行けるかわからないので、そこだけは残念に思っている。

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