マックカードと姉と俺。

表題通りマックカードと姉と俺の話です。
たまには父以外の家族エピソードを。

・はじまり

俺が小学３年生のとき、少し歳が離れて
上の姉が高校１年生だったかな。

姉はマクドナルドでバイトをしていて、
上がったらバイト仲間とジュースでも飲んでから
帰ったりしたいのに門限を少しでも破ったら
例の父が怒鳴り散らかすというそんな中、
半年か１年か経った頃、お店から姉に
「がんばったで賞」みたいな感じで
マックカード1000円分を貰って、家族に自慢気に
見せて回っていた。両親も下の姉も微笑んで
良かったねー、と言っていたものの、事もあろうか

それを俺は羨ましくて仕方がなくて
こっそりくすねて使ってしまった。

当然のこと、すぐに姉にバレて怒られ、
しばらく口をきいてくれなくなった。
何やってんだ俺は。

・心残り

ほとぼりが冷めて、そのうちお互いに大人になり、
その話すら一切しなくなったものの、前々から
たまに俺は思い出しては反省した。

時は流れて俺が27歳の頃。
一時だけだったが自分で店を持ちはじめたとき、
姫路に嫁いだ姉が、友達の結婚式に出席するから
子どもたちは旦那に預けて夜になったら
俺の店に顔を出すという。

チャンスだと思った。
贖罪をするチャンス。

いつも会うタイミングは一家総出で会うか、
当時まだもっと小さい我が子といる時。
二人きりで会う時間など滅多にない。

バー開店前に最寄りのマクドナルドに駆け込み、

「マックカード5000円分ください！」

と注文し、多少なりイレギュラーな事
だったのだろうか、店員さんは
ちょっと戸惑い慌てながら取り出してくれた。
買ったらすぐに店に戻って開店準備を整えた。

・待機

少し待った。
やや待った。
まぁまぁ待った。
かなり待った。
たいへん待った。

LINEは来た。

「ごめん利喜弥今日行かれへんわ」

ギャー！！！！！！！！！！！！！！

マジかよ！！！！！！！！！！！！！

…仕方ないので「エエよー」って言いました。

・先輩に相談

千載一遇のチャンスと思われた夜に姉が来ない
ショックに肩を落とし、営業終了後、
前の記事の先輩のバーに相談に行った。

「…で、姉が来なかったんですけど、
次に二人で会う機会はそうそう無いし、
どうしたらいいですかね…」

不安でいっぱい。

「普通に渡したらエエんちゃうか？
次来て、子どもおる時でも普通に渡せば」

「いやー、改めてこう…ゴメンって謝って
渡したいんですよ僕は！」

「そんなんせんでええて！
お前のお姉さんはきっと賢い人なんやから、
“子ども二人ともマクド好きやしよかったら
使ってやー！”って渡すだけで伝わるって！
お前からマックカード貰ったら“あの事か”って
すぐ分かるハズや。普通にいけ、普通にな。」

それでいい気がしてきた。

「そうしてみますわ、ありがとうございます」

・リベンジ

約３週間後、姉に再会した。
いつものように子ども二人を伴って。

「利喜弥こないだゴメンなー！」

(傍らで子どもギャーギャー言うてるけど
しゃーない、今しかないよな…よし)

「全然エエよ、あー、これこれ」

さり気なさを装うけど内心バクバク。

「こ…これな…？んマッmマックカードやねんけどォ…ゅよかったら使っ使って…？ほっホラ２人ともぉマクドすっ好きやん？ようインスタッで見って見てるし…ぃ？」

「えっ…？おーんマジで？良いん？ありがとー！
使わしてもらうわ！この子らも喜ぶわー！」

…とりあえず渡せた。よかった。

・最終的には

母に、昔こういう事あったから最近渡した、と
話をして「そうやったんかぁ、知らんかったわー」
となった後、２ヶ月後くらいに母が姉の家がある
姫路に遊びに行ったとき、マックカードの話を
母が姉に振ったら、

「そーなん！そんなんあったっけ！覚えてへん！利喜弥から貰ろたけどそういう意味やったん！そんなんあったて完全に忘れてるわー！マクドで頑張ってマックカード貰って利喜弥に盗られたとか覚えてへんわー！まぁええわ利喜弥に改めてお母さんからありがとう言うといて！！！！！！」

結論: マックカードの事は覚えてない

あーそうそうそうやでそんなんあってんけどな！！
覚えてへんとかもーホンマにサバサバしたウチの
姉ちゃんらしくてエエわなー！！！！！！！！！！
姉ちゃんのそういう所好きやでうんうん！！！！！

終わり！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！