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「ユーグレナで、事業成長を通じた社会課題の解決を」。 経産省出身でマッキンゼーを経てユーグレナで働く彼女は、越境後も変わらぬ情熱で社会課題に向き合っている

(官⇆民の越境キャリアを支援するVOLVEのnoteです)

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VOLVEキャリアフォーラムの詳細

新卒で経済産業省に入省し、MBA留学、マッキンゼー・アンド・カンパニー(以下「マッキンゼー」)への転職を経て、現在は株式会社ユーグレナ(以下「ユーグレナ」)のCEO室長/政策企画参事を務める川内さんに話を聞いた。
経済を強くすることやイノベーションを起こすことを通じて、困っている方々を助けたいという想いから経済産業省の門戸を叩いた彼女。MBA留学を契機として、自ら民間でイノベーションを起こす側に回ることを決めた。
公共セクター、コンサルティング、スタートアップという、異種格闘技戦のようなキャリアを歩みながら、一貫して、社会課題の解決を目指すストーリーを追った。

<プロフィール>
川内 明日香さん
ユーグレナCEO室長/政策企画参事。2007年に東京大学法学部卒業後、東京大学法科大学院(ロースクール)を経て2010年経済産業省に入省。経産省では省エネルギー、著作権(文化庁へ出向)、通商交渉、MBA留学等を経験し、2018年に退職。同年マッキンゼーに入社し、2020年に退職するまで様々なコンサル案件に従事。2021年からはユーグレナにて、経営企画から政府渉外まで幅広く活躍。事業成長を通じた社会課題の解決に取り組む同社の成長を牽引している。



経済発展を通じて社会課題を解決したい

ー大学在学中は法曹を目指されていたとのことですが、どのようなきっかけで経済産業省に入省したのでしょうか。
高校時代に家庭の事情でお金に苦労したことがあります。その原体験から、かつての自分のように困っている人を助けながら、ある程度の収入を得られるという理由で弁護士を目指していました。しかし、大学在学中は司法試験に合格できず、奨学金でロースクールに進学しました。
ロースクール在籍中に、いくつかの弁護士事務所でインターンを行わせてもらったのですが、かつての自分のように本当に困っている人が、法律事務所に相談に来るとは限らないことを実感し、これが本当に自分のしたいことなのかと疑問を持つようになりました。

そんな折に、経済産業省で働く大学時代の同級生から話を聞き、「法律に対する解釈で何かを変えていくことより、法律やシステムそのものを抜本的に変えてみたい」という気持ちが芽生えるとともに、経産省にも興味を持つようになりました。国家公務員採用試験の面接では、厚生労働省等他の官庁も受けましたが、社会保障の財源を確保する為にも経済を強くしたい、経済に関わるあらゆる政策に網を張っていてやりがいがありそう、との思いから経済産業省に入省することを決めました。

ー経済産業省に入省後は、どのような仕事をされていたのでしょうか。
2010年に入省後は、省エネ法改正(需要家の電力ピーク対策等)、文化庁へ出向して著作権法の改正(電子書籍に対応した出版権の整備等)や流通促進のための制度設計、通商交渉(TPP、TiSA)等に携わりました。通商交渉では、トランプ政権への移行後に、アメリカがTPPから永久離脱を宣言しました。それまで長い時間軸の中で調整していたことが水泡に帰し、政治的影響を大きく受ける役所仕事の難しさを痛感しました。
同時に、ダイナミックでスピード感あるスタートアップ界隈のイノベーションを促進する政策を日本に持ち帰りたいと思い、人事院の留学制度を活用してカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCサンディエゴ)のMBAコースへ進学しました。

UCサンディエゴの学友たちと

MBA留学を通じて変化した「キャリア」の捉え方

ー留学を終えて帰国される際にはマッキンゼーへの転職を決意されたとのことですが、留学中にどのような心境の変化があったのでしょうか。
留学中の夏休みを利用して、JETROのNYオフィスでインターンをしました。その中で、起業家や投資家が有機的にエコシステムを構築している姿を目の当たりにし、この世界で官の立場から貢献できることは限られているのではないかと肌で感じました。また、その後、アジアを拠点とするコンサルでもインターンをしたのですが、ビジネスの場における意思決定のスピードの早さを経験し、民間の立場で当事者としてイノベーションを起こして社会課題の解決に取り組む方が良いのではないかと考えるようになりました。

ー実際にはどのようなプロセスで転職活動を進め、転職を決意した決め手は何だったのでしょうか。
まず、意識したのは役所での自身の立場です。留学から戻り、室や課の総括補佐へ昇進すると責任が増すことから、そうなる前に、民間に出るか一生役所で勤めあげるかを決断しようと思いました。次に、転職するにしても、民間市場ではどのような仕事の機会があるのかを、役所をやめた先輩や、キャリアカウンセラーに話を聞くなどして調べました。
このような活動を通じて、自分の目指すところに向けての成長を考えた上で、自ら主体的に自身のキャリアを選択することの重要性を感じました。反対に、役所に残る選択をした場合、自らの希望する分野に配属されるかは不透明であり、仮に配属されても通常は2年程度で異動になってしまうことから、キャリア・オーナーシップに限界があると感じ、役所を出ようという決断に至ります。

ー最終的にマッキンゼーへ転職することにした理由は。
複数の事業会社やコンサルからオファーを頂きましたが、より事業会社に近い領域からの社会変革に挑戦する前に、経営のサポートを通じて、ビジネスを行うにあたっての必要な基礎スキルを学びたいと思いました。最終的にはスタートアップ界隈に通ずる次のキャリアの機会や問題解決スキルを得られることから、マッキンゼーに入社することを決めました。

プロフェッショナリズムと問題解決スキルがマッキンゼー卒業生の強み

ー実際にマッキンゼーに入られて、役所との違いを感じたり、戸惑ったりすることはあったのでしょうか。
プレッシャーの性質が役所とは全く異なりました。役所時代は、国民の皆さんのために最高の仕事をしなければならないというプレッシャーがありましたが、1億2,000万人の国民という存在は抽象的です。世代や年代も、住んでいる場所も、抱えている問題もそれぞれ異なる人々から成り立っているからです。
一方、マッキンゼーでは目の前に明確なクライアントがいて、そこには、フィルターのかかっていない、生々しい経営現場と解決すべき課題がありました。そして、その生々しい課題に対して、たとえ1人のチームメンバーであっても、自立して責任を果たすことが求められました。

そのような、クライアントファーストのプロフェッショナリズムと、問題解決スキルを身に着けられたことは大きな財産となりました。それらは、あらゆるビジネスシーンで応用できるもので、それこそがマッキンゼーの卒業生が活躍する要因の一つだと気づいたのです。

ー2年後にユーグレナへと転職されていますが、やはり、当事者としてイノベーションに携わりたいという、留学時代の想いが強かったのでしょうか。
当初から、転職2~3年後には一度キャリアを再考しようと決めていました。そして、ちょうど2年が経過した頃には、プロジェクトでジュニア・マネージャーの役割を担うようになっていました。このままコンサルとしてマネージャーを目指すか、スタートアップに転職するかを決断するため、さまざまなスタートアップの話を聞いてみました。その中で、最終的にはユーグレナの経営陣の人柄と彼らの持つビジョンに強く共感し、この人達と一緒にイノベーションを起こしたいと考えて転職を決意しました。

ユーグレナ取締役代表執行役員CEOの永田暁彦氏(写真左)、
同社代表取締役社長の出雲充氏(写真右)と

ユーグレナで、事業成長を通じた社会課題の解決を

ービジョンに強く共感して転職されたとのことですが、ユーグレナはどのようなビジョンを掲げているのでしょうか。
ユーグレナの経営陣は事業成長を通じた社会課題の解決に取り組んでいます。少し詳しく申し上げると、会社としてはSustainability First(サステナビリティ・ファースト)というコーポレート・フィロソフィーを掲げ、社会性と収益性のどちらも追求し続けるスタンスを明確化しています。事業が成長すればするほど、社会課題が解決されていくというスタンスは、まさに私が仕事において大切にしたいものだと共感しました。

ーその中で、川内さんはどのような役割を担っているのでしょうか。
今は大きく2つの役割を担っています。主な業務はCEO室長として、執行のトップであるCEOの永田の下、中長期的な経営戦略の策定や、大企業とベンチャーのそれぞれの良さを合わせた組織づくりをリードしています。副次的には政策企画参事として、経団連の副議長を務める社長の出雲と共に、渉外・政策形成活動を行っています。例えば、社長の出雲が政府高官との議論に呼ばれた際の討議資料を作成したり、私自身が直接役所の皆さんと意見交換をしたりなどしています。経済産業省での経験とマッキンゼーの経験の双方を活かすことができていると実感しており、おかげさまで充実した日々を過ごしています。

ー最後に、将来のキャリア展望を聞かせてください。またその中で役所に戻るという選択肢はあり得るのでしょうか。
まず、古巣の経済産業省の職員には尊敬できる、素敵な方達がたくさんいて、今でも、ファーストキャリアとして選択して良かったと思っています。「日本経済を強くすることを通じて、社会をより良くする」という共通の志のもと、東日本大震災からの一刻も早い復興という目標に向かって仲間と切磋琢磨した経験は、何にも代えがたい私の中の財産となっています。
もし10-20年後に、自身のやりたいことと合致する特定ポストの求人があり、また求められることがあれば、霞ヶ関に戻って、役所外で得た経験を政策立案に生かしてみたいという気持ちもあります。

経産省の仲間や、他省を含む同期たち

ただ、今はユーグレナの一員として、会社が掲げる大きな目標に向かって邁進しています。そのうちの一つは、バイオ燃料の商業用プラントの2025年中の完成です。実現すれば、2026年以降はバイオ燃料で得たキャッシュを更なる社会課題解決に回すことができます。
私としては、今は仲間たちと一緒に、ユーグレナの目標実現に全身全霊を捧げているので、よそ見をする余裕がないですね。


【編:吉井弘和 写:大屋佳世子】


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