「仮声帯(かせいたい)発声」今昔物語
20年前、私がホーメイを人前で演奏し始めた昔は、ホーメイの「仮声帯(かせいたい)発声」なんて、誰も興味を示さなかった。
他のジャンルの歌手・声楽家、耳鼻科の医者など、声帯の専門家達は「仮声帯発声をすると喉を痛める」とさえ言っていた。
でも、私は自分でやって見たり、たくさんの人に教えたり、
本場トゥバやアルタイ、モンゴルに行ったり、
他の特殊な歌唱法を学んだりして、
「どんな特殊に聞こえる歌唱法でも、適切な方法で練習さえすれば、絶対に喉を壊すことは無い」
と確信していた。
(というか、日本で最も権威的な西洋クラシックの発声だって、民族音楽的な立場から見たら、完全に西洋の民族音楽的な特殊発声で、やり方を間違えたら喉を壊すし、そういう例は腐る程聞いてきた)
トゥバのホーメイの様々なテクニック動画
https://youtu.be/xvOCMpjHtvY
今、時代が私に追いついた。
ボイストレーナーの間では、仮声帯発声はもはや一般的なワードになっている。
とはいえ、一般的な認知度は全然だが笑、
その証拠に、現在、「仮声帯発声」でyoutubeを検索すると、たくさんの「やり方動画」が表示されることに驚くだろう。多くの動画の中で、「仮声帯発声を練習することが、普段の発声にも役立つ」という指摘が見受けられる。
嬉しい限りだ。
youtubeでの「仮声帯発声」の検索結果
https://www.youtube.com/results?search_query=%E4%BB%AE%E5%A3%B0%E5%B8%AF%E7%99%BA%E5%A3%B0
しかし、
それらの動画の中で、色々な仮声帯発声の練習方法が提示されているが、
ホーメイを練習することが、もっとも効率よく、安全な仮声帯発声の練習だと私は考える。
なにせホーメイの本場トゥバでは、仮声帯発声をもう100年以上やっているらしい。
伝統は本当によく出来ている。そして奥が深い。
ただ、私が初めて接した時、トゥバにおいて、ホーメイの定義はもっと緩かったように思う。
「これがトゥバのホーメイね」という定義をしだしたのは2008年ぐらいかららしい。現在は、かなり厳密に定義されているらしい。それに伴い、ホーメイの技巧もかなり洗練されていっている。
先日、10年来のホーメイ仲間であり、日本で最もホーメイに詳しい人の1人で、私が最もトゥバのホーメイに近いホーメイをすると感じている鎌田さんにレクチャー&ワークショップを依頼した。
元々は、私のボイトレの生徒さんのリクエストから始まった企画だったが、それ以前から、私自身、現在のトゥバの洗練度を勉強したいと思っていたので、ナイスリクエストだった。
そして、レクチャーを実施して見て分かったことは、
ホーメイ、その中でも特にカルグラという歌唱法に関して、
私のカルグラ観は完全に刷新された。
現在のトゥバの定義のカルグラは難易度が高い。
しかし、同時に大変美しく、そして表現としての可能性も非常に感じる。
伝統は奥深い・・・
という訳で、そのカルグラの美しさ、面白さ、可能性と難しさを感じてもらうために、先日のレクチャーWSの録画版を販売中です。
販売期間は3月15日まで!
詳細・購入はこちら
https://resast.jp/events/674729