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埼玉西武ライオンズ栗山巧選手から学ぶOODAループの回し方

 本日は、生え抜き選手でチーム初2000本安打達成が期待される埼玉西武ライオンズの栗山巧選手を取り上げます。
どちらかというと、職人気質で地味な印象もあるプレイヤーですが、FA等で主力選手が毎年のように抜けていくライオンズにあって、ライオンズ一筋20年。在籍中キャプテンを務めるなど、同期入団の中村剛也選手と共にチームをひっばる精神的主柱である栗山選手。
昨シーズンの復活の要因や、プロフェッショナルとして行う活動などから垣間見える人柄から得られる学びについてお話ししていこうと思います。
それでは、本編スタートです!

このnoteはVoicyの過去の放送の一部を文字に起こしたものです。

1.栗山巧選手とは?

(1)入団前
 兵庫県出身の右投左打の外野手。
育英高校2年時に3番左翼手として甲子園に春夏連続出場しました。
高校3年時には甲子園出場を逃すも、高校通算47本塁打の高い打力と熱心な練習への取組み姿勢を評価され、2001年ドラフト会議にて育英高校からドラフト4位で西武ライオンズに入団

(2)入団後
 1年目からファームで着実に実績を重ね、2年目のシーズンはファームでフルイニング出場、フレッシュオールスターゲームにも選出されます。
3年目の2004年にファームで.338 11本塁打 47打点という圧倒的な成績を残し、ファームで優秀選手賞を受賞。シーズン最終戦で1軍に昇格し、初安打を記録します。
そして、4年目の2005年に1軍に定着してからは、チームの中心選手として活躍しており、日本一になった2008年には最多安打のタイトルを獲得。その後もベストナイン4度、ゴールデングラブも1度獲得しました。
ライオンズ一筋で2021年に20年目のシーズンを迎え、ライオンズとしては生え抜きの選手で初の2000本安打の達成が期待されています。

(3)選手としての特徴
 選手としては、広角に打ち分けるアベレージヒッターで、特筆すべきは、その出塁率の高さです。
手元ギリギリまでボールを引き付けて逆方向に打つオポジットフィールドヒッターであり、非常に高い選球眼を誇ります。
特に、2009年以降は高い出塁率を記録し続けており、4000打席以上を記録している選手の中では、通算出塁率は40位通算四球数922も26位とチャンスメーカーとしての高いパフォーマンスを誇ります。
また、人格者としても知られ、ライオンズでは、2012年から2016年まで5年間キャプテンをつとめ、その熱いプレースタイルでチームを引っ張ってきました。
プロ野球選手としての自覚も高く、ファンサービスやインタビューでの丁寧な対応など、選手からもファンからも慕われる現代のミスターライオンズです。

2.栗山選手2020年の復活劇

(1)2020年に復活しベストナイン
 そんな栗山選手、2017年以降は新戦力の台頭や自身の年齢による衰えもあり、レギュラーから外れ、代打や指名打者での起用が続いておりましたが、昨年の2020年シーズンに復活、開幕から好調を維持し、シーズン終盤には4番でも起用され、キャリア初となる指名打者でのベストナインを受賞しました。
そんな栗山選手の復活には、どのような要因があったのでしょうか?

(2)栗山選手復活のポイント
 栗山選手の復活にはどのような要因があったのか?
テレビ東京スポーツのインタビューでその秘密が語られていました。
コロナの自粛により、開幕が遅れたシーズン。
この影響下を栗山選手はチャンスと捉えます。
これだけの時間があるなら、何か違ったことに取り組む必要がある
ベテランの域に達しているにも関わらず、この期間を積極的に活用します。
その取り組みについては、栗山選手は

「パリーグには、150キロを超えるような速球を投げる先発陣がたくさんいますから、それになんとか対応したい。実戦から離れても早いタイミングでアジャストしたい」

と語っています。実際、パリーグの主戦級の先発投手は千賀投手や山本投手などコンスタントに150キロ以上のストレートを投げる投手が多い。
そのストレートに振りまけないスイングをするにはどうしたらいいか。
その答えが「鋭く速い」打球を打つことでした。
そして、そのためにはどうすればいいか?
その問いの答えが速く鋭いスイング
そして、ボールを真芯で捉えることでした。
もともと、練習量には定評があり、ベテランの域に達した今でも、誰よりも早く練習に参加し、常に居残り練習も行っている栗山選手は、コロナによる自粛期間中、今までとは違う練習に徹底的に取り組みます。
そして、シーズンが始まると、開幕2試合目で猛打賞を記録。
そこからスタートダッシュ。
6月には.345、7月は.309と好調を維持し、一時期はキャリアハイのOPSを記録し続けるなど、全盛期と遜色ない成績を残し、終わってみれば、チーム1位の打率.272キャリアハイの 12本塁打、代名詞の出塁率も.362と完全復活を遂げます。
現状の自分自身、周りの環境、そして、今できることを整理し、課題をしっかりと認識したい上で、新たなトライをしたことが復活につながったといえます。

3.人格者である栗山選手

(1)人格者の概要
 また、栗山選手を語る上で、忘れられないのが、ファン、何よりも子供たちを思いやる真摯な姿勢、そして、社会奉仕の精神です。
栗山選手は2014年から小児癌の子供とその親への支援を始め、小児がんに対する理解や支援の呼びかけ、小児がんとそのご家族を西武プリンスドームへ招待、また、小児病棟へ必要としている物品を寄付しています。
また、知的障害児や肢体不自由児の支援として、「所沢市手をつなぐ親の会」へ西武プリンスドームの年間予約席を寄付しています。
それだけでなく、毎シーズンオフには、地元神戸市の神戸少年野球リーグの野球少年少女との交流を続け、2011年より栗山巧杯少年野球大会を開催しています。
このように、その視線の先には、常に野球選手を目指す少年少女がいます。
その象徴的なエピソードがあります。

(2)エピソード1
それは、2010年5月5日の子供の日
ヒーローインタビューでのことでした。
栗山選手のインタビューでの引用します。

「ちびっこファンの諸君、将来のプロ野球選手です。
しっかり練習して、同じフィールドで野球やりましょう
そして、ファンの方に一つお願いがあります。ボール投げ入れの時にですね、大人の方がわーっと行ってしまうと、将来のプロ野球選手たちが怪我をしてしまう恐れがあるので、大人の人たちがボールを取る時はファールボールのみ、ファールボールをしっかりキャッチしてください。選手の投げ入れは子供たちに是非譲ってください。

このように全力でファンの子供たちを思いやる姿勢が栗山選手が人格者として語られる由縁です。

(3)エピソード2
ベースボール専門メディアフルカウントの記事では、このようなエピソードもありました。
ライオンズの主催ゲームでは、スタメン選手の発表の際、ハイタッチで送り出す「花道ハイタッチ」という子供向けのファンサービスがあります。
その際、いつもスタンドで栗山選手を応援している少年を見かけた栗山選手が駆け寄り、『いつも応援ありがとうね』と言って握手しに行きました。
常に、応援してくれているファンを見ている栗山選手だからできた対応といえます。


(4)まとめ
このように、選手としての能力だけでなく、ファンも大事にする栗山選手。
2014年には社会貢献活動に熱心な野球関係者に贈られる「ゴールデンスピリット賞」も受賞しております。
そして、何よりもプロ20年目のシーズンとなる今シーズンから、なんと異例の3年契約を結んだことも話題となりましたが、野球にかける情熱とファンへの真摯な対応。
この部分が球団に大きく評価されたといえます。

4.栗山選手から学ぶ 自己理解メゾッド

野球への取組、ファンへの対応もまさにプロフェッショナルと言える栗山選手。
この姿勢からは、様々な学びがありますが、彼の長所はOODAループをしっかりと回し、その中で、常に新たな可能性にチャレンジしている点にあります。
補足的に説明しますと、OODAループとは、「見る」という「Observe」「わかる」という「Orient」「決める」という「Decide」「実行する」という「ACT」の頭文字をとったもので、アメリカの軍事戦略家ジョンボイド氏が開発した意思決定のフレームワークです。

OODAループ
・知覚:Observe みる (見る、観る、視る、診る)
・認知:Orient わかる (分かる、判る、解る)
・判断:Decide きめる (決める、極める)
・実行:Act うごく (動く)
・改善:ループLoop みなおす (見直す)

栗山選手の昨年の復活劇をこの観点で見直していきますと、
まず、球界全体を見回し、また、自分自身の置かれている状況チームでの立場見つめ直しました。もちろん、ここ数年はの自身の不振の要因なども観察しています。
そして、球速の速い先発投手が主戦級に揃っていることから、速球へ対応することが必要であり、同じようにベテランで左打者で一線級で活躍する福留選手の打撃を取り入れることを決定し、徹底的に、鋭いスイングでボールの真芯を捉える練習に取り組みます。ここでの、実行の部分は栗山選手の持ち味で、誰よりも多くの練習を行います。
そして、その反復の結果が、先ほどもお話ししたような開幕2、3戦目の連続猛打賞につながります。特に、 2戦目はヒットにしたのが全て、ストレートと、まさに取り組んできたことが結実しました。
我々も、仕事の中では、さまざまな課題に直面することが多いと思います。
その課題を解決するために、どうしても自分の引き出しに入っている解決手法に頼りがちです。しかし、その時に、改めて、状況を観察し、自分が置かれている状況や社会状況を俯瞰し、その解決策を考え、実行すること。
言葉でいいうのは、簡単ですが、それを繰り返していることが、栗山選手の強さの秘訣だと感じました。
最後に、どうして、栗山選手がこのような境地に立てるのかを改めて考えてみましたが、それは、栗山選手がテレビ東京スポーツのインタビューの中で話していた内容に凝縮されているように感じました。
それは、打順について、話している一幕でしたが、様々な打順を任されるケースが多かった昨シーズン、その打順について、どのように考えているかを聞かれると

「多少違いがあるとは思いますが、面白いなと思いながらやってますよ。久しぶりに3番を打つと、打席回ってくるの早いなと思いますし、5番打ってても、チャンスで回ってくるなと思いますし、6番7番打ってても、クリーンナップがいいからチャンスで回ってくるなとか。その時に役割を意識しているというよりは、楽しみながらやっているという感じですかね。」

というように、それぞれの打順のいいポイントを捉え、各打順を楽しんでいました。そう、野球を楽しむこと。これがまさに栗山選手が常にOODAループをうまく機能させられる理由だと感じました。ミスを反省しながらも、あらゆる変化をポジティブに捉えること。何か新しい仕事を明かされた時にも、そのポジティブな側面を捉えながら、課題を解決していくことが課題解決につながるように感じました。

このnoteはVoicyの過去の放送の一部を文字に起こしたものです。
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