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[導入事例]短期的な成果にとらわれていたマーケティング発想からの脱却。共感から顧客が生まれる、替えの効かないコミュニケーション

音声プラットフォーム「Voicy」には、ブランドが音声で発信する「音声のオウンドメディア」とも言えるチャンネル(VoicyBiz)が存在します。

今回は、「今日のワタシに効く両立サプリ」でパーソナリティをする株式会社NOKIOO小田木さんとVoicy運用を社内で担当する3代目Voicy運営マネージャー松浦さんのお二人に、Voicyでの発信が丸2年経った現在地と音声発信の効果や運営方法を伺いました。

[サマリ]Voicyで音声発信を始めて2年

【取組内容】
・平日毎日放送
・土曜は、セミナーに登壇いただく方などのゲスト対談

【導入経緯】
・書籍「D2C 世界観とテクノロジーで勝つブランド戦略(佐々木泰裕著)」内で、これから大切なのはテクノロジーを起点にした顧客体験の構築とファンの育成であり、サービスではなく「世界観」を売るのだという考えに共感。自分達が大切にする価値観や理念に共感する人を増やしていこうとVoicyを使い始めた。

【活用メリット】
・自社に共感している状態で商談が始まることでスムーズな契約につながる
・接点があった人にVoicyを案内することで、放送が顧客ナーチャリングの機能を持つ
・Voicyを聴いた人が周囲への発信者となり、新しいフォロワーが生まれる


[事業紹介]株式会社NOKIOO

株式会社NOKIOOは、法人向け人材育成サービスや育休者向けオンラインスクール「育休スクラ」などを中心にフルオンラインでの人材育成・組織開発支援を行う、静岡県浜松市に拠点をおく会社です。

業界:人材育成・組織開発支援、マーケティングコンサル
従業員:21名
企業サイト:https://www.nokioo.jp/

お話を伺った方

小田木さん

株式会社NOKIOO
取締役 小田木 朝子 さん
「仕事は自分ひとりでやらない」の著者


松浦さん

株式会社NOKIOO
3代目Voicy運営マネージャー 松浦 愛 さん

 NOKIOOさんが運営するVoicyチャンネル
「今日のワタシに効く両立サプリ」


[導入経緯]短期的な成果にとらわれていたマーケティング発想からの脱却。共感から顧客が生まれる、替えの効かないコミュニケーションに

— Voicyで企業チャンネル(VoicyBiz)を持った経緯を教えてください。

小田木:弊社代表の小川が、Voicyの他の方のチャンネルにゲスト出演したことがあり、「最近、音声メディアが熱い」と関心を持ったことがきっかけです。

ただ、私自身はVoicyを始めるまではほとんど音声メディアと接点はなく、音声フリークではありませんでした。ちょうどその頃、事業のブランディングやマーケティングの考え方を変えていく必要性を協議していたタイミングでもあり、これからのマーケティングはファネルを組むようなプロモーションの時代は終わり、まず作るべきはファンプールで、ファンに商品/サービスが支持されて売れていくという考え方にも共感していました。

それまではファネルを組み立てたプロモーションを行っていましたが、自分達のサービスの世界観やそこに共感してくれるファンを作らないと成長が実現されず、発想転換が必要だと思いました。
自分達が大切にする価値観や理念に共感する人を増やしていき、その結果として共感してくれる人の中から顧客が生まれる。それがこれからの事業の育て方だと考え、私たちの考え方を伝えながら、親しみある距離感で情報を届けることができる音声での発信を選びました。

[運営体制]二人三脚で運営し、事業との連動性を意識した社内発信

— Voicyで配信をするための社内体制を教えてください。

小田木:事業チームで企画を練ったりアイディアを協議したりしますが、収録から配信までは松浦と私の2人体制です。話すこと以外は全て松浦さんに任せていて、3代目Voicy運営マネージャーとしてとても頼りにしています。

松浦:Voicyの運営マネージャーとして、NOKIOOや小田木さんのファンをどうしたら増やせるかいつも試行錯誤しています。私一人の視野や発想に偏らない発信ができるよう、社内巻き込みを重視しています。具体的には、毎週木曜は「愛ちゃんの質問コーナー」という回で、私から小田木さんへ質問を投げかけてそれに小田木さんが答える放送をしていますが、質問ネタを社内の人に呼びかけてアイデアを練っています。

また、多くのメンバーの関心を向け続けて、社内を巻き込んで事業とうまく連携させていくことが重要だと考えています。「今週、この放送が多く聴かれているから聴いてみて」と声をかけたり、Voicyのデータダッシュボードを見せながら「フォロワーが増えている」など、傾向を共有しています。

小田木:ダッシュボードを見せながら事業メンバーから意見をもらうことで、Voicyの放送は事業につながっている、イベントの集客や商談につながる、ナーチャリングに役立っていると、事業メンバーがVoicyの運営に関心を持ってもらうよう働きかけをしています。それは私一人では難しくて、松浦さんが社内を巻き込む推進力になっていると思っています。

企業で音声発信を始める人には、一人で頑張らないでと伝えたいです。毎日やるのは簡単ではありません。毎日、週一と頻度は色々ありますが、続けるのは改めて並大抵ではなくて、他者のフィードバックがないとモチベーションが続かないと感じます。

ダッシュボードイメージ

[活用後の変化]効果を感じるには少し時間がかかる。でも「ファン作りはそういうもの」と向き合った

— Voicyで2年発信を続けてみて、どんな変化を感じますか?

小田木:短期的なコンバージョンだけを評価するのではなく、ファンを作っていくんだ、繋がりの太さに価値をおくんだというのは頭では理解していました。その結果として、共感の高い顧客が生まれると十分理解しつつも、広告宣伝費で予算計上しているので気持ち的にコンバージョンが欲しくなってしまうものです。ファンが育つことで、結果的に事業に大きな便益が生まれることを実感するには、一定の時間がかかりました

音声発信を始めて1年経ったくらいから、初めてお会いする企業のご担当者からも「聴いてますよ!すごく共感します!」と声をかけられることが増え、商談がスムーズになりました。当初思い描いていた「価値観や理念に共感する人を増やしていき、その結果として共感してくれる人の中から顧客が生まれる」という状況にようやく入れたと感じた瞬間です。

これはVoicyの発信だけに限らず、noteの記事やセミナー、商談など色々な顧客接点で世界観やコンセプトを伝えることに軸足を置いていて、さらにもっと知ってもらうためにはどこに誘導したらいいかなどを考えるようになって、トータルで体現ができてきたのも大きな要因かもしれません。

— 好きになってもらうことへ愚直に取り組んだ成果が出たんですね!商談以外でもVoicyならではの手応えを感じる場面はありますか?

小田木:オンラインイベントの申込受付時に認知経路を伺っていますが、Voicy経由の申込は毎回一定数あります。申込時の情報から「こんな人が聴いてくれているんだ」というのが見えると、同じ1件のメールアドレスですが、こちらを知って繋がってくれた人が見えるようになったことで、顧客とのリレーションの作り方が大事だなと痛感しました。今は、前提となる「自社の価値感やコンセプトへの理解や共感」が揺るぎないものになっていますので、それを磨き込んでいます。

また、Voicy経由で申し込む人の絶対数は多くはないですが、初期接点から契約に至るコンバージョンは、Voicy経由の場合他のチャネルと比較して約2倍になります。Voicyで聴いて共感を醸成した上でセミナーに参加していただけるので、十分に温まった状態で意思決定に進むことの効果だと感じています。

[社内の声]「続ける必要ある?」と声は出るが、やめたらファン作りの場を失うことになり代替手段がない存在

— 実感できるまで1年ほどかかりましたが、発信を続けるのはしんどくなかったですか?

小田木:発信することは辛くなかったです。ちょっとした発信でも、いいねがついていたり、コメントをもらったりと、リアクションがあると嬉しいかったですね。あとは、1人ではなくチームで運営してきたので、そういった感情はわきませんでした。

それより、社内で「これって続ける必要あるかな?」という声が出ることに、どう応えるかが重要でしたね。

— 積極的に社内巻き込みをする中でそういう声が出るのは辛いですね。それに対してどう話していたんですか?

小田木:どんな手段であれ、費用が発生してリソースを投入している以上、費用対効果は問われます。Voicyを聖域にするつもりはないので、そういう見直しや評価が入ることはあって然るべきだと思っています。でもやっぱり、じゃあVoicyに替わる顧客とのコミュニケーションの舞台があるかというと替わりはないんです。

1年経って、きちんとファンを作る場になっていると確証まで持てていたので、やめてもいいけど他に手段はあるかというとないですよね。先日もオープンセミナーにリスナーさんが社内の人を5人も連れてきてくれました。こういうファンを作れているのは本当に変え難い場です。

音声発信を検討されている企業の方へ

小田木:ファンとの関係構築、信頼関係は大事だということは誰もが頭でわかっているけれど、それを事業に関わるメンバーが体験できるところまで継続できるかどうかがカギだと思います。やっぱりコンバージョンやファネルなど、売上に直結するような観点が気になる中で、マーケティングの発想そのものを変えるのは簡単ではありません。だからこそ「なぜやるのか」の方針を掲げ、その実現のためのトライアルを最低半年、できれば1年の期間を区切ってはじめること。評価するまでの時間を確保し、きちんと社内を巻き込んで継続できれば、結果は後から絶対ついてくると思います。

2022年8月取材


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書籍をきっかけに、共感から生まれる顧客を作ろうと音声での発信を始めたNOKIOO様。チームで運営し、数字を伝えて社内を巻き込みながら運営をしていらっしゃいます。頭で理解しているのと体験として理解しているのでは全然違うとおっしゃっていたのが印象的でした。Voicyでは伴走サポートもご用意しておりますので、少しでも興味を持ったという方は、お気軽にご相談ください。


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