[導入事例]Voicyを起点にTwitterで7.7万いいね獲得。ONE CAREER PLUSが見出した音声の新たな可能性
採用DX支援サービスを手がけるONE CAREER PLUSとVoicyがコラボした「#あの時キャリアは動いた」。Voicyでは246名のパーソナリティによって260件が放送されました。
反響はVoicyだけにとどまらず、Twitterにも。「キャリア」という同じテーマで多くの人が自身のターニングポイントを振り返りました。
なかなかオープンに話しづらい印象が強い「キャリア」というテーマで、なぜこれほどまでのムーブメントを生むことができたのでしょうか。プロジェクトを主導したONE CAREER PLUSのPRを担当するEvangelistの寺口浩大さん、マーケティング担当・田中佑昌さん、Voicyの長谷部祐樹に聞きました。
温度感や熱量を届けたい
—— 今回の「#あの時キャリアは動いた」についてご説明ください。
寺口:
まず、私たちが運営する「ONE CAREER PLUS」という転職サイトについてご説明させてください。2021年にローンチした転職サイトで、「すべてのキャリアをオープンに」というサービスブランドのコンセプトのもと、独自に収集した4,000件以上の転職体験談などを用いて、「キャリアの地図」などの企画を実施してきました。
ただ、日本においては自分のキャリアを語ることに対して「身バレが怖い」といった抵抗感が少なからず根付いています。記事や動画をつくったりして、さまざまなコミュニケーションをとってきたのですが、もっと別のアプローチを検討するようになり、候補に挙がったのがVoicyでした。
—— 数あるコミュニケーション戦略のなかで、なぜ音声を選んだのでしょうか?
田中:
温度感や熱量のようなものを発信していけるからです。記事コンテンツはキャリアに関する事実を情報提供する意味では有意義でしたが、それだけでは解決できない課題があると感じていました。熱量を含んだインタラクティブなコミュニケーションを生み出したいと考えていたんです。
寺口:
転職については少しずつ寛容になってきているものの、まだキャリアについて話すこともはばかられますし、何なら自分語りもタブーっぽいムードがありますよね。でも、飲み会だとみんなキャリアの話をするんですよね。“あの雰囲気”をデジタルの世界で起こせる可能性が音声にはあるのではないでしょうか。
しかも、Voicyは「テーマ」というよりも「人」にエンゲージしている音声サービスだと思っています。そもそもキャリアは「人」に紐づくものなので、パーソナリティの数だけエピソードがある。だからパーソナリティから「同時多発的にシェアされていくことで、ムーブメントの源泉になりうるのではないか」と考えました。
たとえば、5人が配信したら、周りの20人がアクションに対して共鳴して、同じアクションをとっていくような流れが生まれるはず。「トライブ*1」と呼んでいるのですが、同じ価値観を共有するパーソナリティとリスナーの関係性の深さがVoicyの魅力だと思います。
*1: 共通の興味・関心やライフスタイルを持った集団のことを指す。参加者同士の結びつきや共感を生み出し、個人のアイデンティティや所属意識の形成に寄与する。
田中:
「トライブ」の話でいうと、僕も近しい体験をしています。実は僕がワンキャリアへ入社するきっかけが寺口さんが出演したVoicyでして。番組を通じて、彼の想いやストーリーに日々触れるなかでだんだんONE CAREER PLUSへの道がつながっていって、大阪から東京に来て、いまは一緒に働いています。「トライブ」が形成されていく中心にいたというか。
だから、今回の話も「確証は持てないけれど絶対にいけると思う」と話していました。
—— Voicy視点だといかがでしょうか?
長谷部:
Voicyは求心力のあるパーソナリティが多く、かつ独自のキャリアを歩んでいる方も非常に多い。ONE CAREER PLUSが目指す世界との相性の良さは感じていましたね。
一般的には自分語りでキャリアについて話すことには抵抗があると思いますが、パーソナリティの周りにはその人の話を聴きたいという人たちがいるので、今回のような自身のことをオープンにする内容を話す発話がたくさん生まれたんだと思います。
人の数だけキャリアがある。キャリアの数だけストーリーがある
—— 企画自体はどのように組み立てていったのでしょうか。
田中:
「『キャリアが変わる瞬間』や『立ち直ったきっかけ』、『転機となった人物との出会い』などを語ってほしいよね」という話になりました。みんながいい体験を話せるようになれば、ムードのオープン化にもつながりますし。
寺口:
鍵となったのは、まさに「対話」です。僕たちは別に転職を強要したいわけではない。転職しなくてもキャリアは動くし、人との出会いでもキャリアは動くので。「『キャリア』という言葉をもっと広い意味で捉えていきたい」という話は日頃からしていました。
田中:
ONE CAREER PLUSに載っているキャリアの地図では、ある会社に転職した人の前職が視覚的にわかるようになっているのですが、本来であればそのキャリアパスの裏には必ずストーリーがある。だから、本当は情報だけではなく、ストーリーもセットにして載せていきたい。目指しているのは、目的地の住所(転職先)だけではなく、行き方や思考の過程がわかるような地図ですね。
寺口:
大事なのは「その行き方、つまり道を選んだ理由」です。場所の情報はどうしても企業に紐づいてしまいますが、道は個人に紐づくので。
—— Voicyからはどのようなコミュニケーションをとったのでしょうか?
長谷部:
「こういうトークテーマはどうですか?」といくつか提案していきました。フィードバックをもらいつつ、「どうすれば思考の過程が話しやすいか」とハードルをいい具合に下げられる落としどころを探りましたね。「成功体験談ではなくもう少し情緒的なところにフォーカスしたい」と何案出したか忘れるくらい壁打ちしましたね。
寺口:
あの時間はおもしろかったですね。普通だったらVoicyのチームがたくさん考えてくれて、ONE CAREER PLUSのチームが判断すると思うのですが、いい意味で忘れていました(笑)
長谷部:
一応私たちが検討材料は持ち込みつつも、議論を重ねて徹底的に磨き上げました。
あと、お二人からは「音声配信をやっていない人たちがTwitterでツイートしたくなるようなミームにつながるしかけを用意したい」という話もあったので、「『自分はこれで成功しました』というエピソードではなく、もっと等身大のエピソードを話してもらえた方が乗っかりやすいかもしれない」とやり取りしたことも覚えています。
寺口:
常に、主語は「働く人たちが」でしたからね。「ONE CAREER PLUSが」とか「Voicyが」とかにすり替わらなかったことが、建設的な議論ができた要因かもしれません。
長谷部:
納期の関係で、議論の期間は2-3週間くらいでしたが、非常に濃密でしたよね。最後の1週間はほぼ毎日顔を合わせていました。
寺口:
お互い宿題を持ち帰って(笑)
田中:
LPのデザインもVoicyのデザイナーさんと数時間も話し込んで決めましたし、2社とも全精力を注ぎ込んで取り組んだ印象です。
『私の履歴書』の民主化
—— テーマが決まっていよいよ伝えていくフェーズですが、「#あの時キャリアは動いた」はどういう経緯で決まったのでしょうか。
寺口:
ノリでいろいろアイデアを出し合っていくなかで「これが良さそう!」と着地しました。
田中:
直前までは「#私のターニングポイント」が暫定優勝だったのですが、「もっと話しやすいように言い換えよう」という話をしていて。
長谷部:
日本経済新聞「私の履歴書」をベースにした案もありました。パロディしかりどこかで聞き覚えがあるけど、少しだけズラすのがわかりやすいような気がしたので。
寺口:
「『私の履歴書』を民主化したい」という話は、ずっとしていたんですよね。「私の履歴書」「私の履歴書」には出れても1ヶ月に1人で、チャンスがかなり少ないじゃないですか。でも、誰しもに素敵な人生があるわけだから、誰しもが自分のキャリアにフォーカスしてもらえるチャンスをつくりたかった気持ちは強いです。
ただ、「履歴書」はちょっと我々が使うワードとしてはカタい印象があるし、「キャリア」にも抵抗がある方が少なくない。「ちょっとキャッチーに柔らかい言葉でくるんであげたら、興味を持ってもらえるかも」と。
長谷部:
そうした中で歴史番組「その時歴史が動いた」の話が出て、「それいけるんじゃない?」と。ベースにした案をいくつか出し合って、最後はほぼ“決め”でした。
—— 外への広がりについての手応えはいかがでしたか?
田中:
想像以上でした。そもそも社内に知見がなかったので、「これを機にいろいろやってみよう」とチーム一丸でSNS投稿された方にもれなくアクションしたり、実際に僕たちも投稿したり。Voicyにも協力してもらっていて、2社が全力で初速づくりに取り組みました。その中でVoicyのプラットフォームも徐々に盛り上がっていた印象を受けています。
寺口:
「まずは自分たちから」と「UGCは宝」は、口酸っぱく言っていました。
自分達がやっていないことを他の人に頼んでも「いや、お前たちが先にやれよ」と思われるだけなので。UGCについても一番近くに集まってくれた方たちは本当に宝なので、みんなでお礼したり、引用リツイートしたりしていましたね。
長谷部:
内側から同心円状に広がっていきましたよね。
寺口:
まさに!ムードとともに広められた気がします。
僕らもできる限りたくさんの放送を聴きましたし、ハッシュタグも全部見ました。ほとんどのツイートには「いいね」していますし、リツイートもしています。ツイートしてくれた方たちの総フォロワー数を数えたら、大変なことになると思いますよ。
いわゆる“フォロー&引用リツイートキャンペーン”と違ってプレゼントはないのに、これだけ多くの人の心を動かせたのなら、嬉しいです。
—— ハッシュタグに対するリアクションはいかがでしたか?
長谷部:
ハッシュタグを追いかけている人がいました。「このタグ、めっちゃ面白い」「皆さんの人生の一部を垣間見ているようでゾクゾクします」など。自分はツイートしないまでも、ハッシュタグを追いかけてエピソードを聴いてくれて「キャリアって十人十色なんだな」と僕らが思っているようなコメントもしてくれて。
ハッシュタグをきっかけにツイートを辿っていった結果、「これ、ONE CAREER PLUSとVoicyがやっているやつなんだ」とコメントしてくれた方もいました。届いている手応えはありましたね。
ユーザーを主語にし続ける
—— ONE CAREER PLUS全体を同じ方角へ進めるために気をつけたことはありましたか?
田中:
ONE CAREER PLUSチームで一致団結していたので、「このムーブに乗りたい」という気持ちと熱量がありました。そこで、寺口さんにご協力をもらいながら、全社のミーティングで毎度「こういうのをやっています」と発言しましたし、社内のチャットツール上でも「ぜひご協力ください」と発信し続けていました。
寺口:
新規事業は、社内の他部署のメンバーに協力・応援してもらわないと成立しないんですよ。なんとなく意義は理解してくれているかもしれないけれど、それぞれにタスクがあって忙しいわけですから。「応援したい」と思ってもらえる事業であるために、「『ありがとう』と『ごめんなさい』は言いましょう」「テイクばかりになってないか」「つくると届けるはセット」みたいな道徳の授業のような話はたくさんしていましたね。
—— とても地道ですね。気持ちが折れることはなかったのでしょうか。
田中:
企画自体がよく、僕自身も思い入れを持って取り組めたので、熱量高く動けました。
寺口:
それはあると思います。
長谷部:
音声業界の事情として「音声は深く届くけど、テキストなどに比べるとバズらない」と言われています。でもとても高い熱量があるのは事実なので、なんとか打破したい気持ちを持ち続けているわけです。
だからこそ、今回のように中での盛り上がりを外に届けて「いいね」と思ってもらえたチャレンジを一緒にできたことは、大きな意味があると思っていて。裏目標的に掲げていた部分でもあり、社内にも共有できていた部分でもあったので、Voicyも全体で「成功させたい」という思いを持って取り組めたのではないでしょうか。
寺口:
長谷部さんがいった通り、「どう届けるか」はメインテーマのひとつでしたね。濃くて狭い世界でつくったエネルギーを、薄く広い世界へ届けていく合わせ技をできたことは、PRの人間として新しい世界を見た気がします。Twitterだけでは火種はつくれませんからね。
—— 「#あの時キャリアは動いた」を経て、新たなチャレンジは考えていますか?
田中:
いろんな企画やコミュニケーションの選択肢は増えましたが、中心にいるのはやはりユーザーです。やはりUGC同様に、ユーザー自身も宝ですから。
ユーザーを中心に据えた企画であればいつか報われるし、ふとしたきっかけで盛り上がっていくこともあるので、軸だけは外さずやっていきたいです。
寺口:
そうですね。今回のプロジェクトでユーザーを主語にすることの意義を体感できた部分はあります。実感したことで、より確信めいたものに変わりましたし。
田中:
オフラインとの組み合わせもやりたいですね。
長谷部:
相性がいいと思いますよ。イベントに出ていないと伝わらない温度感も広げられるはずですから。
寺口:
音声の機能のひとつが、温度差を埋められることなのかもしれませんね。
世の中にはGoogle Analyticsに載っていない指標がたくさんあり、それが凝縮しているのは音声なのかも
—— 最後に、Voicyの利用を検討している方たちへひと言お願いします。
寺口:
ほかでうまくいっていないなら、一度やってみることをおすすめします。成果が出るかはもちろんわかりませんが、やらないとわからないことがたくさんあるし、同じくやってみて気づくこともたくさんあるので。まさか採用につながるなんて思いませんでしたし(笑)
田中:
(笑)。個人的にはやはり人に紐づく話は音声の方が熱量が伝わりやすいし、相性がいいと思います。まさに我々はHRの業界にいますが、人が主役の業界であればなおさら。
寺口:
どんどん好きになってもらっていっている感覚はありますね。メンバーたちの自信にもつながりますし。
長谷部:
僕も2年半くらいやっていますけど、「社内のプレゼンスが上がった」みたいな話はよく聞きますね。
寺口:
世の中にはGoogle Analyticsに載っていない指標がたくさんありますが、それらが凝縮しているのは音声なのかもしれません。
音声の魅力に気づいているけどビジネスへの活かし方がわからない方には示唆が多いお話だったのではないでしょうか。音声のさらなる可能性を感じるエピソードの数々、ありがとうございました!
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ONE CAREER PLUSさんとご一緒した「トークテーマ企画」は、企業やブランドが伝えたい想い、大切にしている価値観、目指したい未来について、パーソナリティからリスナーに届ける、新しい発信の仕組みです。企業の想いに賛同したパーソナリティが自らの言葉で語ることで、リスナーの心に届き、リスナーが自分ごととして考えるキッカケを作ります。
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