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「コロナ禍を経て社員が10倍に」ファストドクターが社内ラジオで創業ストーリーを伝え続ける理由 - Voicy声の社内報 [導入事例]

休日・夜間の往診やオンライン診療などを手掛けるファストドクターでは、Voicyのチャンネルを社内向けに活用する「声の社内報」のサービスを活用し、約160人の社員に向けて社内ラジオを配信しています。コロナ禍を経て、ここ3年で社員が10倍以上に増えたという同社が、声で創業ストーリーを伝えているのはなぜでしょうか。パーソナリティを務める、創業メンバーで取締役の小石祐司さんに聞きました。


[サマリ]新しいスタッフにも、会社の理念や創業ストーリーを知ってほしい

【導入背景】
・コロナ禍を経て社員が10倍に急増。新しいスタッフに、理念や創業ストーリーをどう浸透させるかが課題に
・同社の技術顧問を務めるVoicyパーソナリティ、澤円さんから社内Voicyを勧められた
【活用方法】
・創業ストーリーを1話完結で話している
・妻に語りかける形で収録。朝の日課になっている
・子どもの話をすることも。スタッフには「プライベートを大切にすること」の重要性も伝えたい
【導入後の変化】
・思いを伝える「声」の力を実感
・100点を目指さないことが続けるコツ
・会社の「生きざま」が伝わる。求職者に聞いてもらうことも
・医療に欠かせない「連携力」を高める力になっている

[事業紹介]ファストドクター株式会社

設立:2016年8月
正社員数 約160名
Webサイト:
企業サイト https://www.fastdoctor.co.jp/
サービスサイト https://fastdoctor.jp/

夜間救急の現場に携わる中で現場の負担を実感した医師で代表取締役の菊池亮さんが、「不要不急の救急搬送を減らしたい」という思いから2016年に立ち上げた。

夜間・休日の急な体調不良やケガに24時間電話対応。医療相談を行って緊急性を判断し、救急車やかかりつけ医受診の案内をしたりするほか、救急往診やオンライン診療を手配するサービスを提供している。現在、救急往診は12都道府県に対応しており、今後全国に展開していく予定。コロナ禍では行政と連携し、自宅療養者の往診を行うなど、ひっ迫する医療現場を支えた。

お話を伺った「声の社内報」の担当者

取締役 小石祐司さん


[導入背景]急増する社員に理念や創業ストーリーをどう伝えるか

—— ファストドクターでは2022年12月から、社内Voicyを活用して創業ストーリーを伝える「ファストドクターゼロ」を配信されています。始めたきっかけを教えてください。

小石:僕は元々Voicyのリスナーだったのですが、澤円さんのVoicyを聞いていたら、ファストドクターを利用したエピソードを紹介されていたんです。うれしくなって直接澤さんにご連絡したことをきっかけに、当社の技術顧問に就任してもらうまでの関係になりました。そしてある時、澤さんに僕が感じていた課題についてご相談したときに、社内向けにVoicyを立ち上げるのいいのではないかと紹介してもらって、それが社内Voicyをはじめるきっかけになりました。

—— どんな課題を感じていたのですか?

ファストドクターは、コロナ禍で対応患者数が急増し、2020年2月には15人だった社員も現在(2023年6月)は160人に増えています。一時は月に20~30人の社員が入社していましたし、業務委託やアルバイトなどを含めると、月に100人単位で新しい人が加わっていました。

会社の規模が小さかった時からいる古参社員は、経営陣とも距離が近いですし、創業ストーリーもよく知っていて、例えばビジョン1つにしても2025年目標として掲げている「不要な救急車利用を3割減らす」も、なぜそれを見据えるべきなのかも理解しています。しかし、コロナ禍の非常に忙しい時期に入ってきた新しい人たちに、それがしっかり伝わっているのか。そこに課題を感じていたんです。

僕たちは40以上の自治体とも連携し、コロナ禍では急増する自宅療養者の対応も担っていました。特に2021年3月ごろに始まった第4波以降は、コロナ禍が長期化することが見えてきてかなり厳しい状況でした。

こうした苦しいときに、踏みとどまって力を発揮するためには何が必要なのか。馬力の根源になるのは、ミッションやバリューに対する共感、人間関係、報酬の3つです。社員が急増する中で、どうしたらこのうちの「ミッションやバリューに対する共感」を強化できるのかを澤さんにご相談する中で、社内Voicyのアイデアがあがってきたんです。

僕もVoicyリスナーで、「声の力」は感じていましたし、「ながら聞き」ができるので、忙しい人にも届けやすい。会社の成り立ちや僕らの「思い」を伝えるにはぴったりだと思いました。それで早速Voicyに問い合わせをし、1カ月も経たずに開始しました。


[活用方法]毎朝妻と創業ストーリーを語ることが日課に

—— 番組の内容について教えてください。

小石:毎回1話完結で創業ストーリーを話しており、これまで70回くらい配信しました。時々「番外編」という感じで、最近気になったニュースや、僕の子どもの頃のエピソードなどを話すこともあります。番外編では、僕の考えや価値観の源になっているものが伝わればと思っています。

始めてみてあらためて、Voicyパーソナリティの方々のすごさを感じました。1人で話すのは本当に難しい。僕はどうしてもできなくて、妻に語り掛ける形で話しています。妻は社外の人間なので、NDA(秘密保持契約)を結んでいるんですよ。

—— やはり相手がいると話しやすいですか?

小石:はい。相づちを打ってもらったり、笑ってもらったりと、反応してくれる人がいると全然違います。いい感じでツッコミを入れてくれますし、結構優秀なパーソナリティです。

—— いつ収録しているのでしょうか。

小石:朝、子どもを保育園に送ったあとの日課になっています。妻が仕事の都合でいない時は、頑張って一人で「番外編」を話しています。普段は創業ストーリーを7~12分くらい話したあと、3分間くらい妻との雑談も入れています。「子どもが保育園のおゆうぎ会で、ロバ役になって、上下灰色の衣装を用意した」とか、そういったプライベートの話が中心です。

ベンチャー企業の経営層というのは、外からは、24時間働いているロボットみたいに見えてしまうことがある気がするんです。子どもの話などの、プライベートの「ほっこりした話」を入れることで、僕たちにもプライベートな人間らしい生活がちゃんとあることが伝わるといいと思っています。そして「プライベートな部分も大事にしていいんだ」と思ってもらえれば。


[導入後の変化]ファストドクターという会社の「生きざま」を伝える

—— 聞いた人からの反応はありますか。

小石:時々「おもしろかったです」とか、感想をもらうことはあるんですが、「ありがとう」と返すくらいで、あまり深掘りはしていません。聞いていない人に「聞かないといけない」という“圧”がかかるのはイヤなので。興味のある人が聞いてくれればいいと思っています。

ただ、なるべく興味を持ってもらえるように、新しいエピソードを配信したら、Slackに「今回はこんな話です」と内容を投稿しています。テーマを見て「今回は聞いてみよう」と思ってもらえるといいですよね。

でも、視聴数などの数字は敢えてあまり見ないようにしているんです。数字を見ると、つい「もっと増やそう」とhack(工夫)しようとしてしまう。すると「本当に伝えたいことを伝える」ことからずれてしまいそうな気がするんです。

—— 話すときに気を付けていることはありますか。

小石:本当は、収録したら自分で聞き直してブラッシュアップをしないといけないんでしょうけど、恥ずかしくて無理ですね。まあ、100点を目指すと続かないので、今は割り切って、聞かないなら聞かないでいいかなと思っています。

僕が言い出したので僕がやることになったのですが、滑舌もそんなに良くないですし、パーソナリティとしてそんなにうまくはないと思います。でも、僕が澤さんのVoicyを聞いて澤さんを身近に感じていたように、一生懸命話せば思いが伝わって身近に感じてもらえるのではないかと思っています。

採用面接のとき求職者の方に、限定的に社内Voicyのアカウントをお渡しすることもあります。短い面接の時間だけでは、会社のことがなかなかわからないかもしれませんが、社内Voicyを聞けば、ファストドクターという会社の「生きざま」をわかってもらえるんじゃないかと。転職は人生の重要な意思決定ですから、判断材料の一つにしてもらえるといいですよね。

[今後の展望]息子にも、自分が人生をかけてやってきたことを伝えたい

—— これから「声の社内報」をどんな風に活用したいと考えていますか。

小石: 2015年にファストドクターの構想が生まれたところから始まり、今やっと2020年のコロナ禍に入ったところです。これから話が盛り上がるところですし、エピソードも多いので、まだまだ先が長いです。

番組の中でも言っているんですが、実はこの社内Voicyは、ファストドクターのスタッフのためだけでなく、息子に向けて語り掛けているところもあるんです。今、息子は3歳半なので、15年くらい先になるかもしれませんが、いつかこれを息子にも聞いてほしいと思っています。僕が人生をかけてやってきたことが何なのか、どんなことを考え、どんな意思決定をしてきたのかを知ってほしいんです。


声の社内報を検討中の企業の方へ:連携力を高めるうえで「声」は力になる

—— 声の社内報を検討している企業の方に向けたメッセージはありますか。

小石:声には「思い」が乗りますから、会社の理念や、会社がどんな風に設立されて成長してきたかといったストーリーを伝えるにはぴったりです。

医療業界との親和性も高いように思います。医療は診療前後のサプライチェーンが長く、連携が欠かせません。私たちの場合も1日に、約200人の医師、同じくらいの数のドライバー、50~60人の、医薬品や医療機器などを用意するパッキング担当者、300~500人のコールセンターの担当者など、本当にたくさんの人が連携しながら業務に当たっています。個人戦ではなく、チーム戦なんです。

さまざまな役割の人たちの連携力を高めるうえで、声の力はとても大きいと感じています。


2023年6月取材

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最後までご覧いただきありがとうございました。
チーム戦の現場だからこそ、声の力で連携力を高めているというファストドクターさん。インタビュー時に言われていた「伝えたい思いがあったからこそ、声で伝えることに決めた」というお言葉が印象的でした。

最近ではファストドクターさん以外でも、「院内ラジオ」という形で病院やクリニックでVoicyを使われるケースも増えてきました。医療業界での音声活用は今後、より一層広がっていきそうです。


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